内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)

2008-03-26 | Weblog
  破綻状態の新銀行東京の行く末(その2)
 2. 「再建計画」の概要
 このようなことから新銀行東京は、2月20日、東京都(筆頭株主)による400億円の追加出資を柱とする「再建計画」を発表したが、経営面で次のような合理化を行うこととしている。
 1)本店を新宿出張所の場所に移転し、従来の9店舗体制を1店舗(1店舗内支店並  存制)に集約する。
 2)2012年3月末までに人員を120人(従来の4分の1)まで削減する。
 3)4月以降、無担保・無保証融資を原則廃止する。その上で、今後は担保や保証  が付いた融資を中心にする計画としている。
 4)また08年度以降、預金残高を200億円まで段階的に削減する方針など。

3.  薄れる新銀行東京存続の意義と第3の選択肢
 上記の通り、新銀行東京をいわば縮小均衡させながら、400億円の追加出資をする意義はあるのだろうか。
 )経営改善への不透明性
 店舗を1店舗に集約しても、システムは維持され、毎年約10億円のシステム運用経費が掛かる上、当初の出資1,000億円のうち、700億円を都債で調達しているので、利子支払いが総額100億円に達するとも言われており、相当な営業経費を必要としている。
 その上、融資先約13,000社の内、07年末の時点で経営赤字や債務超過の企業が5,635社、融資額415億円に上っており、これらを含め今後回収がどの程度進むかは不明である。存続の適否の鍵は、融資の回収見通しに掛かっていると言えよう。400億円の追加出資により、収益が黒字化しない場合には、存続させることにより更に赤字が累積し、預金者や納税者等により多額の損害を与える恐れがある。その点につき明確な計画が示される必要があろう。
 これまでの業績が示している通り、それぞれの立場で努力をしているのであろうが、経営陣等が金融のプロフェッショナル集団では必ずしもないので責任が重過ぎるのではないだろうか。同銀行設立時に、民業を圧迫するとの理由で大手都市銀行が設立に反対した経緯から、全銀協の協力を十分に得られていないことも人材確保その他での制約要因になっているようだ。
 )薄れる存続の意義
 収益性以上に問題なのは、新銀行東京存続の目的と意義であろう。資金調達に困っている中小企業に資金調達の機会を与えること自体には意義がある。しかし「再建計画」では、無担保・無保証融資を原則廃止し、担保や保証が付いた融資を中心に貸し付けられることになると、回収率、収益性においては改善するが、中小企業支援という目的は薄れ、一般の銀行や貸付機関と差がほとんどなくなる。
それでも存続させるということであれば確実に収益を挙げられる経営モデルとなっていなくてはならないが、上記の通りその可能性は低い上、そうであればリスクを犯してまで東京都が金融業務を続ける必要はなく、市中の金融機関に任せれば良いということになる。
 また金融の専門家の中には、400億円注入された途端、各種の支払いや預金引き出しなどであっという間に消えて行くとの見方もある。確かに金融事業において400億円という資金では決して多くを期待出来ない。
 3.追加出資の前提となる責任の明確化
 上記にも拘わらず追加出資することは政治的選択肢の一つとしてあり得る。しかし、その場合には、更に損失が増えた場合の経済的な責任を明確にすると共に、法的責任は別としても、都民に対し政治責任を明らかにする必要があろう。
 同銀行が債務超過に近い状態にあることなどを考慮すると、いずれかの金融専門機関に譲渡し、経営を委ねることが最も経済的被害が少ないと思われる。追加出資の前にその可能性を模索することが望ましい。
 また、経済上の被害を拡大しないということであれば、同銀行の目的は達成されたこととし、廃業し清算することも選択肢の一つであろう。同銀行の預金のかなりの部分は、1,000万円以下の預金と見られており、小口預金者の多くには被害はないと思われる。融資先の企業については、政府系金融への借り換えを含め、借り換えの斡旋や無利子の猶予期間(1~2ヶ月程度)を設けるなど、借り手が混乱しないよう配慮することは可能であろう。  (Copy Right Reserved.)                                   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする