内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

2025年年頭のメッセージ

2025-01-08 | Weblog

2025年年頭のメッセージ

 皆様にはそれぞれに良い新年を迎えられたことと思います。

 昨年は新年早々から能登半島を中心として地震と津波が襲い、またその救援に向かう海上保安庁機が離陸時に事故に遭うなど落ち着かない新年でしたが、本年は北陸、東北地方などでの降雪は別として太平洋側はおしなべて天気に恵まれ、また長目の年末年始休暇を取って海外で過ごされるなど、ゆっくりと過ごされた方が多かったことと思います。能登半島の復旧が同年9月の大雨被害もあり遅れたため、未だに避難所生活を強いられ、また見通しの立たない方々もおられ、心からお見舞いを申し上げる次第です。

 2023年5月以降新型コロナの呪縛から解かれ、全体として徐々に日常が戻って来ていますが、コロナ禍の副作用を克服し健全な状態を取り戻すためには、日本だけでなく、世界各国、各地における課題解決に向けて発想の転換と努力、そして時間が必要なようです。

(1)本年は巳年、粘り強い飛躍が期待されるところですが、米国はトラ年です。1月20日にトランプ大統領が就任します。同大統領は2回目の就任であり経験を積んでいることに加え、米国の上下両院とも共和党が多数を占めたことから、政策を強力に進め易い政治情勢となっています。既にトランプ大統領は就任前よりウクライナ-ロシア間の迅速な停戦、和平を提案しています。双方にとって国の存立に係わる領土問題と安全保障に関することであり困難な問題ですが、速やかな停戦と和平を期待したいところです。そうなれば、バイデン大統領時代に2つに分断された欧米経済と露経済は相互に交流し易くなり、地域的制限が少ないグローバリゼーションが進展し易くなり、世界経済の領域が広がります。

(2)経済問題では、中国製品への高関税付与に加え、隣国のメキシコ、カナダへの25%関税付与など、米国ファーストへの復帰が表明されています。これに対し国際協調や多国間主義から外れ、保護主義経済や貿易戦争となるとの懸念が多く報道されています。しかしどの国も口には出さないが、基本は自国ファーストです。国際協調や多国間主義も総合して自国利益になるから採用されるわけです。自国第一主義は行き過ぎると対立が激化しますが、経済は相互に足したり引いたりすることが出来、利益を確保するためにデイール(取引)が可能ですので、経済人であるトランプ大統領はそれを心得ており、デイールは必要であろうが解決は可能であろうと思われます。            

 中国については、国内市場で国有企業への補助金を含め、経済活動を中央統制する一方、国外では世界の隅々まで自由市場の利益を制限無く享受するという状態はフェアーではないので、各国がその間一定の制限を設けることは相互主義とフェアーネスの観点からやむを得ないこと思われます。他方、中国が国内市場の自由化度において内外格差が無くなるよう一層努力することが必要と思われます。

(3)トランプ政権において最大の懸念は、温暖化進行と急速に荒々しくなっている気候変動です。米国と中国が温暖化の原因となる炭酸ガスの最大の排出国ですが、米国が中国を説得し、世界の温暖化対策のイニシアテイブを取れるかが課題となります。温暖化を止めることは、米中双方のためでもあり、南極や北極だけでなく、海抜の低い島嶼国や都市、世界の屋根ヒマラヤやアルプス等を護ることにもなります。(M.K.)


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