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興国寺城と、沼津周辺の城跡へ行ってきました
城攻め(東海)
/
2022年05月14日 23時09分40秒
2021年最後の城攻めは、本来なら群馬県の沼田城と名胡桃城に行ってくるつもりだったのですが、年末から年始にかけて雪予報。うーん、三国峠から太平洋側は雪なんて大して降らないと思っていたのですが、こういうこともあるのかー。
そんなわけで急遽予定を変更。雪が降らない南の方向と言うことで、静岡県沼津市にある興国寺城跡へ行ってきました。
興国寺城はいつ、誰によって築城されたのかははっきりしていません。ただ、有名なのは後北条氏の祖・北条早雲こと伊勢新九郎が初めて領地を与えられて入った城ということですね。そんなに長いこと居たわけでもありませんが、戦国時代に関東に覇を唱えた後北条氏の最初の一歩がこの地だったわけです(異説あり)。
ただ、この地は今川、武田、北条の領地の境目にあるため、戦国時代には激しい領地争いが繰り広げられ、北条、今川、武田、徳川と移り変わっていくことになります。
江戸時代に入ると、興国寺藩藩主として徳川譜代の天野康景が入ります。しかし領内で発生した藩の建築資材の窃盗事件が、その下手人と思しき天領の領民を殺傷するという事態に発展。幕府から遣わされた本多正純とモメて激怒した康景は、領地を放棄したために改易されてしまいます。興国寺藩も廃止され、興国寺城も廃城となりました。
JR東海道本線の原駅からスタート。
原駅のホームから、目の前に富士山がどん見えます。その手前にあるのが愛鷹山。愛鷹山もそこそこの難易度の山なので、ちょっと登りたいとも思うのですが、公共交通機関派としては、微妙にアプローチしにくかったりするんですよね。
興国寺城跡は原駅から3㎞弱くらい。ちょっと距離があります。
てくてく歩いて興国寺城跡の手前までやってきました。
道路の向こう側はただの空き地のように見えるのですが、三ノ丸の遺構の一部。少し盛り上がっている部分は土塁の跡のようです。
城跡入り口に地図がありました。
興国寺城は連郭式の平山城。手前から三ノ丸、二の丸、本丸と連なり、本丸を守るように土塁と空堀、そしてその奥に北曲輪、清水曲輪という縄張りとなっています。
ここは三ノ丸ですが、今となってはただの空き地にしか見えませんね。右側にある段差の上が二ノ丸になります。
上から見下ろした三ノ丸。ここからだと、道路の向こうに土塁があるのがわかります。
見た感じあまり変わりばえしませんが、この辺りが二の丸です。右側の段差の上が本丸です。今は段差しかありませんが、元々は土塁もあったようです。
そして本丸。
本丸は北、東、西と、三方向に土塁が残っています。特に奥にある北側の土塁は一際高くなっています。
こちらは西側の土塁。
東側の土塁はちょっと短めです。
本丸には現在、穂見神社があります。
1857年、安政の大地震でこの地域も大きな被害を受けたため、山梨県の高尾山穂見神社から分祀されたそうです。
神社の横には、「根小屋の力石」があります。
明治から昭和にかけて、この辺りの村人が力比べに使用したものだそうで、重さは約110㎏。丸くて持ちにくいから、かつげる人は少なかったそうです。
神社脇の案内板の所に、続日本100名城のスタンプがあります。
スタンプの図案は、北条早雲の碑と……、背景はこの後行く大空堀ですかね。
ここまでだと、さほど見所の無い城跡なのですが、興国寺城はここからが本番。本丸の土塁の上、そしてその裏にある大空堀へと向かいます。まずは土塁の上へ。
土塁の上から。左側に伸びているのが本丸東側の土塁です。
土塁の上には天守台と伝えられる礎石があります。
少し西側へ移動して。右側に伸びているのが、本丸西側の土塁です。
天守台下の石垣。
続いて土塁を下りて、その裏にある大空堀へ。
左側が本丸北側の土塁、右側が北曲輪になります。
写真だといまいちわかりにくいですけど、この空堀はとても深くて、かなり見ごたえがあります。
空堀から本丸土塁を見上げて。
頑張れば登れそうな気もしなくもないけど、空身で慎重に登ればっていう話で、戦闘中にはとてもこんなところは登っていけないでしょうね。
なんか土塁に横穴がいくつか開いていたんですけど、これは第二次世界大戦中の防空壕かなんかですかね?
そのまま西へ移動すると、民家の前に出ます。
少し戻り、北曲輪への階段を登ります。
北曲輪は登り切ったところまでしか入ることができません。
曲輪っぽい平地が広がっていますが、整備途中なのか、それとももうこれ以上整備するつもりはないのか。
北曲輪から見下ろす大空堀。
北東の谷の向こうに清水曲輪があるはずですが、ちょっとよくわかりません。
本丸東の土塀の裏を通ると、二ノ丸へ出ます。
原駅に戻る途中に見上げた、愛鷹山と富士山。
興国寺城は小ぢんまりとしていて、正面側だけ見れば段差と坂道だけなのですが、裏側にある土塀と大空堀は迫力があり、ここだけでも見る価値がありますね。
広さはそれほどでもないので、1時間もあれば隅から隅まで見て回ることができると思います。
興国寺城だけではあまり時間がかからなかったので、ついでに沼津駅付近の城跡も見て回ってきました。
沼津と言えば、「ラブライブ サンシャイン」。一応まだ現役のコンテンツなんですかね。写真は撮れなかったけど、ラッピングバスも走っていました。
まずは沼津城。沼津城は沼津駅南側の一帯に位置しており、沼津駅から500mほど南にある中央公園が沼津城本丸跡となっています。
とはいえ、遺構はほぼありません。
元々この場所には三枚橋城という城がありました。立地的に、興国寺城同様、戦国時代には大勢力の狭間で翻弄されるわけですが、江戸時代には沼津藩主・大久保忠佐の居城となります。しかし忠佐の死後、跡継ぎが無かったために大久保家は断絶し、三枚橋場も廃城。さらに火災により焼失してしまいます。
その後は長く幕府領でしたが、1777年に沼津藩に水野氏が入ってきます。そしてその際に、新たに沼津城が築かれることになりました。沼津城は三枚橋城よりもだいぶ小ぶりですが、一部利用できる部分は利用したようです。
そのまま狩野川を渡ると、目の前に沼津アルプスの入り口・香貫山が見えます。
狩野川に沿って、東へと進みます。
これは沼津駅前にあった看板ですが、沼津駅の南側には沼津アルプスが伸びています。街に近いローカルアルプスなので気軽に登れそうなイメージがあるのですが、アップダウンが激しく、縦走するのは結構大変みたいです。
私も歩こうかと検討したこともあるのですが、気力・体力が充実していないとキツそうなので、未だチャレンジできていません。エスケープルートも多いので、部分的になら行けそうではあるのですが、どうせなら一気に歩き通したくもありますしね。
いつか登るときの為に、香貫山への登山口だけ確認して、先へ進みます。
しばらく進むと、戸倉城跡が見えてきます。
西側から登っていきます。
戸倉城跡は、本城山公園として整備されています。
この辺は軽い山登りですね。
ほどなく山頂・本丸跡に到着します。
戸倉城は北条氏網によって築かれたそうですが、今川によって築かれたという説もあります。
ここもまた激戦の舞台となり、武田の手に落ちたこともありますが、再度北条の元へ。結局、秀吉の小田原攻めの際に放棄されたようです。
山頂にある展望台からは、周囲をぐるりと見渡すことができます。
南側には沼津アルプスの山々が見えます。こうしてみると、アップダウンの激しい感じがよくわかりますね。
登ってきたのとは反対側、東の方へと降りていきます。
戸倉城はあんまり明瞭な遺構は確認できませんでしたが、川沿いにある小高い山の上ということで、いかにも城を築くのにはちょうど良さそうな場所ではありますね。
徳倉橋から狩野川を渡り、北へ進んでいきます。
最後の目的地は泉頭城。ここもまた北条によって築かれ、小田原攻めの後廃城になりました。
しかし実はこの泉頭城、家康の隠居の地として決まっていたらしいんですね。家康はその頃駿府城にいたわけですが、泉頭城の風光明媚なところが気に入り、縄張りも進められていたようです。しかし結局中止となり、翌年家康の死去によって泉頭城が表舞台に躍り出ることはなくなりました。
現在、泉頭城跡は柿田川公園となっています。実際の所、城の遺構はほとんど残っていないんですけど、今は柿田川の水源となる柿田川湧水の湧き出す地点が見どころとなっています。
柿田川の水を利用して高野製紙所を設立した、高野ニ三の家が残されています。
ここの庭は、柿田川の湧水を利用した池泉回遊式庭園が作庭されています。
水が売り物の柿田川公園なので、園内にも噴水があります。
そして柿田川公園一番の見所はやっぱり湧水。公園内には柿田川湧水を見物できる展望台が2ヶ所あります。
まずは第一展望台。
写真だとなかなか伝わりませんけど、展望台から下をのぞき込むと、水の湧き出す感じがよくわかります。
続いて第二展望台。
ここの展望台にはちょこっと飛び出している場所があります。
ここには井戸があります。
展望台の飛び出している所からのぞき込むと井戸をほぼ真上から見下ろせるのですが、この井戸の中がすごくきれいな深い青をしているんですよね。
他にも、公園の南側には八橋があり、柿田川湧水を見物することができます。
柿田川は湧水ですけど、園内に流れている川は湧水ではありません。
泉頭城は城の遺構はほぼありませんでしたけど、柿田川湧水は面白かったですね。きれいな水が湧いているっていうのが、こんなに楽しめるものだったとは。予定では公園内を軽く一周して終わりのつもりだったんですけど、結構見入っちゃいました。お勧めです。
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