ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

今日は「春分」です。

2006-03-21 16:21:12 | 昔の道具・暮らし


とりあえず写真の説明、上は錦紗の着物、振袖の袖部分。
色がついた下のほうには梅や椿、水仙、菊など、山ほどの花丸紋が飛んでいます。
合間にこの輪郭だけの白い花丸紋があります。これは牡丹です。
2枚目は絹紅梅、夏物単です。ちょっと暑苦しい地色ですね。萩の柄です。
お分かりでしょうか、牡丹と萩、つまり「ぼたもち」と「おはぎ」です!

春分の日といえば「お彼岸」、ですね。
先にお話しておきますと、現在「祝日」として決まっている「春分の日」は
総理府、つまりお国が会議で決定したものです。
天文学的にいうと「太陽が春分点を通る日」なわけですが、
太陽の公転周期が端数がありますから・・あぁこういうお話苦手なんですが
要するに「うるう年」ってのがありますね、あれは「ハンパ修正」なわけです。
それで春分秋分の日は、お国でも何年も先のことまでは決めないんだそうです。

天文学的にいうと、この春分の日は、一日の昼の長さと夜の長さが同じ。
太陽は、真東から出て真西に沈む・・
で、「お彼岸」ですが、もともとは春分と仏教は別個に始まったものですが、
仏の道は常に中道を行くということ、
この中道というのは、仏教のお話なので私にはうまく説明できるかどうか
わからないのですが、要するに、苦と楽、或いは苦行と快楽というような
両極端のそのどちらでもないところで悟りを得るというようなことでしょうか。
ぶっちゃけていえば難行苦行なんかしても悟れないよ、
遊び暮らしても悟れないよ、そのどちらでもないところで
悟りというものは得られるんだよ・・ということでしょうか。あってるかな?
その中道ということが、太陽が真東から出て真西に沈む、
つまり真ん中の道を行くということや、西は「西方浄土」のあるところ、
その真西に太陽が沈む・・というようなことから、つながったわけです。
この春分の日をはさんで前後三日ずつで「お彼岸」になるわけで、
春分の日(祝日としての)は「彼岸のお中日」といわれます。

この日は、先祖の墓参りをしたり、おはぎやいなりずしを食べたりします。
この「おはぎ」ですが、これもとんぼのかじった知識ですので、
地方地域によってはちがうかもしれません。そのつもりで・・。
春の彼岸には「ぼた餅」、秋の彼岸には「おはぎ」と呼び、
ぼた餅はこしあん、おはぎはつぶあん、にするのがポピュラー。
それぞれその時期の花、つまり春は「牡丹」、秋は「萩」になぞらえています。
でも春も秋も「おはぎ」(またはぼたもち)と呼ぶところが多いんじゃないかと。
「ぼた餅」は「ぼたんもち」がなまったものと考えられますが、
ではなぜ、おはぎは「はぎもち」ではないのでしょうか・・。
これはどうやら「女房言葉」のようです。

女房言葉というのは、宮中の女房、つまり貴人方にお仕えする女性たちの言葉。
彼女たちの言葉、或いは使い方が今に残る・・というのはけっこうあります。
もともとが「みやび」なかたがたですから、とにかく上品にまた遠まわしに
モノを言う、これが「奥ゆかしく、美しい」とされたわけで、
衣食に関することで、直接それをそのまま言わない・・ということですね。
室町ごろからはじまったということですが、やがて庶民の間でも
使われるようになり、今に至るわけで、当然新しくできた言葉もあるでしょう。
今でもちょっと年配の方などは「ざぶとん」を「おざぶ」なんて言いますね。
で、はぎもちが「おはぎ」と呼ばれる・・というただそれだけの話なんですが、
ついでのことに「女房言葉」をもうちょっと・・。
「おほそ」・・これはなんでしょうか、実は「いわし」のこと、
見た目細いから、じゃ秋刀魚はどーよ?ふぐは「おふと」かい?
いや別にケンカ売ってるわけじゃアリマセンから・・・。
あとは「もじ」をつけるという言い方、もじはつまり「文字」。
有名なのは「しゃもじ」「杓子」を直接言わず「しゃという文字のつく道具」
という意味ですね。これけっこう多いんです。
「ひもじい」も実は空腹をあらわす「ひだるし」という言葉の「ひ」をとって
「ひのつく文字の状態なのよ」・・・わかってもらうまでに餓死しそーです。
江戸時代では「ゆもじ」これは「湯もじ」で、腰巻のこと。
当時身分の高い人の入浴は、湯かたびら(後の浴衣ですね)を使いましたが
そのお世話をする女性たちも湯かたびらで、下に腰布を巻いていた・・
これが腰巻で、湯の時に使う腰に巻く布、で「ゆもじ」、
髪を結うときに、足りない分を補う「髪の部分付け毛」は
「髪」の「か」をとって「かもじ」、そなた、つまりアンタですが「そもじ」
お眼にかかる、は「め」をとって「おめもじ」・・・。
「むのじ」が「ひもじ」そうなので「にのじ」を「ふのじ」します。
「息子がおなかすいたみたいなので、にくまんをふかします」って
んなもんわかるかーっ!

本日はなぜか春分の日のお話がしゃもじまで流れるという、
とんぼらしいお話になりました。
ではまた次の「ブもじ」で「おめもじ」かないますように・・。



おまけ・・・

女房言葉かどうかはわかりませんが、昔、上流階級では「縁起の悪い言葉」を
さけるということから、たとえば「梨(ナシ)」を「アリ(有り)」の実、
と言ったり「する」を「あたる」言い換えたりしました。
すり鉢を「アタリ鉢」といったり、するめを「アタリめ」というのがそうです。


コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あきもせず「羽裏」たぁ お... | トップ | 右前に着る・・ということ。 »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうですね (とんぼ)
2006-03-22 17:37:42
千兵衛様

最近は、お葬式とか法事といっても、

バイキングみたいな料理だし、白おこわ見ませんね。

「精進料理」なんてどこ吹く風で、

お刺身、から揚げ、ハムソーセージ・・。

これも「なんだかなーシリーズ」に入りそうです。
返信する
Unknown (萬屋千兵衛)
2006-03-22 16:37:01
私の好きな餅も、第一は磯辺だな!(笑)



それから、突きたての餅なら、大根おろしに

醤油と七味をたっぷりかけて食べるのも好き!

突きたてじゃなくても、今は真空パックのを

お湯でとろとろに煮てから同じようにして

食べられますよね。あ~、食べたくなった!



それと、餅ではないけど、前述した「白おこわ」

も好き。要は、赤飯の中の豆が嫌いなだけだけど、

昔、知人がライスセンターみたいな所へ勤めていて

残った「白おこわ」を捨てるのはモッタイナイと

いただいて、よく食べていたんだけど、今思うに

あれって、不祝儀の時の食べ物なのかな?(笑)

返信する
Unknown (とんぼ)
2006-03-22 13:07:32
私が子供のころに聞いてましたよ「おくもじ」、

母と隣のおばちゃんが、話してました。

どちらかというと「菜っ葉系」のものを

いっていたような気がします。

味まで思い出しそう・・・。



千兵衛様

「専門用語」って面白いですよね。

「生き殺し」ってのは中途半端ですねぇ。

電線が壁の中で、瀕死の状態って感じでかわいそー。

人形作るときなんかすごい・・。

「肩のところに細かく縫い付ける」(腕のパーツを)

「足に靴を履かせたら、脱げないように

かかとに縫い付けて・・」(いててて・・)

かわいいお人形は、苦しみを乗越えて

作られるのです????



私、磯辺と納豆もち、安倍川が好きです。





返信する
こんなんもあります! (萬屋千兵衛)
2006-03-22 11:38:35
白おこわ(餅米を色付けしないで蒸し上げたもの)の半殺しから思い出したんですが、



電気工事業界での用語(そんなオーバーなもんじゃないけど)には、日常的に次のような会話がされてます。



ある現場での会話

兄貴分「おい、この照明器具つかないかど、死んでんじゃないのか?」

弟分「いや、そんな、生きてるはずですけどねえ」

兄貴分「生きてりゃ、つくだろうに!」

弟分「あ、思い出しました。配線の時に、お客さんが迷っていたので、生き殺しにしておいたんです!」(漏電しないように端末処理をして壁の中に埋めておく事)



また、うちの地域では昔は「自在餅」というものもあって、餅のランク付けでは下の方のようですが、田んぼの中でのお茶請けに食べた味が忘れられません。



餅のランク付けは、こちらへ

http://ganshuku.cool.ne.jp/81_10motibanzuke.html
返信する
女房言葉 (蜆子)
2006-03-22 10:45:23
女房言葉が方言と思われているふしもありまして



今朝は「おかべ」と前栽になりました菜の「おくもじ」をいただきました、ってちょっと優雅な言葉使い?



豆腐と屋敷内の畑でなった菜っ葉のつけたの食べました



って当地の年寄りの普通の会話です。



半殺しのかいもちを作らなかったけど、もらって食べました。
返信する
思い出しました♪ (ぶり)
2006-03-21 23:57:24
陽花様>

母が、「最近、覚えた言葉です。 半殺しにしますのや~、こうやって~♪」と楽しそうに?、作っていましたっけ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-03-21 23:06:48
ぶりねぇ様

「にもじ」は、親子ではんぶんこ、

「あもじ」だったけど「おもじ」でした。

あつかったけどおいしかったです・・。

解説がいりますねぇ・・・これ・・。



蜆子様

お彼岸くらい、かなたの人のことを

思いださにゃいかんのでしょうが、

どうもワサワサと形ばかりになりやすくて。反省。



陽花様

ありますね。「半殺し」と「みな殺し」でしたっけ。

北の方では今でも言うんじゃないでしょうか。

おもしろいものですよね。

ちなみに私は「あんこ」より「きなこ」「ゴマ」が

好きなので「おはぎ」じゃなくて

「おきな」?「おごま」?なんかヘン!
返信する
Unknown (陽花)
2006-03-21 22:28:59
とんぼ様



おはぎはよく母が作ってくれました。

私も娘たちが小さい頃良く作りましたが

おはぎは半殺しにするという、ぶっそうな

言葉を思い出してしまいました。

他ではそんな言葉言わないんでしょうか。
返信する
中道 (蜆子)
2006-03-21 21:32:30
中道、悟りに至る道と言う意味でありましょうか

禅宗のお寺での茶会で、茶杓「二河白道」という銘の茶杓でお茶をいただいたことがあります。

茶杓の銘の解説を思い出しました。



牡丹餅となずけられた焼き物、焼くときにシャモットというはがれやすい土をその部分だけかぶせて焼くのだということを陶芸のかたに教えてもらいました。



彼岸、とんぼさんの話から色々思い出しております。

返信する
にもじをおゆるゆると召し上がらっしゃいまいて、、、 (ぶり)
2006-03-21 18:26:44
想像するだに、オッカシ~ィ(^^;)



>「むのじ」が「ひもじ」そうなので「にのじ」を「ふのじ」します。

>「息子がおなかすいたみたいなので、にくまんをふかします」って

>んなもんわかるかーっ!



おほほ、腹ヨジ眼涙で、ござりました~♪
返信する

コメントを投稿

昔の道具・暮らし」カテゴリの最新記事