新年のご挨拶
2013年年初に当たり、新年のご挨拶を申し上げます。
本年が皆様にとり実のある年になりますようお祈り致します。
本年においては経済回復が期待されているところですが、昨年10月20日付で「各国、各地域の努力に委ねられた世界経済」と題し、経済実体を越えた円高を是正することが日本の経済回復、産業回復にとって不可欠であると共に、最も効果的であるとし、そのために円通貨の量的緩和が必要との政策評論を掲げました。その上で、米国が国際基軸通貨ドルについて秩序ある為替政策と金融政策を維持することが重要であることを指摘致しました。米ドルは昨年11月中旬以降にドル高に転じ、現在1ドルが87円台に是正され、これを背景として輸出産業や関連する中小の裾野産業を中心として景況感が若干改善しています。
今後円が対ドルで90円から95円前後程度で安定すれば、日本の輸出産業を中心として業績が改善すると予想され、株価も上昇するなどの明るい兆しが見え始めています。このような産業の回復は、被災地域の産業復興にも良い影響を与えるものと予想されます。また日本の経済回復は世界経済にとっても好影響を与えるものと期待されます。
景気の下支えには公共事業は一定の効果があり、新政権により補正予算も検討されているようですが、公共事業は効果が特定の建設産業などに限定される上、建設国債であっても国の借金を更に膨らませ、利払いを含む公債費が財政を一層圧迫し、将来国民の更なる負担を強いる結果となることから、賢明な対応が望まれる。
いずれにしても経済回復は、産業の回復が図られない限り実現しないので、円の対ドル・レート是正、安定化を軸として、政府系金融等をフルに活用し、輸出産業や裾野産業の支援、高度技術の開発・研究、ベンチャー企業等への起業支援と共に、石油暫定税率の実質的引き下げ、自動車重量税の撤廃など自動車関連諸税の撤廃・引き下げ、研究開発や公益事業への投資や寄付への優遇税制など、民間活動の振興策を積極的に行い、民間活力や地方の活力を引き出すことが望まれる。
また消費マインドの改善については、心理的な側面は重要ではあるが、消費の抑制、節約マインドは、各種の将来不安が主要因になっていることを認識し、将来不安を除去することを緊急に行わなくては実効性はないと見られる。現在の消費抑制、節約は。第1に年金不信、第2に90年代後半以来の資産デフレを引きずっており、株価の低迷やインサイダー取引、粉飾決算など株式、証券への不信が存在すこと、そして第3に銀行不信(銀行倒産時のペイオフ・シンドロム、預金金利実質ゼロと高い手数料など)が主な原因となっている。これらの将来不安に一つ一つ丁寧に対応して行かなければ消費マインドは改善しないことを認識すべきであろう。
経済回復は輸出産業を中心とする産業回復に他ならず、消費者マインドの改善は将来不安の軽減、除去に他ならない。2013年が産業回復と将来不安の軽減、除去の年となることを期待するところです。(2013.01.04.)(Copy Rights Reserved.)