ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

足…からず?

2009-07-19 16:42:58 | 昔の道具・暮らし
写真は今日届いた鼻緒です。ハデ目とジミ目、

ゆかたがはやりだしたのはいいけれど、
ゲタではなく「ゲタもどき」や、つっかけのようなサンダルが出ています。
どこのショップでしたか、木のサンダル、台に布が一枚、
逆Uの字にかぶっていて、両脇が鋲でとめてあるあれ…
「ラクでモダンでナントカで」…ゆかたにも足が痛くならないってあったけど、
あれは私の時代では「便所サンダル」と呼ばれていたもの…はっはっは。
今でも古い病院なんかいくとタイル張りのトイレで履き替え用にありますな。
世の中カワッタ…のか?
わからないでもないんです。ゲタの履き方歩き方は、コツがあります。
いきなり素足ではきついでしょう。
妙なレースたびなども、鼻緒ズレ予防には履きたくなるかもしれません。

ゲタは履くものではなく「つっかけるもの」なのですが、
その辺がやっぱり難しいのでしょうねぇ。
ちょうど外国人が「そばをすすれない」ってのと同じで、
やったことないことは、説明されてもなかなかねぇ。
でもねぇ、あのミュールというもの、
私はあのしまりのなさと、靴だかサンダルだかわからない中途半端さが嫌いですが、
あれをよく、ズルタラひきずっているじゃありませんか。
似たようなもんじゃないかとおもうんですけどねぇ。

ゲタもぞうりも、かかとは台の外に出ていてアタリマエです。
今私のはいている「のめり」は、Lサイズしかなかったので、
それを買ってしまったのですが、ほんとに「庭ゲタ」がわりです。
外には野暮ったくて履けません。台に足が全部乗って、まだあまってるなんて。

ゲタはこんな風にはくんですが…
コキタナイ足ですみません。がまんしてよく見てください。
前坪(の布)、指の間から見えてますでしょ。つまり奥まで入れないんです。
この位置で、親指と第二指で、自然ときゅっとはさんでいるんです。
これは「粋」な履き方、なんだそうですが、そうなんですかねぇ。
もうちょっと前に指が出てもいいんでしょうね。


  


これでこのまま歩くわけですが、足を前に出したら、
ゲタが吹っ飛んでいきそうに思えても、指二本でつまんでいるので飛びません。
下駄は足の甲の上にV字に乗った鼻緒で、下にも落ちないわけですから、
極端な言い方をしますと、指二本で鼻緒ををつまみながら、
甲でゲタを運ぶイメージ…だからズルズルと引きずる感じになるんですね。

民族資料館などへ行くと「田ゲタ」というものがあります。
時代や地方によっていろいろな形がありますが、
元々ゲタはたんぼからはじまったようなものです。
田ゲタは、泥田の中で作業をするのに足が沈まないための道具ですから
一番シンプルなのは、板に棒が一本打ち込んであるだけのもの。
この棒を、親指と二番目の指で挟んではきました。
泥の上をすーっとすべれればよかったからです。

日常の履物については、当時は要するに「身分高きもの」のお道具、
庶民は手近な材料で、動きやすいものとして「藁ぞうり」などを履いたわけです。
いずれにしても、日本では足全体を包む「靴」タイプのものは、
身分の高いものの儀式用とか特殊な仕事(狩猟とか)雪国の防寒用などで、
一般の人はみんな「つっかけるもの」だったわけです。
元々靴というのは、なじみの薄いものだったんですね。

以前書いたかと思うのですが、健康シューズなどが販売されはじめたころ、
あしがゆったり中で自由に動く、という素材の靴をみつけ、
足が野放図に広がっていた私は、喜んで買いました。
足を包む部分が伸縮素材のものです。しかし、これはダメでした。
なぜかというと、たしかに伸びますから足の指などは靴の中で自由に動いて
ラクなのですが、伸びるということは「支えてくれない」ということで、
たとえばでこぼこしたところで足が傾くと、そのままそっちへ靴ごと足が
流れてしまうのです。下駄なら鼻緒を指で捕まえていますから、
その鼻緒とつながった「台」は動かないので、しっかりふんばれるわけですね。
靴は足にぴったりついて、包み込むことで足全体を保護しますが、
ゲタやぞうりは「前坪という一点を指でつかむ」ことで、
「足の裏」を保護するわけです。
わらじなどもそうですが、靴と違って要するに「足裏を守るもの」です。
まわりは保護されなかったんですね。思えばものすごい履物なんですわ。

そんなわけで、ゲタは靴とは根本的にちがうものです。
足の指を使えないと、鼻緒ズレでも特に親指の内側を痛めます。
昨日いただいたコメントにもありましたが、足の指を動かすこと、です。
どうも男より女のほうが、指は割りと動くようで、
我が家では男性軍は、足はただ歩く道具?母と私は足の指がよく動きます。
私は父とオットから「猿足」と言われていまして、
細かいものでも足でつまんで拾ったりして「行儀が悪い」と叱られたりしていますが、
つまめるんだからしょーがない?
元々手に障害のある方などは、足指を訓練して字も書くし、針仕事もします。
訓練次第なんだと私は思っています。
毎日遊んだり、歩いたりしていることが自然と訓練になる子供のうちから、
ゲタをはかせてあげてほしいですね。偏平足も防げますし!

というわけで、昨日のゲタ、鼻緒が届いたので挿げ替えをはじめたのですが、
大失敗、穴の割りに太い鼻緒を選んでしまいました。
プロじゃないんだから、そういうところきをつければいいのに…。
前坪はきれいに入ったのですが、後ろの根元部分がきっちり入りません。
見た目きれーじゃない…


     


無理やりつっこみましたが気に入らないので、
もう一度、鼻緒の端部分に糸をまいて細くするところからやり直し…。
あー、ドジだぁ。







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8 コメント

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Unknown (陽花)
2009-07-19 20:49:53
草履は長年履かずに置いておくと、接着が
ダメになってパカンと外れてしまうのを
以前見ましたから、つい古い物は怖いと
思っていましたが、下駄は鼻緒さえすげ替えれば大丈夫なんですね。

下駄も草履もつい指の奥まで入れてしまう
癖があるので、鼻緒がすぐに不細工な形に
なってしまいます。

おしゃれな鼻緒でいいですねぇ。
返信する
はじめまして (沙弥)
2009-07-20 00:00:25
私も草履やサンダルを履く事が多いので、足の指はよく使っていると思います。

下駄も粋で良いですよね。

男の方は仕事などで長時間靴を履いたりするので、
なかなか足の指をうごかせられない人もいるのでしょうね…

ですから、足の指をパーに広げる事はおろか、
親指だけ上に反らしたりするチョキや、
指を親指・中3本・小指とか3分割に分けて広げたりとか出来ない人も多いようです…
返信する
とんぼさんさすがです (nana)
2009-07-20 07:58:52
下駄の鼻緒を自分ですげてしまうなんてとんぼさんさすがです。色も素敵。
私はそんな真似はとてもできないので、本職にお願いします。寺町のせいか、ちょっとの前の料亭街が近いせいか古い履物屋さんが何でもやってくれるのですが、問題はおじさんと私の時間帯がどうも徹底的にずれていること。なんだかつかまらないんです。あとは買ったお店。
ちょっときつい、ゆるいと言って年中直してもらっています。
鼻緒をちょいとつっかけてはさんで履くものだというのは、知識としてずっとあるのですが、実際はできません。(でも、年中草履で走っていますが)
先日よくのぞいている草履屋のおじさんは「この草履は足をぐっと入れちゃっていいんです。滑らないでしょ」と言ってエイ革の草履見せてくれましたが、高かったー。滑らないなら、指入れていいんですかねぇ。

陽花様
こんなところで横レスすみません。パカンとなった草履履いてました。コンビニで両面テープ買って応急措置に貼って帰りました。家で接着剤で付けました。便利な色でしたので、今も時々履いております。ちっとも懲りておりません。・・・
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Unknown (とんぼ)
2009-07-20 19:17:48
陽花様
私も母にもらった草履、なんか全体に
乾燥した感じで、裏がとれかかったり、
なんかかかとの重なり部分がひび割れたり…。
やっぱりお手入れは大事ですね。
この鼻緒、最近はやりのふわふわ太め、
まずかったですわ。
やり直しに挑戦です。
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Unknown (とんぼ)
2009-07-20 19:21:07
沙弥様
こちらこそはじめまして。
ようこそおいでくださいました。

我が家でも、オットなどは、前後に曲がるだけ、
などという状態です。
靴に閉じ込めるのは、やっぱり足には
かわいそうなのかもしれませんね。
私は、左の方は三分割できるんですが、
右はちと難しい…足は左利き?なのかもです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-07-20 19:27:20
nana様
庭ゲタなどは、母が自分で直してました。
みようみまねなので、コツがわかりません。
普段履きはいいけれど、やはりいいものは
プロにお願いしたいですね。
やってもらうのが一番です。

ちょいとはさむとか深く入れるとか、
履き方も実はその人の足の形などで、
微妙に違うのだと思います。
鼻緒ズレや、足の痛みがなければ、
それが一番合っている履き方ってことですね。
「エイ皮」…ちょっとさめ皮なんかも
思い出したりして…。
滑らない場合、どうなんでしょ。
ちょっと突っかけただけでも、
足についてきてくれると思うし、
いや一度はいてみたいものですね。
返信する
とんぼさんは・・・ (蒔 糊美)
2009-07-21 12:40:06
 私の心が透けて見えているのでしょうか?  Love❤
ちょうど 履物のことをお聞きしたかったところです。

 祖母の履物を活かしたいのですが、昔の台は22cmくらいですよね。
私は24.5cmの足(汗)なのですが・・・
母は「そんなビャーッ!っと突っこんで履かないで
指でつまむもんなのよ!」と言いますが
・・・んなことしたら、5cm以上はハミ出るんですよー。
そんなに出ても変じゃないのでしょうか?

 また、別珍の鼻緒(畳表ゲタ・黒塗に蒔絵)って夏でもOKなのでしょうか??
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-07-21 13:25:32
蒔 糊美様
「ビャーッ」と突っ込んではかないほうが
いいのですが、それでも5センチ出ますとねぇ。
見た目の問題より、たぶん足のかかと裏が
痛くなると思います。
鼻緒ズレがしなければ、それは突っ込んで
履いたほうがいいと思いますよ。

ゲタも鼻緒も一応「夏物」とかありますが、
着物ほどうるさくはありません。
別珍は「あたり」がやわらかいので、
よく使われます。
あとはやはり見た目の「涼しさ」ですね。
素足か足袋かで、ゲタの印象は
「涼しげ」とか「粋」とか、かわるんです。
足袋をはくなら、見た目涼しげな鼻緒が
いいんじゃないかとは思いますが。

畳表のゲタはとても素敵ですが、
足袋はくとけっこう滑ります。
夏場素足のほうがいいかもですね。
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