ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

怪しい講座その2ですー

2007-03-13 17:02:17 | 着物・古布

写真は内容とまーったく関係なくてすみません。
70歳ちょっとのバサマ、私は洋装では絶対バサマに勝てまへん。
ん?…和装もか?

さて、作ろー作ろーと言ってそれだけじゃねぇ…。
というわけで、今日は「作る」お話…なんですが、
先日書きましたように、まず「本」をお求めになることをお勧めします。
わずか数ページのために買うのは…というのもありますから、
図書館でコピーするとか、お友達に借りるとか…。
和裁本でも現代のものなら「アマゾン」などでも古本ででています。
作り方を載せるのはカンタンなんですが、ここはお教室ではありませんので
詳しくは載せません、ポイントとか工夫のお話をしたいと思います。
作るとなれば、実物を写真でのせたいところですが、
そこまでの準備はできませんで、いつもの「お絵かき」でごめんなさいです。

さて、細かいお話の前に、「晒(さらし)」について。
さらしというのは、現代ではほとんど木綿をさしますが麻もあるそうです。
幅は34センチくらい、つまり反物と同じくらいの幅で、
市販のものは長さ9~10メートル、これは品質と価格によります。
晒木綿は、和裁の世界では下着として、また赤ちゃんの肌着やオムツとして
それから料理の世界では、ふきんにしたり素材を包むものとか
ほこりをよけるとか…そりゃあもう用途が多いわけです。
昔、武士は保温だけでなく、身を守るためにも使いました。
水を含めば固くなって刃物を通しにくくなりますし、
万一切られたときは、傷口がひらくのを防ぎ内臓や血の飛び散りを押さえたから。

なんか物騒なハナシになってきましたね、。
ともかく、ことほどさように用途の広いものですから、
晒もピンキリで、目の粗いものからきっちり詰まったものまでいろいろ。
最も粗くてむこうが見えるのが「ガーゼ」、綿紗ともいわれました。
夏の暑いさなかには「ガーゼ」もいいんですが、薄くて縫いにくいのがねぇ。
だいたい1000円以上のものが、肌じゅばんにはむきますが、
いまやネットで探すと、廉価で使用目的の詳細な説明つきも出ています。
実際には自分の目で見て選ぶのが一番であることは、言うまでもありませんが。
一反買えば、一枚の肌じゅばんを縫うのに、3メートル半くらいですから、
どこかであまり布を使うとか、別のものをつけるとかすれば、三枚作れますね。
もちろん「下」つまり裾よけも作るとすれば、
腰布(裾よけの腰周り分につける布)にも使います。これは作り方いろいろですが
1メートルとかそれくらい。つまり自分の腰に腰巻を巻く分いるわけです。
ただし幅は狭くてもいいので、臨機応変です。
では「お絵かき」を…肌じゅばんの図です。





えっこれだけ?…はい、これだけなんです。あとは寸法しかありません。
それくらいカンタンなものなのですね。
右端の図はわずかに色をつけて見やすくしましたが、要するに「身八ツ口」です。
左の薄いピンクが胴、右上のグリーンが袖、点々のラインが縫い合わせた部分。
胴・袖・衿、パーツはそれだけです。もちろん「ここはぐし縫い」とか
「○○ぐけ」とか、細かいことはありますが、
とりあえずは「組み立て」の単純さをおわかりいただけたらと思います。

基本の図は、どの本を見てもこんなもんです。
時代によってちょっと注意書きがあったり、
寸法がわずかに違ったりしますが、大筋は変わりません。
また「別布」を使えば…と書きましたが、こちらが「売ってる別布」、
レースの袖ですね。これだけで売ってます。いや、今もあると思うのですが…。
下の袖の右側がひらん~んとなっていますが、
ここが上の図で言うところの「袖のアキ」、下は部分アップ。


               


「脇あき」最初からあけて作ってあります。
あとは胴体に縫い付けるだけ…ですね。

こういったものは町の呉服屋さんなんかの方があると思います。
また、古い記憶の中にある風景ですが、近所に住んでいたおばあちゃん、
真夏の暑いころの昼さがり、縁側で着物の上半身を脱いで、
水でしぼった手ぬぐいでウデなど拭いていたのですが、
その半じゅばんの袖は「手ぬぐい」でした。酒屋とか米屋とかからのもらい物で、
脇のあたりに「商店」という字が見えたこと、ヤケに鮮明に覚えているのです。
肌じゅばんの場合、肌に直接触れますから胴体部分や腰布は、
さらしがいいと思いますが、袖や腰から下は、表に写らないようなら
柄物でもいいわけですね。ただし、すべりがいいことは優先的に。

裾よけは作り方もいろいろで、ヒモがついているものもありますし、
丁寧に作るときは衿をつけたりします。とにかく下着ですからいろいろなんです。
たとえばこちら、私が嫁入りに持ってきたもの、正確には「持たされた」もの。
なつかしい「ネルのお腰」


          


下なんぞ「布のみみ」まんまです。いや、これでいいんですけどね。
裾よけは、二部式じゅばんの下よりももっと簡単で、
ただの長い布の上に腰布をつければいいだけです。
こちらは薄いタオル地です。素材は季節やあとはお好みですが、
普通用はキュプラなどすべりのいいものを使います。


          


どちらも一度も使わないままです!もったいな…。
実際ネルのお腰というのは、私も若いころ使わされましたが、
もたつくわ、まとわりつくわ、動きづらいものです。
この「裾よけ」は、もともと体にまきつけるだけで、
「はじ」は挟みこむだけ、上から肌じゅばんをきて、
更にじゅばんを着て伊達締めなど締めれば、ずりこけてくることはありません。
つまり、上の腰布は腰といっても上のほうまできますから、
晒をまいているような感じ、補正にもなるわけですね。

さて、いかがですか?
基本の形はだいたい決まっています。ここからは「現代風」のお話し。
上の図では衿の繰越が描いてませんが、実際には繰越を2センチくらいつけます。
花嫁さん用のものは、たいへん「くり」が大きくできています。
高島田を結って、あっ「かつら」ですけど、
着物の衿は肩甲骨の上が見えるほど大きく抜きますから、
肌じゅばんの後ろのくりも大きくないと、見えてしまうからですね。
私は衿をけっこう抜くので花嫁衣裳用肌じゅばんというのを昔買ったんですが、
この前アップした「肌じゅばん」、あれはもらいものですが、
広げてみてへぇと思いました。今のって普通のでもくりが大きいんですね。
こんなです。


          


もうひとつのポイント、これには「おくみ」がついてます。


          

わかりますでしょうか、衿のカーブラインがクロスしたところから、
下までまっすぐ別の白い線が見えます。これは左の前身ごろに、
おくみを縫い付けてあるラインです。
上の図のほうを見てお分かりのように、通常、つまり基本の肌じゅばんは、
前は反幅をいっぱいに使うだけです。
たぶん体型的に、昔に比べて豊かになったこと、くびれがあること、
そういったことからこういう工夫もするのだと思いますが、
この「おくみ分」があることで、きゅうきゅう引っ張らなくても、
ゆったり前が打ち合わせられます。
以前ご紹介した「きものの仕立て方・頼み方」という本


          


これには更に「ウエストシェイプ」した肌じゅばんが載っています。
袖もついていません。「時代の流れとともにかわる」というのは、
こういうことを言うわけで、着易ければいいわけです。

私たちはスリップを着ますが袖は普通ありません。
またシャツをきますが、それは防寒です。
着物はそれでなくとも何枚も重ね着をしているので暖かいですね。
暖房も完備した現代、冬でも肌じゅばんはそでがなくても大丈夫だし、
逆にもし暖かいものがほしい、と思えば、袖をひじくらいまでくるように
作ったってかまわないのです。和裁は「ここは寸法をかえられない」
というところもたくさんありますが、別になくてもいい、余分にあってもいい
というところもあるのです。それが知恵と工夫というもので、
昔の着物には「袖なしじゅばん」というものもあります。
袖が何枚も重なるのは動きづらい、かといってじゅばん一枚では寒い、
そういうときにもう一枚着るためのじゅばんで、もたつく袖がついてません。

私はずーっと肌じゅばんと裾よけをめんどくさいと思っていました。
すると「つながった着物スリップ」なるものが出てきました。
実はこのアイデアは、手持ちの昭和30年くらいの和裁本にも
「新型和服用下着」として販売されていることを載せています。
でも、はやらなかった…たぶんそのころの女性は、
まだ「保守的な気持ち」が強く「つながってるなんて着づらい」とか
「こんなところで手を抜くなんて」じゃなかったのでしょうか。
もうひとつは「買うのはもったいない」「ハギレと晒で作れる方が経済的」
だったのではないかと思います。
みなさんに「肌じゅばんを作りましょう」と言っていながら、
私が肌じゅばんを着るのは「かるぱん」を履くときだけです。
普段の着物は「つなかってるほう」、ずるいやねぇ~~。
でも、まずはひとつ、あって邪魔になるものではないのですから、
自分の手で作る、それがまたつぎの一歩へとつながると思うのです。
肌じゅばんと裾よけを自分で作れたら、
もう一歩進むのはそれほどむずかしいことではありません。
二部式じゅばんに一歩も二歩も近づきます。

今日は長くなりました。まだまだ続くんですー。











コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« すみませんが「臨時休講?」... | トップ | 忘れておりました! »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
蛇足ですが・・・ (蜆子)
2007-03-13 17:24:55
とんぼさんに薦められて、私の「うそつき半襦袢」をUpしました。
よかったら、とんぼさんのBOOK MARKのところの「風天庵待合」からご覧下さい。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-03-13 17:43:20
蜆子様
ありがとうございます。
ただいま行ってまいりました。
うそつきじゅばんのことについては
明日から書くつもりでしたが、
細かいことは全部書いてくださいましたので、
私は明日はページのご紹介ですみそうですね。
ありがとうございました。
返信する
晒し布 (穴熊の女房)
2007-03-13 20:12:55
晒しで思い出しました。
私が結婚した頃 母は必ず晒しを一反常備して置くように 口をすっぱくして言いました。
今でも 買い置きしています。
何事かで 他人が台所に入るときのふきん 非常時の
おんぶ紐 二階からの非難 もしものとき死人の顔にかける そしてうそつき襦袢など経験しましたが
結婚したとき 我が家の亭主 ふんどしでした。
いつも 晒しで縫っていましたが いつの間にか
パンツに替えました。
あれも 長さなど難しいですよ。
返信する
Unknown (陽花)
2007-03-13 20:16:43
私も肌襦袢はクリの大きなスリップ式です。
上は薄手の晒で袖は筒型、下はキュプラだと思いますが、一度着る毎に洗濯機でガラガラ洗いますが結構丈夫で重宝しています。
おっしゃるように裾さばきのいい生地の方がまとわりつかずにいいですね。
返信する
お腰にキビ団子 ()
2007-03-14 00:26:17
ネルのお腰
20前にウールの着物の時にヒモが無くて挟み込んで使っていました。
やはり ピンク色でした。
取ってありますがやはりもさもさとするので使用していません。
そして 実はこの本も持っているのです。
そして そして この本の一衣舎さんの肌襦袢と裾よけも・・・
何枚もは買えないので、やはり手作りを楽しむ事に致しましょう。
浮いたお金でキビ団子ならぬ着物(小物)でも・・・
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-03-14 19:10:36
穴熊の女房様
私も三反くらい持たされましたが、
とっくになくなりました。
褌、私の祖父が使っていましたよ。
祖母が「サルマタにしてくれたらラクなのに」って
ボヤいてました。懐かしいです。

陽花様
晒は洗濯ラクでいいですね、
ネルはもう、まといついてコケそうになりました。
ウラにキュプラかなんか、
つけりゃよかったんですよね。
最近は、暖かいし、用がありませんね。

恵様
なぜかピンクでしたよね、決まったように。
便利グッズって、お高いですねぇ。
やっぱ縫いましょう。お団子でもおまんじゅうでも
私がご用意させていただきます。
返信する
Unknown (古宇田信敏)
2010-08-08 19:07:55
70歳老人です 懐かしいネルの腰巻拝見しました できればお譲りできませんか?
いまでは見ることがありません小生ネルの様な生地好みなので。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-08-08 20:25:49


はじめまして、とんぼです。
このネルのお腰は、残念ながら、
いとこにもらわれていきました。
京都なので、あちらは寒いですからねぇ。
お役に立てず、申し訳ありません。

新しいのをお求めでしたら、こちら、

http://item.rakuten.co.jp/manten-t/10000095/

ご覧になってください。
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事