情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

あなたは、なぜ、NHK受信料を払うのですか?~NHK受信規約の仕組み~50円値下げの前にすることが…

2007-09-22 18:55:02 | メディア(知るための手段のあり方)
 あなたはNHKの受信料を支払っていますか?そうですか、支払っているんですか。では、あなたは、受信料を支払う根拠となる契約の内容を知っていますか?産経新聞によると、【NHKは21日、策定中の中期経営計画で焦点となっていた受信料の値下げ問題について、一律月額50円を値引きした上で口座振替利用者をさらに50円引きにする2段階方式にする案を、25日に開かれる最高意思決定機関の経営委員会(古森重隆委員長)に提示する方針を固めた】(※1)らしいが、値下げだなんだとごまかす前にいったい、NHKの受信料とは何なのか?なぜ、支払うのか?について、もっと、議論し、NHKのあり方について多くの市民の同意を得ることが大切だろう。あなたは、なぜ、NHK受信料を支払うのですか?

◆受信料の実態◆

まず、受信料の実態を確認しよう。NHKの調査(平成19年3月末現在)によると、そもそも受信料を支払うべき世帯は4704万件、うち契約をしていない世帯(未契約世帯)は1086万件(23.1%)、契約はしているけれど支払っていない世帯(支払中断世帯)は298万件(6.3%)となっており、結局支払っている世帯は3320万件(70.6%)となっている(※2)。

ちなみに契約はしているけれど支払っていない世帯のうち、87万件(全体の1.8%)は支払いを拒否したり、留保したりするなどしている意図的な未払い世帯だという。

契約率は平成8年度の81.6%→平成18年度76.9%と4.7%のダウン

支払率は平成8年度の79.3%→平成18年度70.6%と8.7%のダウン

となっている。


◆NHKが裁判を起こした相手は?◆

NHKは受信料支払いの低下を放置することはできないとして訴訟まで提起している。さて、その訴訟の対象は、未契約世帯(そもそも契約をしていない世帯)か、それとも支払中断世帯(契約はしたが支払いをしていない世帯)か、いずれだろうか?

実は、支払中断世帯だ。でも、支払中断世帯よりも、未契約世帯の方が数が多いのに、なぜ、NHKは未払中断世帯をねらい打ちするのだろうか?

その鍵は、NHK受信料を決めた法律「放送法」にある。

放送法は、32条1項で「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定しているが、受信料を支払わなければならないとは規定していない。

むしろ、32条2項で、「協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」と規定してあるところからすると、受信契約を締結することによって支払義務が発生するようだ。

したがって、受信契約を締結していない者に対して、受信料を支払うよう強制することは困難だ。そこで、NHKは裁判を起こしてまで受信料支払いを求める相手を、支払中断世帯に限定しているのだ。未契約世帯を相手に訴訟を起こすとすると、契約もしていないのになぜ支払わなければならないのか、という問題が生じるからだ。

なお、日本放送協会放送受信規約(受信規約)は4条1項で「放送受信契約は,受信機の設置の日に成立するものとする」と定めている。この規約の意味は今ひとつ不明確だが、契約締結行為もなく、契約が成立するということではないのではないだろうか。

◆受信契約は解約できるのか◆

では、いったん、受信契約を締結した場合、それを解約することはできるのだろうか。

日本放送協会放送受信規約(※3)は、9条で「放送受信契約者が受信機を廃止することにより,放送受信契約を要しないこととなったときは,放送受信章を添えて,直ちに,その旨を放送局に届け出なければならない」と定めている。つまり、テレビを廃棄したら、NHK受信契約を解約することができるように形式的にはなっている。

しかし、他方で、買い替えの場合については、ほとんど触れていない。規約3条1項で、「ただし,新規に契約することを要しない場合を除く」とされているくらいだ。ここらあたりもグレーゾーンだ。

また、受信規約上は、受信機を廃止しない限りは、受信契約を解約することはできないような形式になっている。しかし、NHKが戦争遂行に賛成するような事態に至ったりしたときにもNHKに受信料を払わなければならないのだろうか?

◆法的に支払義務を定めていないのはなぜか◆

ここまで見たように、現在、法律は、テレビを所有している世帯に支払義務を課しているのではなく、受信契約締結義務を課しているに過ぎない。しかも、締結義務に反したからといって、なにかのペナルティーが課されるわけでもないのだ。

では、なぜ、支払義務を課していないのか?

ここにこそ、NHKのあり方を考えるヒントがあるはずだ。放送法で定めていること、受信規約で定めていること、このあたりをきちんと視聴者に説明したうえ、なぜ、NHK受信料を支払うのか、支払わなければならないのか、NHKはきちんと説明し、視聴者と議論をする必要がある。報道機関として、そのような説明義務を果たさないまま、税金の一種でもあるかのようにグレーな形で支払を迫るのは、問題があると思う。

そして、将来、支払義務を法的に課すべきなのか(税金方式)、それともスクランブル化するのか(WOWOW方式)、民放化するのか(無料方式)、あるいは現状を維持するのか。維持するとして改善すべきは何なのか…?、をNHKが存在するべき理由とともに考えていかなければならない。

そういう議論をせずして、何%減額したから支払義務を法的に定めてほしい、なんてバーターをNHK幹部と政府との間でしようとしているのは、ちょっと許しがたい!


※1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070922-00000900-san-soci

※2:NHKの概要、受信料体系の現状についてhttp://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/kohei_futan/pdf/070601_2_si4.pdf

※3:http://www3.nhk.or.jp/eigyo/kiyaku/kiyaku_01.html







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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-もう、アベちゃんを責めないで-橋本勝の政治漫画再生計画第89回

2007-09-22 13:02:23 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本勝さんのコメント】
 突然の辞任から10日以上たった。その安倍首相はいまだに病院のベッドの上。
 この間、安倍首相に対するバッシングは激しさを増すばかり、なにか可哀想な気さえしてきた。しかし、安倍首相とはいったい何者だったのだろうと思わざるを得ない。
 選挙の顔として期待されたアベちゃん。その顔をはがしてみたら、そこにはファシストのヒトラーの顔があらわれた。美しい国とか言っちゃって、日本を戦争のできる国にしようという執念に燃え、民主主義を踏みにじる強行採決を繰り返し、選挙に大敗しても権力のいすわろうとした。でもそんなアベちゃんの強がりも、長くは続かなかった。
 突然、首相の座を放り出した。その無能、無責任、忍耐力のない、お坊ちゃんぶり。哀れでコッケイなピエロでしかなかったのだ。こんな道化を日本のトップにしていたとは…。
 もはや風刺マンガの標的にもなりはしない。だからゆるしてやりたいアベちゃんなのです。でも首相を辞めるのといっしょに、在任中決めた悪法、教育基本法改悪や欠陥だらけの国民投票法を廃案にしなくてはダメですよ。


【ヤメ蚊】
 そうですね、人は無理をするとき、ピエロになるのかもしれないですね。時には、独裁者の仮面をつけて…。







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