ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

めんてなんすとおかたづけ!

2006-08-11 22:01:19 | 着物・古布

写真は、昨日の「ダンボール箱」に入れてある着物をもう一枚。
柄少な目のちょっとかわった「紅型」柄です。
やさしいグリーンが気に入ってます。着られないけどぉ・・。

昨日まで書いたことなどは、つまり「先人の知恵」ですね。
木綿しか着なかった時代から、庶民も絹を着るようになり、
それでも高価なものですからなおさら大切に、そしてできるだけ
自分でできることは自分でやって、良い状態で長く着て、更に繰り回す。
元々が「もったいない」という心を大切にしてきた日本人が、
着物という長い歴史を持つものを慈しむことで生まれたさまざまな知恵です。
着物のメンテ、もう少し細かいことを書いてみましょう。

まず、着物を着たあとは、ハンガーにかけて湿気を飛ばす・・ですね。
このときのハンガーは「和服ハンガー」がベストです。
年配の人がハンガーのことを「衣紋(えもん)かけ」と言うのを
耳にしたことはありませんか?あれがつまり「和服ハンガー」のことなのです。
洋服用は肩が体の形に合わせて曲線なので、直線基本の着物にはあいません。
重みのある着物などは型くずれしますし、薄めの着物でも余分なしわがよります。
できれば袖をいっぱいにまっすぐ広げられるものが一番です。
最近では、いろいろ工夫されたものが出ています。
たとえば、こんなページがありました。

http://store.yahoo.co.jp/wasai-kobo/ib-12.html

この形のものは「帯も掛けられる」と言うのがポイントですが、
この形のハンガーに着物と帯を掛けるのは、出かける前の「支度」のときに・・。
着た後に掛けるときは、帯は別にしたほうがいいですね。
帯は普通のハンガーで下がまっすぐなものなら、クリーニングやさんのだって
ちっともかまいません。ただし帯の重さで針金がたわむことがありますから、
何本かまとめて使うと良いでしょう。まとめるのにセロテープなどはご法度、
面倒でも木綿の紐とか、ガーゼなどで縛ってあわせてください。
ぶら下げての風通しはお天気がよければ半日くらい、
夜帰宅して・・というのであれば、一晩つるせば十分です。
つるしておくことで、消えてくれるシワもあります。

次はブラシかけですが、洋服用の硬いブラシはちょっときついです。
毛の柔らかいものにしてください。力をいれず、そっとやさしく・・。
ブラシをかける・・というよりほこりを軽く払う・・という感じ。
平らな生地かそれに近いもの、たとえば平織の紬などは、ブラシでいいのですが
シボのあるちりめんや、刺繍があるとか、変わり織など、
デコボコのあるものは、ブラシよりビロードの布のようなもののほうが、
布目の奥までやさしく払えます。
ビロードで自分の手の大きさにあった「靴ブラシ」のような楕円形の袋を作り、
それに綿をしっかり詰めた「小袋」を作っておくと便利です。
肩先など大きな部分を払ったら、袖口や裾など一番汚れやすいところも忘れずに。
シミについては、もし練習できたら「ベンジン」の使い方を覚えると便利です。
ベンジンの瓶に使い方も書いてあります。

帯は、やたらと洗うこともできないやっかいなものです。
だからこそ、ヨゴレに気をつけましょう。
帰宅後に干すときは、できれば長い物干し竿にヘビがとぐろを巻いたように・・
なんてのがいいんですが、ムリですから、ハンガーに掛けますが、
あまり細かく折りたたんで干さないで、できればダレーッと長く・・。
元々帯は、たたむとき「お太鼓の真ん中」とか「前に来る柄部分」というのは、
ちゃんと避けて折るようになっているものですが、アンティークなどでは
いろんな折ジワがついていたりします。締めたとき、
みえないところを折るように気をつけてください。
もっと細かくいうなら、片付けるたびに少しずつ折り場所をかえたほうが、
折山が擦り切れるのを防ぐことができますが、今の時代そこまではねぇ。

帯揚げ帯締めも、すぐにはしまわず湿気を飛ばしてください。
半衿とタビは早いめに洗いましょう。
特に半衿は「お化粧品」「ヘアクリーム」のヨゴレをよく見てください。
あとはこまごました伊達締めとか腰紐とか・・・。
どれも湿気を飛ばすのは必要です。伊達締めはクルクルと巻いて、
腰紐も次に使うとき使いやすいように。
単なるお片付けではなく、次に使うときのことを考えてしまうと便利です。
毎日着物で過ごしたり着物を着慣れたかたは、自分流のお片づけが
ちゃんとできていて、着るときにも困らないのですが、
それほど毎日着ない場合は、つい前のときに「とりあえず」なんて、
どこかにいれちゃったり、しまっても紐がぐちゃぐちゃだったり、
なんてことがあります。しまうときから次のことを考えて・・です。
めんどくさーいなんていわないでください。ストッキングや下着、ハンカチ等は、
ちゃんとたたんだり重ねたりしてますよね。アレと同じことですから。

着物を着るときは、足袋、腰紐、伊達締め、帯板、帯枕、帯揚げ帯締め・・と
小物がいろいろ必要です。着るるときはまず全部揃えておくのは当然ですが、
順序よく、手に取りやすいように並べておくといいわけです。
昔は「衣桁」というものがあって、腰くらいの高さのところに横棒があり、
そこに紐や伊達締めなど、全部掛けられたのです。
立ったまま次々と必要なものを手に取ることができたのですね。
今は衣桁もなかなかありませんから、たとえばイスの背もたれなど
いちいちしゃがんでとらなくていいような高さのものにかけておくといいですね。
着物を着るときまずつけるのは「足袋」です。
足袋のしまい方は、とにかく右左をきちんとそろえておくこと。
みなさんはどうやってますか?こんな形?





私はこうやって一足ずつ組んであります。






足袋は「気合で履く」といいます。足袋の余分なシワやたるみは
着物すがたで一番みっともないものですから、
私はいつもワンサイズしたのものを買います。こうやって真ん中より少しうしろ
かかとに近いあたりを折り返しておいて、これで足の先だけ先にいれ、
あとは一気にひっくり返すようにして履きこみます。
折り返しがあまり前だと、かえって履きにくいですから、
足の裏が少しせばまりはじめのところ・・です。
こうやって組んでおくと、しまっている間にこすれて表のフチなどが黒ずむ・・
というのも防げます。足袋の替えを持って歩く場合(旅行や訪問など)、
このままの形で「足袋入れ」に入れます。

腰紐はどうしていますか?4つくらいにおりたたんでぐるりとひと結び・・
なんてのはやめましょう。5角形にたたむ方法をご存知と思います。
あれが一番「次に使いやすい」のです。
ご存知ないかたのために・・

紐の終わりの端を重ねて、手前に折ります。
折ったところを持って、左上に斜めに向けて折ります。
あとはこれの繰り返し、最初の五角形ができたら、
その「辺」に沿うように沿うように折っていけばいいのです。







全部折り終わったら、最後のところだけ少し残して、挟み込みます。





こうしておくと、次に使うとき、このはさんだところを抜いて
そこを持ったまま下に落とせば、ひもの「真ん中」を持ったままばらけて、
すぐ使える状態になるわけです。こんな感じ。





着物の後片付けは、確かに手がかかることがたくさんありますが、
手順を覚えて「次」に備えておく、ということになれてしまえば、
それが当たり前で、苦ではなくなってきます。

時代劇の女優さんや歌舞伎の役者さんは、その衣装を着付けながら
「役にはいっていく」と聞いたことがあります。
普段着物でもよそゆきでも、ひもやら伊達締めやら帯揚げ帯締めを、
ひとつひとつ身につけて締めこんでいきながら、
「さぁ今日も一日がんばるぞ」とか「よぉし、これからデートだ」とか、
そんなふうに「今日これからのの自分」に切り替えてゆく、
着物を着るときの時間は、そんなふうであってもいいんじゃないかと・・。
あっ私のばあい「今夜のおかずは・・」なんてときもありますけどねぇ。
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3 コメント

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Unknown (とんぼ)
2006-08-12 13:57:10
陽花様

本に書いてあったとか、習ったとかでなくて、

自分でやって気持ちいいことは

どんどんやるべきですね。

私たまに腰紐も洗ってアイロンかけます。

腰紐は手作りではなくて「買ったもの」

男物です。シブい色目がすきでして・・。



雪花様

いろいろタイヘンでしたね。でもそういうほうがしっかり自分のものになりますよね。

私も甲高気味で、たまに合わないたびにぶつかります。靴なんかもう毎度おんなじかっこのあじけな~い3Eとか4Eとか・・。苦労ですよねぇ。私は「逆S字型」という足だそうで、靴屋さんに「あ~このタイプはあんまり作られない形ですから、合う靴ないでしょうねぇ」と言われました。

以前母が、足の親指の巻爪を切りすぎたとき、痛みで普通のたびがはけなくて「伸びるたび」というのを通販で買いました。全部ナイロンのビョンビョンとのびるものではなく、見た目は木綿たび、ポリウレタンが少しはいっているので、ほどよく伸びるんですね。ラクだそうです。でも、そのあと治ったら普通のタビはいてる・・ってことはラクでも好きになれなかったのかな?

返信する
悉皆 (雪花)
2006-08-12 12:16:11
おずおずと「よそ行きじゃない」着物生活を始めた頃はまだネットも発達してなかったので、本を100冊くらい読み漁り、呉服屋さんで聞いたりしながらお手入れ方法を学びました。

でも、先日書いたような「ええー、これ駄目じゃん」ていう方法もたくさんあって、結局一つ一つ自分の体で覚えてきた感じです。

日常生活の中にないと、慣れるまで大変ですよね。





きんさんぎんさんがご存命だった頃、テレビ取材で足袋がアップになったことがあります。

たぶん、あれはカメラマンがものの分かった人で、「百歳を過ぎても、しわのまったくない白足袋をぴちっと履いている」ところを見せたかったのだと思います。



私はありえない足の形をしているので

小さ目をしわひとつなく・・・をすると、きつくてきつくて卒倒してしまいます

お誂えを銀座の武蔵屋でしたこともあるのですが、どうもいまひとつしっくりこず。

靴も足袋も、ほんとに悩みの種なんです

素足に下駄が一番らくちん!なんだけど、どこへでもそれで行くわけには行かないし・・・くすん。
返信する
Unknown (陽花)
2006-08-12 10:22:38
私は毎回ではないのですが、伊達締め

結構しめるので、アイロンを掛けます。

新品のようになるので気持ちいいです。

とんぼ様の腰紐手作りですか・・・

幅があって締めやすそうで、何より

おしゃれな柄ですね。
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