裁判員制度でいま、一番関心を呼んでいるのは、裁判員選任手続きの際に強姦(ごうかん)致死傷事件など性犯罪被害者の情報が、守秘義務のない裁判員候補者に伝わる可能性があることだ。全国の女性団体などが被害者のプライバシー保護を最高裁に要望していることが報道されている。
毎日新聞によると【裁判所は選任手続きで、候補者らに事件の概要や被告、被害者の名前など個人情報を伝える。被告や被害者と関係があったり、不公平な裁判をする恐れがある候補者は裁判員になれないためだ。
しかし、この仕組みでは、被害を知られたくない性犯罪被害者の名前も知られてしまう。このため、アジア女性資料センター(東京)が取りまとめ役となり、52団体と賛同者848人が改善を求めた】という(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090520ddm041040141000c.html)。
これに対し、最高裁は、【被害者名を出さずに大まかな情報を伝え、思い当たる人物がいるか候補者に尋ねるなどの運用をし、候補者には口外しないよう求めるとしている】(同上)が、それでは当然、不安だろう。
というのも、裁判員については懲役までの罰則付きで守秘義務が課されており、それと比較するとあまりにも扱いが軽いからだ。
もちろん、被害者名などは公開の法廷では明らかになるから守秘義務を課しても仕方がないという反論もあろうが、それならば、裁判員だって同じことで、公開の法廷で明らかになった事実は守秘義務の範囲から外すことを法律上明記すべきであろう。
裁判員制度による手続きを考えるとき、女性団体が指摘するような問題が生じることは制度設計担当者であれば、容易に知ることができただろうし、だからこそ、最高裁も一定の対策をとっていると答えたのだろう。しかし、その対策は、あまりにも性犯罪被害者のプライバシーを軽視するものだった。
このことから、なぜ、裁判所が裁判員に評議の秘密を守らせるようとするのか、その理由がはしなくも表ざたになったといえる。そうでしょう、だって、犯罪被害者のプライバシーは軽視して、評議の秘密を重視している以上、本当に秘密にしたいのは、被害者のプライバシーなどではなく評議の際の裁判官の議事の進め方ってことになるからだ。
そもそも、裁判員制度は、全員一致でしか結論を下せない陪審員制度とは異なり、原則単純多数決だから、議事の進行の方法で、結論は大きく左右される。しかも、評議の時間も、陪審のように無制限一本勝負ではなく、制約が課されている。それだけに裁判官は、強引な議事進行をしたいという誘惑にかられることだろう。
したがって、この議事進行を表にされたくない…ということになり、評議の秘密は懲役をもって守られることになった…。
そういう意味で、性犯罪被害者の問題は裁判員制度全体の問題だといえる。
★キャンペーン中「私は、民主党が導入しようとしている政治家の相続税脱税防止規定(世襲防止強力対策)に賛同します。民主党がこの規定を実効的なものにすることを期待します」
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。
毎日新聞によると【裁判所は選任手続きで、候補者らに事件の概要や被告、被害者の名前など個人情報を伝える。被告や被害者と関係があったり、不公平な裁判をする恐れがある候補者は裁判員になれないためだ。
しかし、この仕組みでは、被害を知られたくない性犯罪被害者の名前も知られてしまう。このため、アジア女性資料センター(東京)が取りまとめ役となり、52団体と賛同者848人が改善を求めた】という(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090520ddm041040141000c.html)。
これに対し、最高裁は、【被害者名を出さずに大まかな情報を伝え、思い当たる人物がいるか候補者に尋ねるなどの運用をし、候補者には口外しないよう求めるとしている】(同上)が、それでは当然、不安だろう。
というのも、裁判員については懲役までの罰則付きで守秘義務が課されており、それと比較するとあまりにも扱いが軽いからだ。
もちろん、被害者名などは公開の法廷では明らかになるから守秘義務を課しても仕方がないという反論もあろうが、それならば、裁判員だって同じことで、公開の法廷で明らかになった事実は守秘義務の範囲から外すことを法律上明記すべきであろう。
裁判員制度による手続きを考えるとき、女性団体が指摘するような問題が生じることは制度設計担当者であれば、容易に知ることができただろうし、だからこそ、最高裁も一定の対策をとっていると答えたのだろう。しかし、その対策は、あまりにも性犯罪被害者のプライバシーを軽視するものだった。
このことから、なぜ、裁判所が裁判員に評議の秘密を守らせるようとするのか、その理由がはしなくも表ざたになったといえる。そうでしょう、だって、犯罪被害者のプライバシーは軽視して、評議の秘密を重視している以上、本当に秘密にしたいのは、被害者のプライバシーなどではなく評議の際の裁判官の議事の進め方ってことになるからだ。
そもそも、裁判員制度は、全員一致でしか結論を下せない陪審員制度とは異なり、原則単純多数決だから、議事の進行の方法で、結論は大きく左右される。しかも、評議の時間も、陪審のように無制限一本勝負ではなく、制約が課されている。それだけに裁判官は、強引な議事進行をしたいという誘惑にかられることだろう。
したがって、この議事進行を表にされたくない…ということになり、評議の秘密は懲役をもって守られることになった…。
そういう意味で、性犯罪被害者の問題は裁判員制度全体の問題だといえる。
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