きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

いしゃのきもち

2024年06月12日 | ヘルスリテラシー
バラは通常、接ぎ木で増やすらしいですが、挿し木も不可能ではないと何かで読んだことがあります。

いただいたバラの切り花を、試しに花が終わった後、元気な葉だけを残して先を切り、花瓶で育ててみました。

するとやがて、水につけた切り口のところがモコモコと膨らんできて、根が生えそうな気配が!
初根促進剤といった薬剤もあるらしいのですが、特に使っていません。

新芽が伸びてきた頃には、ちょびちょびと根も生えてきたので、期待を込めて土に植えてみました。

植えてからおよそ10日。

もともとの濃い緑の葉っぱは枯れ落ちてしまい、新芽も元気がなくなってきてしまいました。
時期尚早だったのでしょうか?


赤ちゃんのような根っこでは、土の中でまだ水分を吸い上げる力が弱いのかもしれないと思い、若干土は水浸し状態にし、暑さにもまだ弱いと思うので、日陰で管理もしていました。

植え付ける時に虫よけや肥料を土に混ぜましたが、生卵の殻をすぐにゴミ箱には捨てずに、お守りのように根元に置いてみたりもしていますが・・・


このところの私の心理状態は、非常にシビアな状況の重症患者を受け持っているときみたいな感じです。

時間単位で細かく血圧や脈拍、尿量などをチェックしながら、厳重に輸液や人工呼吸器などの管理をしなければいけないような状態の患者さんの治療は、非常に集中力と緊張を強いられます。

しかも治療の見通しがあまり明るくないともなれば、不安そうな様子のご家族を前に「いまだ予断を許さない状態です。最善を尽くしていますが、覚悟しておいたほうがいいかもしれません」といった説明をしなければならず、主治医はかなりの心理的ストレスを抱えることになります。

でも最もつらいのは患者さん本人ですし、逃げ出すわけにはいかないので、医療者は毎日必死で患者さんの治療にあたります。


今の職場では直接患者を受け持たない立場にありますが、昔何度も味わったそんなときのきもちを、弱っていくバラを見て久々に思い出し、心がざわざわしている今日この頃です。


そもそも、バラの切り花を根付かせようというのが無理な話で、失敗して当たり前!
そんなふうに考えることができれば、これほどストレスを感じなくていいのだろうと思いますが、そこは性格なんですねえ・・・

まあ、とにかくバラちゃんには、もう少しがんばってもらいたいので、毎日声をかけて元気づけています。

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