情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

刑事裁判での99.9%有罪って誇れることか?

2008-11-14 06:57:40 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 立場上、証拠もないのにある人を犯人だって言うわけにはいかない。なので、抽象的な話として聞いてほしいんだけど、日本の刑事罪版の有罪率が99.9%っていうのは有名だけど、これっていいことだって思いますか?

 確かに結果的に検察官のふるいにかけられ、起訴されなかった人にとってはとてもよい制度っていうことになるかもしれないが、抽象的にはその人が裁判にかけられたら、有罪になっていたかもしれない。つまり、本来、有罪になるべき証拠がある場合も、検察官の判断で起訴しないケースもあるのではないだろうか…。

 もちろん、検察官で絞れば、本来有罪となるべき人も見逃すかもしれないが、冤罪も防げるからいいのではないかという反論があるだろう。しかし、それに対しては、本気で冤罪を防ぐつもりがあるならば、なにゆえに、警察・検察が取り調べた証拠のすべてを弁護側に見せないのか?と問い返したい。

 そういう部分を改善しないでおいて、「99.9%に絞っているから冤罪も少ないはずだ」なんていうのはちゃんちゃらおかしい。

 無罪方向に働く証拠を隠しておいて、99.9%の有罪率を誇られても、それは、冤罪を次から次へ製造しているだけではないかっていう気になる。

 最初の話に戻ると、現状では、検察官は絶対に有罪と認定できるという自信がなければ、起訴しない。そうなると、かなり証拠があっても検察官の判断で起訴しないこともあるということになる。つまり、検察官がひとりで非公開で裁判をしているようなもんだ。

 世間は、網が粗いこと(犯人を逃すこと)を許さない。ならば、なぜ、検察官の絞りを批判しないのだろうか?これってダブルスタンダードではないだろうか?



 …今回のエントリーは、誤解を呼びかねないのは承知しています。しかし、いまのシステムで検察官が100%の有罪を確信した起訴をすることは、かならずしも、被疑者のためにも、社会のためにもなっていないと思うのですが、いかがでしょうか…。

 まぁ、日本では起訴の負担が大きすぎるというのはあるんだけど、それって、起訴=有罪という色眼鏡があるからだ、ともいえるしね…。

 やはり証拠開示から改善していかないと…。



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