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 2019年の山登り納めとして、埼玉県飯能市にある天覧山と多峯主山、さらにはその周辺のいくつかの山々に登ってきました。
 飯能市を中心とした、いわゆる奥武蔵と呼ばれるエリアにはあまり高い山はなく、気軽なハイキングに適したコースがたくさんあります。天覧山や多峯主山は、この辺りでも特に標高が低く、飯能駅からも近い初心者向けの山となっています。





 まずは飯能駅から能仁寺へ。寺の横に登山口があります。



 しばらくは舗装路ですけど、すぐに「天覧山中段」という広場に着きます。ここは本当に山頂までの中間地点なんですけど、ここまで本当にあっという間で、天覧山がいかに低い山なのかがよくわかります。

 山頂へのルートは、まっすぐに山頂へ向かうルートと、十六羅漢が並ぶ岩場ルートの二つに分かれています。せっかくなので、十六羅漢ルートへ進んでみます。





 大小さまざまな羅漢様が並んでいます。
 かつて徳川五代将軍綱吉が大病をした際、生母である桂昌院が飯能出身の大名・黒田直邦に相談し、能仁寺の和尚に祈祷してもらい見事に快癒しました。そのお礼として、この十六羅漢像は寄進されたのです。



 なお、十六羅漢と言いながら、十六体より多いようです。



 若干の岩場はありましたが、十六羅漢を通り過ぎれば、すぐに山頂へ到着します。
 標高195m。登り口からは、およそ10分くらいでした。短い!



 天覧山は、かつて明治天皇が軍事演習の際にこの山に登り、「ああ、よい景色」とおっしゃったことが名前の由来となっています。



 こちらが明治天皇も眺めた天覧山からの眺望です。明治時代から、街並みはだいぶ変わっているでしょうけどね。
 低山ではありますが、なかなか見ごたえのある眺めです。



 続いて多峯主山を目指すのですが、一度谷に降りてから見返り坂を登っていくルートと、少し遠回りになりますが尾根沿いに進んでいくルートがあります。

 見返り坂は、源義経の母・常盤御前が義経を追って東国へ向かう際に登り、あまりの風景の良さに何度も振り返ったことから名づけられたという伝説があります。そういった歴史的なイベントにも興味はあるのですが、山登りを始めたばかりの今は、なるべく多くのピークを回りたいという欲があるので、尾根ルートを進むことにします。

 いったん天覧山中段まで降り、東の尾根筋へと移動。ルートから少し離れたところにある、神久山に登ります。



 神久山の標高は168m。山頂表記はなし。眺望もなし。
 確かに他より小高くはなっていますが、見どころは何もありませんでした。

 神久山を下りて、そのまま尾根道を進みます。アップダウンもあまりなく、快適に歩けます。
 次のターゲットは太郎坊。山頂へ行くには、途中から尾根筋を外れていくようなんですけど……。



 なんとなく道っぽいものがあるような、ないような。ピンクのリボンが巻かれているので多分合っているんでしょうけどね。
 ずんずん進んでいくと、無事に太郎坊山頂にでました。





 太郎坊は標高201mです。
 道が悪かった割には、広場になっていてベンチもあり、山頂は整備されています。
 実は私が入ってきた方の反対側、多峯主山から太郎坊に登ってくるルートは、それなりにしっかりとした道がありました。うーん、こっちがメインルートだったか。





 余談ですが、天覧山・多峯主山周辺には、いたるところにベンチがあって、休息ポイントには事欠きません。老若男女を問わず登山者が多い山なんだろうなぁということが伺えます。
 まあ、それほど休息が必要な山でもないんですけどね。



 そのまま多峯主山山頂付近まで移動。この辺りも細かいルート分岐があり、まっすぐ山頂へ向かうルートと、雨乞池や黒田直邦の墓などを回りながら山頂へ向かうルートがあります。
 いろいろ見て回ろうかとも思っているのですが、まずは山登りをストレートに楽しむため、まっすぐ山頂を目指すことにします。



 多峯主山山頂近くはそれなりに急坂になっていて、鎖場もあったりします。
 ……まあ、鎖を使わなくても登れる程度の傾斜なんですけどね。



 一応、隣には鎖場を迂回する階段もあります。



 鎖場を過ぎると、ほどなく山頂に到着です。
 多峯主山は標高271m。天覧山よりは高いですけど、誰でも登りやすい高さかと思います。



 多峯主山からの眺望はこんな感じ。多峯主山の方が標高は高いけど、天覧山からの眺めの方が見栄えが良いような気がします。周囲の木々などの関係でしょうかね。
 案内板にはスカイツリーも見えると書かれていましたが、ちょっと確認できませんでした。



 多峯主山で昼食の予定だったのですが、まだかなり早いので、先を急ぐことにします。
 この後大黒山から久須美山、かまど山と、飯能アルプスを北西の方へと進む予定なのですが、その前に多峯主山周辺の観光名所へ。





 多峯主山の山頂のすぐ下に、黒田直邦の墓があります。
 黒田直邦は天覧山の十六羅漢のところでも出てきた人ですね。元は飯能の出身だったのですが、旗本だった外祖父の黒田用綱の養子となって跡を継ぎ、五代将軍綱吉から八代将軍吉宗まで仕え、最終的には老中にもなり、上州沼田3万石の大名にまで出世しました。学識豊かな人で、名君として評判だったようです。





 直邦の墓からさらに下ると、雨乞池という池があります。
 山の上にあるにも関わらずこの池は枯れたことがなく、日照りの際にはここで雨乞いをしたそうです。





 さらに下っていくと、御嶽八幡神社があります。
 御嶽八幡神社の下は急峻な岸壁になっています。どうもここでロッククライミングをしたがる人が多いようなのですが、ロッククライミング禁止の立て札が立てられていますので、登らないようにしましょう。



 写真は撮り忘れていましたが、ここから階段を登っていくと御嶽八幡神社があります。



 ここからは富士山がよく見えました。
 ここから見えるっていうことは、多峯主山からも見えたはずですけど、あんまり気にしていなかったなぁ。



 多峯主山周辺の観光名所は見てまわったので、次は大黒山へ向かいます。





 よく整備されていた天覧山・多峯主山周辺とは打って変わり、ここから急に道が悪くなります。通れないほどではないんですけど、倒木が多かったですね。
 大黒山は多峯主山より低いのですが、一度大きく下ってから登る感じになるので、距離は短めですがまあまあ急坂でした。



 大黒山は標高202m。山頂標識なし。眺望無し。完全に通過点です。本当に撮るべきものが何もなかったので、こんな写真しかありませんでした。

 大黒山を降りると一旦道路に出ます。そして住宅地の横を登りながら、久須美ケルン(永田山)を目指します。
 YAMAP の地図では久須美ケルンとなっているのですが、この周辺の案内板などではほとんど永田山と表記されていますね





 ちょっときつめの坂を登ったと思ったら、その上に住宅地が広がっていたときのがっかり感ときたら!



 山頂手前にベンチがあり、なんとなく眺望がありますが、ちょっと木が邪魔かなぁ。





 永田山は標高277.5m。この石積みがケルンってことなんですかね。

 ここから下りながら、およそ10分ほどで久須美山へ。


 
 久須美山は標高260m。山頂には小さなお社がありましたが、山頂標識は見当たりませんでした。

 いい頃合いなので、ここで昼食休憩。歩いていると結構汗をかくんですけど、じっとしているとだんだん寒くなってくる。冬場は体温調節が難しいですね。まあ、何をやっても暑い夏場よりはマシなのかもしれませんけどね。





 久須美山から北西へ進むと、天覚山・大高山方面へのルートと、武蔵横手駅方面へ行くルートの分岐点に出ます。
 いいペースで来ていたので、時間的に天覚山くらいまでなら足を伸ばせそうだったのですが、今日はこのまま予定通り、かまど山を経由して武蔵横手駅へ向かうことにします。低山ばっかりとはいえ、それなりの距離を歩いているので、まあまあ疲れていましたしね。



 本日最後の山・かまど山。標高は293.2m。今日登った山の中では一応最高峰です。実は、天覚山方面へ行く分岐点の方が、かまど山より標高が高かったみたいですけど。
 ……しかし、なんで看板引っこ抜かれているんだろう? 台風で吹き飛ばされちゃった?



 眺望は、あるような、ないような。

 ここから武蔵横手駅へ降りるルートは二つあります。どちらでも同じような距離なんですけど、山頂にある標識では右の方にだけ「武蔵横手駅」と書かれていたので、そちらのルートを通ることにします。





 ただ、こっちはあんまり道がよろしくありませんでした。道中ちょこちょこと標識が立っていたので間違いではないんですけど、倒木が多かったり、あまり人が多く通っている感じではありませんでしたね。もう一方のルートが通りやすかったかどうかも不明ではありますけど。

 それでもなんとか、20分ほどで武蔵横手駅に到着。無事に予定のルートを歩ききることができました。疲れたー。



 今回は初めて奥武蔵の山に登りました。低山ばかりでしたけど、連続してどんどん進んでいったので、まあまあの疲労感でした。でかい山にどーんと登って降りてくるより、こういうちょこまかとしたアップダウンが連続する方が、私にとっては向いているかもしれません。

 東京から遠征することを考えると、池袋を起点として、西武池袋線、西武秩父線、東武東上線、JR八高線、秩父鉄道と路線が走っているので、比較的アクセスしやすいのがいいですね。
 この辺りは比較的登りやすい山が多いので、この冬はこのエリアを中心として、山登りを楽しみたいと思います。



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