慈恩の日々

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手塚治虫/ガラスの地球を救え・から

2011-12-12 21:25:04 | 本・本屋・図書館
(手塚治虫/ガラスの地球を救え・から)

※視覚映像に対して何だか気になる記述があったので…



(p50より)
当時、戦意高揚のための映画教育を、文部省が率先してやり始めたということは、記憶にとどめておくべきだと思います。

─(略)─

いかに、視聴覚により子どもへの時局教育が重要視されていたかがわかるわけです。子どもに限らず、耳で聞くより目で見るイメージの方が何百倍も強烈です。

アドルフ=ヒットラーのナチス教育のほとんどが、この映像教育でありました。とくに青少年のナチス組織、ヒットラー・ユーゲントを教育するのに、ふんだんに映画を使ったのです。

─(略)─

日本とドイツの共同映画製作もやって、ぼくも子どものころに見せられた覚えがあります。日本人までも、ドイツのナチス政策はこんなにすばらしいんだと見せられたのです。

日本の軍部、情報局関係は、子どもへの映像による教育が、どんなに効果的かをよく知っていたから、こういう政策をとったのだと思います。

そうなるとぼくら子どもは、たまったものではない。一もニもなく戦争におぼれていかざるをえなかったのが、ぼくたちの世代です。

ぼくが、アニメーション映画に力を注いできたのも、一には、この軍国主義による映画の効用を逆手にとって、夢や希望に目を輝かすことのできる子どもたちに育ってもらいたいからなのです。






※今や家庭に数台も下手すればテレビがある時代で、その意味で人の考えに干渉するのは簡単なのです。

子どもはゲーム用にテレビを買ってもらい、一般の人も情報収集や間を持たすための精神安定役としてそれがない日は考えられない。

老人ホームの老人たちの隣にまで付き添いのようにテレビがありますからね。まるでそれが自分達の一部であるかのように…

ゆりかごから墓場までテレビにおんぶしてもらう生き方は今はちょっと遠慮したい。

その意味でテレビは捨ててしまって見てないけど、ひとつだけ言えるのは精神的な成熟が始まるのはテレビを卒業してからみたいです…



「情報の洪水に流されるな」手塚治虫

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