JALの法的整理と個人株主の意味
大幅な債務超過で破綻状態のJALの整理、再生を巡り、最大の問題となっていた企業年金の減額問題が現役、退職職員双方の3分の2以上の賛成が得られたことから、「法的整理」が具体的に進められることになった。
これを支援する企業再生支援機構は、1月13日、運航サービスを安定的に継続するため、燃料代金などの商取引債権への支払いは行われると共に、航空券やマイルエージが保護されることなどを発表した。
しかし株式については、100%減資、上場廃止の方針と報道されている。そうなれば金融機関はもとより、約46万人と言われている個人株主の保有株式がゼロとなる。株主は昨年来の株価の暴落で既に損をしているが、更にそれがゼロになる。
個人株主は、総会屋などの不適正株主は別として、これまで民営化後のJALの良き支援者であると共に、サービス業には不可欠な良き潜在的な顧客でもあった。46万人もの個人株主があることは航空サービス業としては大切なアッセトである。それを100%切り捨てて、今後どのように再生出来るのだろうか。国有化に逆戻りしない限り、JAL再生後、一般から資本を調達するため株式を発行して上場するのではないのか。今回、株主を冷遇すれば、個人株主はなかなか募れないであろう。それとも国有化に逆戻りして、非効率な経営で国民に負担を強いるのだろうか。
そもそもJALの従業員は企業年金の50%、退職者は70%も保証されることになる。しかし株主は、全てを失い、保障ゼロとなる。個人株主は経営には関与していないし、多くは支援者に過ぎない。従業員や退職者は、嘗て花形産業として優遇され、企業年金の現役50%、退職者70%が保証される。だが、現役も退職者もJAL破綻の一端の責任はあるのではないか。それ以上に、現役も退職者も公的資金を裏付けとして再生する以上、それ相応の犠牲を覚悟すべきであり、それなくしては再生はおぼつかない。経営に関与していない個人株主を含め、株主を100%切り捨てるのであれば、企業年金も任意拠出年金であるので法的に廃止するか、退職金の範囲内で保障するなど、限定的な保障とすべきではないのだろうか。
株式については、再生が軌道に乗るまでの間、上場を停止し、非上場株式として凍結する方法もあるし、一定割合で減資する方法もある。民営を前提とした再生が望ましく、健全な株主を残すことも必要なのであろう。(01.10.)(All Rights Reserved.)
(不許無断引用)
大幅な債務超過で破綻状態のJALの整理、再生を巡り、最大の問題となっていた企業年金の減額問題が現役、退職職員双方の3分の2以上の賛成が得られたことから、「法的整理」が具体的に進められることになった。
これを支援する企業再生支援機構は、1月13日、運航サービスを安定的に継続するため、燃料代金などの商取引債権への支払いは行われると共に、航空券やマイルエージが保護されることなどを発表した。
しかし株式については、100%減資、上場廃止の方針と報道されている。そうなれば金融機関はもとより、約46万人と言われている個人株主の保有株式がゼロとなる。株主は昨年来の株価の暴落で既に損をしているが、更にそれがゼロになる。
個人株主は、総会屋などの不適正株主は別として、これまで民営化後のJALの良き支援者であると共に、サービス業には不可欠な良き潜在的な顧客でもあった。46万人もの個人株主があることは航空サービス業としては大切なアッセトである。それを100%切り捨てて、今後どのように再生出来るのだろうか。国有化に逆戻りしない限り、JAL再生後、一般から資本を調達するため株式を発行して上場するのではないのか。今回、株主を冷遇すれば、個人株主はなかなか募れないであろう。それとも国有化に逆戻りして、非効率な経営で国民に負担を強いるのだろうか。
そもそもJALの従業員は企業年金の50%、退職者は70%も保証されることになる。しかし株主は、全てを失い、保障ゼロとなる。個人株主は経営には関与していないし、多くは支援者に過ぎない。従業員や退職者は、嘗て花形産業として優遇され、企業年金の現役50%、退職者70%が保証される。だが、現役も退職者もJAL破綻の一端の責任はあるのではないか。それ以上に、現役も退職者も公的資金を裏付けとして再生する以上、それ相応の犠牲を覚悟すべきであり、それなくしては再生はおぼつかない。経営に関与していない個人株主を含め、株主を100%切り捨てるのであれば、企業年金も任意拠出年金であるので法的に廃止するか、退職金の範囲内で保障するなど、限定的な保障とすべきではないのだろうか。
株式については、再生が軌道に乗るまでの間、上場を停止し、非上場株式として凍結する方法もあるし、一定割合で減資する方法もある。民営を前提とした再生が望ましく、健全な株主を残すことも必要なのであろう。(01.10.)(All Rights Reserved.)
(不許無断引用)