日本はずっと「タバコ大国」と言われ続けてきました。
その理由は、(男性の)喫煙率が他の先進国に比べて高く、タバコ代も安かったからです。
タバコは徐々に値上げされ、その他のさまざまなタバコ対策のおかげで、喫煙率はだいぶ減ってきています。
ちなみに厚生労働省の国民健康栄養調査によれば、令和元年(2019年)の日本人男性の喫煙率は27.1%、女性は7.6%で、平成元年(1989年)はそれぞれ55.3%と9.4%でした。
男性の喫煙率を見てみると、世界の先進国にやっと肩が並んだ感じです。
男性 女性
アメリカ 24.6% 19.1%
イギリス 24.7% 20.0%
カナダ 16.6% 12.0%
フランス 35.6% 301%
ドイツ 33.1% 28.2%
イタリア 27.8% 19.8%
(数値は2016年WHO推計)
私はこれまで、30歳そこそこで肺腺癌を患い、早逝してしまった女性肺がん患者さんを何人も診て、心を痛めてきました。
彼女たちは喫煙者ではありませんでしたが、みな家庭や職場等で受動喫煙をしていました。
最近の研究では、日本人女性の肺腺癌は、受動喫煙による影響がアメリカに比べて強いということが報告されています。
日本の男性は、タバコを吸わない女性に対して遠慮がなく、女性もそれに対して寛容だということなのでしょうか?
いまだに日本では約3割の方々が職場や飲食店などで受動喫煙をする機会があるようです。
ある時、親しくなった友人から「自分の家族には喫煙者は誰もいない」ということを聞いて、胸をなでおろしたことがありました。
身近な人が吸っているタバコは、受動喫煙のみならず、多様な精神的ストレスをもたらします。
私たちがそういうリスクにさらされなくてすむということに、心から安堵したのです。
差別発言ととらえていただきたくないのですが、パートナーには、できるかぎり、非喫煙者を選んでください。
もちろん、禁煙治療法というものがありますが、すぐに簡単にタバコがやめられるというわけではありません。
肺癌やさまざまな喫煙関連疾患に苦しんでいる多くの方々と、そのご家族を見てきた医師としての実感です。