きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

認知機能が低下している方のために

2023年10月12日 | ヘルスリテラシー
外来採血室で、患者さんのご案内をしていて気づいたことがあります。

採血室前での受付番号順にお呼びするのですが、採血室内には5つの席があり、1から5までの番号がついています。

自分の受付番号が呼ばれたら、その番号が席の頭上のモニターに示されている席に座っていただきます。
採血にかかる時間は人それぞれなので、座る席が番号順になるとは限りません。
前の人が1番に座っても、自分は4番ということもありえます。

私は入り口で、患者さんをご案内するときに、脳内で次のような認識を瞬時に行っています。
①患者さんが持っているカードの受付番号は何番か?
②その受付番号が示されているモニターは何番の席か?
③「〇番のお席にどうぞ」と言葉にする。

ご案内をしていて、①と②の認知スピードがとても遅い方がいらっしゃることに気づきました。
ご高齢の方に多く、歩くスピードが遅い方ほど、その傾向が強い印象があります。

加齢による認知機能の衰えによるものなので、しかたないということもありますが、①と②がどちらも「数字」であることが、認知努力を要すると思いました。
これまでも、「一番奥の5番のお席にどうぞ」とか「真ん中3番にどうぞ」とか「一番手前のお席にどうぞ」というように言い方を工夫していましたが、耳が遠い方や外国人の方などは、言葉数が多いと、かえって理解しづらいということもあります。

「あいうえお」とか「アルファベット」に変えてみようかと考えたこともありますが、席番号の札に違った色を作ってみました。
幼稚園や保育園では「あか組」「みどり組」というように色が使われていたことを思い出したからです。(最近は聞いたことのないような花の名前がついている幼稚園もありますが・・・)

歩く速度の遅い、つまり認知機能が低下していると思われる方には、これから「ピンクのお席にどうぞ」といったようにご案内してみることにしました。

脳内で数字と色を判断する場所が違えば、認知速度はあがるのではないかという仮定に基づいた対策です。







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