「新型コロナウィルス感染症の5類への移行」について、しきりと報道されていて、何がどう変わるのか、気になっている方も多いと思います。
これについては、厚生労働省のHPにわかりやすく書かれてあります。
一言でいえば、「この感染症に対しての行政の取り扱い方が変わります」ということですが、ウィルス自体が消滅したわけではありませんし、インフルエンザウィルスに比べて、うつりやすく、後遺症のリスクもあり、治療薬も十分とは言えません。
未知のウィルスによるパンデミックから4年がたち、世界中で大きな犠牲を払った経験と、賢明な研究を重ねてきた結果、新技術でもって開発されたワクチン接種の効果もあり、ようやく「共存・共生」と言われる段階に来たのは確かです。
ですが、世の中の感染症への対応策が十分に改善されないまま国の対応だけが変わると、医療機関への負担がかえって増えるのではないかと心配しています。
「世の中の感染症への対応策」には、私たちひとりひとりのリテラシーの向上が含まれます。
勤務している病院では、今月中旬までは入院予定患者さん全員のPCR検査を実施しています。
最近、露骨に検査を嫌がる方が増えた気がしています。
病院玄関口でも、手指のアルコール消毒をスルーする方や、マスクをし忘れている方も若干見受けられます。
患者さんにしてみれば「テレビなんかでアフターコロナの時代だって連日報道しているのに、まだ検査や消毒しなきゃいけないの?!」といった気持ちでしょうか。
誤解してはいけないのは、ウィルスが消滅したわけではありません。
高齢者や高血圧や糖尿病、肥満といった持病があると重症化しやすいのはご存じのとおりですし、健康な人でも、疲れやストレス、暴飲・暴食、喫煙などで免疫力が低下した状態になれば、感染しやすくなります。
職場にいる新型コロナ感染経験者に話をきいてみますと、「もう二度と、あんな(心身ともに)苦しい思いをしたくない」という感想をもらします。
パンデミック初期に感染してしまった医療者は、社会から差別を受けていたことも、経験者の話を聞いて思い出しました。
先日、私たち医療者には、6月に計画されている5または6回目のワクチン接種の希望調査通知がありました。
私は4年ぶりの海外ですごす夏休みを心に描きつつ、接種希望届を出したところです。
先週末からゴールデンウィークに入りましたが、すでに感染者が増加傾向といった情報もあります。
手洗い、換気、3密(密閉・密集・密接)回避は、貴重な経験から得た人類の知恵です。
ぜひ、これからの生活にも取り入れ、近い将来、再び必ずやってくる新たなパンデミックに備えましょう。