融ける北極海の氷海 (その1)
夏になると、特に8月から10月の掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か
温暖化の速度などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は35年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者より300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。
どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。5年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。
これは今起きている現実であり、それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早める恐れがあり、現在世界各地で起っている局地的な豪雨や突風、旱魃など、これまでには見られなかった異常な気候変動との関連が考えられる。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物は死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。冷蔵庫の中の冷凍器部分が夏の一定期間融け落ちることを想像すれば影響の大きさは分かるだろう。
同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。
北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護の必要性が高まっている。
2、北極海に広がるビジネス・チャンス (その2に掲載)
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)
夏になると、特に8月から10月の掛けて北極海の氷海が縮小し、地球規模での温暖化の進行として懸念される一方、夏期限定ではあるがシベリア大陸やカナダ領の北方諸島との間に海路が出来るなど、ビジネスチャンスが広がっている。
北極海の氷原の動きについては、アラスカ大学の国際北極研究センターが衛星写真を長期に亘りモニターし、夏期に氷原が縮んでいる状況を公開しているが、日本の宇宙航空研究開発機構も2012年8月、北極海の氷原が近年で最も縮小していることを公表し、また米国宇宙航空局も同様の分析結果を公表している。
1、縮む北極海の氷海は地球温暖化の警鐘か
温暖化の速度などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は35年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者より300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。
どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。5年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。
これは今起きている現実であり、それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早める恐れがあり、現在世界各地で起っている局地的な豪雨や突風、旱魃など、これまでには見られなかった異常な気候変動との関連が考えられる。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物は死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。冷蔵庫の中の冷凍器部分が夏の一定期間融け落ちることを想像すれば影響の大きさは分かるだろう。
同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。
北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護の必要性が高まっている。
2、北極海に広がるビジネス・チャンス (その2に掲載)
(2012.08.12.)(Copy Right Reserved.)(不許無断転載・引用)