情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

新聞各紙がNHK関連会社剰余金問題で「情報流通促進計画」を追っかけ~とあえて挑発的に書いてみる

2007-09-14 03:27:42 | メディア(知るための手段のあり方)
 9月13日付朝刊では、当然ながら、安倍辞任後継問題が大きく報道された。そんな中、NHKの子会社などが剰余金886億円余りにもなっていることが、それなりのスペースを割いて報道された。このことは、NHKの受信料値下げ問題のみならず、受信料のあり方そのもの、いや、NHKのあり方そのものを議論する際にも必要な情報であり、安倍関連報道のなか、各紙がそれなりのスペースを割いて報道したことは歓迎すべきことだ。

 というのも、このニュースはこれまではあまり報道されておらず、昨年5月2日、当ブログに掲載した際も(※1)、ほかのメディアには掲載されなかったように思うが、NHKのあり方が問われているいま、この情報は欠くことができないものだと思われるからだ。

 で、このNHKの関連会社プール金問題については、各紙の記事( ※2※3)を読んでいただければお分かりだと思う。簡単に言えば、公正さが疑われる随意契約によって、受信料を、天下り先の子会社に貯め込んでいた、という図式だ。もちろん、番組制作能力は下請け会社によって違うため、随意契約にせざるを得ないという言い分もあろうが、子会社を通さないと現場の孫請け会社が契約できないシステムなど不透明感は否めない。

 本題は、挑発的な見出しのとおり。つまり、この種の情報がなぜ、これまで報道されなかったのか?それは、日本のメディアがテレビと新聞が系列下していることにより、テレビ業界と新聞業界が緊張関係ではなく、なれ合い関係になっているため、根幹に関わるような問題点の指摘を避ける傾向にあるからだ。テレビと新聞の系列が別であれば、テレビを取り巻くシステムの問題点を新聞が書き、また、その逆に新聞を取り巻くシステムの問題点をテレビが報道することで、各メディアのシステムが公正なものとなり、時の政権からつっこまれることを防ぐことができるにもかかわらず、日本ではそうなっていない(※4)。

この強固なシステムに風穴を開けることができる方法の一つが市民メディアによる情報発信だと思う。今回の各紙の報道に1年前のこのブログの記事がどの程度影響したかは分からない。もしかしたら、まったく、関係ないのかもしれない。

しかし、もし、今回、各紙が昨年までと同じようにまったく、NHKプール金問題を取り上げなかった場合、当然、このブログでは、報道しないこと自体を問題としただろうし、そうなれば、このブログを見てくれた方の情報流通などもあいまって、報道しないメディアへの批判がある程度起こったのではないかと思う。

そのような批判こそがテレビ新聞系列化によるなれ合い報道を緊張感のあるものにすることができる。もちろん、マスメディアの取材力と違い、個人のブロガーの取材力には限界があるから、あくまでも補完的な役割にとどまるとは思うが、この補完的な役割が求められている。メディアの側もせめて現場レベルでは、素人の価値のない情報だと切り捨てるのではなく、取り上げるべきは取り上げてほしい。

で、さらに、今回、報道した朝日(右)と毎日(左)を比較すると、毎日がNHKにとって書かれてほしくないことまできちんと突っ込んでいるのがよく分かると思う。もちろん、本文を読むと、ある程度朝日も書いてはいるが、見出しで圧倒的に毎日が買っている。解説記事だって、受信料の問題を正面からとらえ、何を問題にするかというアジェンダセッティングの機能をきちんと果たしている。

書かれてほしくないことを書くことこそが、監視機能を果たすことであり、軍隊の海外派遣が問題となっている今こそ、その役割を果たすべく、いやなこと、特に政権にとっていやなことを報道してほしい。

朝日は夕刊で、自らの戦争責任を追及するすばらしい連載をしている。末尾にその記事を紹介する。社外の人間がこんなことをいうのも何ですが、その記事をいまの朝日の記者全員がかみしめてほしい。もちろん、朝日内部で頑張っている人がいるのは確かだが、少数派に追いやられている。これも、市民にとって、とても不幸なことだ。


大阪朝日新聞の編集長高原操は、満州事変発生から約1年後、社内会議で次のように言ったという。

【もし、万々一憲法の明文にでも抵触するような事態が起こり、議会政治を暴力をもって破壊せんとする如きがありまする時には、諸君とともに大覚悟を致さなければならない】

しかし、発言は続く。

【しかし今日は未だそんなところにまでには至ってをりませぬ】

結果的に戦争中、朝日新聞が大覚悟をもって権力に抗することは一度もなかった。

この反省をもとに日々の記事を掲載してほしい。

そういう応援の意味を込めて、今回のエントリーはあえて挑発的なものとしました。頑張れ~。


※1:「NHK子会社の内部留保なんと848億円~受信料324万人分」http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/5477718df5ba3e84424a54785aada0b8

※2:朝日http://megalodon.jp/?url=http://www.asahi.com/national/update/0913/TKY200709130001.html&date=20070914024925

※3:毎日http://megalodon.jp/?url=http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070913k0000m040060000c.html&date=20070914025108

※4:図解!これがとことん不自由な日本のメディアの全容だ~先進国とは思えない国辱的な非民主的システム http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/59df2623d2dbe2c0c3569bd9862508df








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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