ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

柳にカゼ・・・?

2006-04-07 17:53:33 | 昔の道具・暮らし

皆様、昨日はお休みいたしましたが、コメントをたくさんいただきまして
本当にありがとうございました。
まとめてのお礼でまことに申し訳ございませんが、
本日のブログで、お礼とご報告をさせていただきます。
カゼは親子でひきまして「熱と下痢」を息子が担当し、
私は「セキと鼻水」を担当いたしまして・・・????
まぁなにしろこのところの横浜ときたら、春と冬が日替わりで、
晴れりゃ風が吹く、合間は雨・・・気温はきままに上がり下がり・・。
そんなわけで、久しぶりに親子でおかゆすすっておりました。
おかげさまで、私のほうは大丈夫、息子もようやく平熱になってきました。
ご心配と叱咤激励、本当にありがとうございました。

というわけで、本日のお題は「カゼ」から連想・・柳にカゼ・・で「柳行李」
なんかすんごくムリがあるんですが、ま、こじつけということで!
行李そのものは竹製や籐製がありますが、目的別に使い分けたようです。
今日はそのうちの「柳行李」について・・・。

写真は先日から整理している着物が入った「行李」のひとつ。
我が家には、実家からもらった大きなサイズ、ネットでみつけた中、小・・と
バラバラの大きさで柳行李がみっつばかりあります。
大きいのは、昔息子が赤ちゃんのとき、ベビーベッド代わりに使っておりました。
大きいので着物を満タンに入れると、さすがに私では持ち上がりませんので、
今は2階で、動かさずにモノを入れております。
写真のものは、ウチでの「小サイズ」、入っているのは「写真をとる予定の反物」
2枚目は、へりの補強部分、年季はいってます!





さて、この「柳行李」ですが、まずはその「材料」について・・・。
柳行李は、その名のとおり「柳」が原材料ですが、柳といっても
「♪昔こーいしい ぎーんざのやなぎ・・」のあの柳ではありません。
(すっごい古い歌・・知ってる人いるのか??)
その名も「コリヤナギ」と言う名前の柳、コオリにするからコリヤナギなのか
コリヤナギから作ったから「こおり」なのか、どうも判然としません。
とにかくこの「コリヤナギ」と呼ばれる柳、ひょろっと伸びる木ではなく
低潅木です。このコリヤナギの細い枝がやわらかく、しかも丈夫・・
ということで使われたわけです。枝の皮をはぎ、乾かして麻糸で編み
角やへりを布や皮などで補強しました。

明治ごろまでは「柳行李」ではなく「骨柳」(こつごうり)と呼ばれていて、
庶民にとってはなくてはならない「収納道具」でした。
竹製のものなどもあったせいか「竹製品」を置く店や、雑貨屋で
大・中・小の三個セットで売られることが多かったようです。(バサマの話)
売るときは「入れ子」のようにして売っていたのでしょう。
家庭では今で言うところの「プラスチックの衣装ケース」のような使われ方や、
普段のタンス代わり、小さいものは生活雑貨などを入れたとか。
また、同じ行李でも小さいものは弁当箱とか、旅行用の小物入れなど、
その利用範囲は、多種多様でした。特にこれを使って商売をする人がいました。
昔の「薬売り」です。風通しがよく、軽くて大きさも自由に作れるという
行李の特徴をいかした「薬屋専用」のかついで歩く行李、これは大きな行李の中に
「薬」はもちろんのこと、商売用のそろばんや、いわば帳簿や顧客リスト、
自分のための旅行用品など、それぞれ別の小さな行李にいれ、
それを組み合わせてうまくひとつに入るように工夫されて作られています。
これを大きな風呂敷に包んで、それをしょったのですね。
持ち歩くにも、家の中で使うにも、通気性、軽量など利点の多い「柳行李」は
とても便利な道具であったわけです。

柳行李の歴史はたいへん古く、なんと「正倉院御物」の中に、
「柳筥」(やないばこ)と呼ばれる柳を編んで作ったものがあるそうです。
植物に囲まれた日本と言う国では、身の回りの植物で使えるものは
みんな使ってきたわけで、柳もその利用価値が認められたのは、
早かったわけですね。おもしろいことに「イヌコリヤナギ」という
同じような名前のヤナギがあるのですが、これはやわらかすぎて
行李などには適さないそうで、いわば「似て非なるもの」・・或いは
「使えない」と言う意味で「イヌ」とついたのだそうで・・。
イヌが聞いたらおこるでしょ・・・。

明治以降、庶民の暮らしが向上するにしたがって、家具としてタンスなどが
一般的に使われるようになったり、ブリキケースだのプラ・ケースだのという
新しいものがでてくるにしたがって、「柳行李」は、単なる収納箱としては
だんだん忘れられていきました。それでもなくなったわけではありません。
行李がつかわれなくなる一方で、素材を生かした「トランク」など、
別のものが考えだされ、柳行李は今でもさまざまに作られています。
有名なのは「豊岡」(兵庫県の日本海側の都市)ですが、今ここは「バッグ」の
生産地としても有名だそうです。
この豊岡は、かつて水害に悩まされたのだそうですが、そのせいで
湿地帯が広がり、これが「コリヤナギ」の生育には適していました。
無限に自生するコリヤナギを使って、道具を作る・・というのが
産業になっていったわけです。行李を作ることから、行李のかばんを作ることに
工夫や努力を重ねていったことが、今「バッグ製作」を地場産業にした
土壌といえるのでしょう。

我が家の行李はいい加減使い込まれて、ヘナヘナしなしなしているのですが、
それでも、重ねてもつぶれることはありません。
着物は枚数重なるとそれだけで重いのですが、行李にいれると
やわらかさもあって、運ぶのにラクです。
整理をしながら「新品」がほしいな・・と思い、
ちょっと「楽○ショップ」でしらべましたら、
77×43センチで約4万円・・・プラケースでがまんしよう・・・。
タンスが買えないい庶民の道具だったのに、いまや通販のタンスより高い・・。
にっぽんの・・明日はどーなっていくんだっ!?




コメント (9)    この記事についてブログを書く
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9 コメント

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Unknown (陽花)
2006-04-07 21:37:45
とんぼ様



さすがとんぼ様早い復活で何よりです。

でも、息子さん共々くれぐれも無理は

なさらないようお大事にしてくださいね。



古い歌知っていました。(歳がばれる)

柳行李この間実家の物置で見つけました。

何が入っていたかというと電気毛布でした。

柳行李高いのは、作る職人さんが少なく

なったからでしょうかしら。



返信する
ありがとうございました。 (とんぼ)
2006-04-07 21:58:16
陽花様

いろいろご心配かけました。ふっかーつ致しました。

息子もなんとか落ち着いたようです。

ありがとうございました。



柳行李、結局需要と供給のバランスが崩れて、

逆転してしまったんでしょうね。

昔ながらのものが、消えていくよりはいいですが、

いんにせんタカイ!ですね。



返信する
チッキで (蜆子)
2006-04-07 22:05:42
柳行李チッキで送り、東京にしばらく住んだことがあります。行李の紐のかけかた、ご存知ですか?

十文字にかけるんではなく、上にひし形になるように引っ張ってかけるの、

随分前の話になってしまいました。

商売柄、柳行李ではなく、竹でできたぼて行李ならいくつもあります。和紙を何層にもはって、柿渋をぬって補強するの、もちやすいです。



風邪大丈夫ですか?無理なさいませんように。

あ~、茶事は無事にすみました。満足しています。
返信する
よかったよかった (うまこ)
2006-04-07 22:10:55
柳行李、なつかしいですね。

でも、もう記憶があやしい・・・

中の反物もすてきです。

うまこのBLOGで、こちらを

ちょっとだけ紹介させて頂きました。m(_ _)m
返信する
おぉ、懐かしー♪ (ぶり)
2006-04-07 22:28:36
宅急便ができる前、いやいや、もっと以前、新幹線が開通する前です。 関西からの荷物が、柳行李で、国鉄の駅に届き、取りに行くのに搗いていったことがありましたっけ。 上側は、束ね結びをヒシ形に開いた形で結んで、荷札が付いてました。
返信する
ありがとうございました。 (とんぼ)
2006-04-07 22:29:43
ご心配かけまして・・。



柳行李の干物かけ方、母がやっていたのを

覚えています。蓋の角がめくれて曲がらないように、

という工夫なんでしょうねぇ。

チッキという言葉も懐かしい!といっても私は

使ったことないのですが、横溝正史の小説で

金田一さんがよく「チッキ」で荷物送ってますね。



お茶事、無事終わられてよかったですね。

お疲れ様でした。
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無理せんときや! (萬屋千兵衛)
2006-04-07 22:35:10
文章に遊びが無いさかい、まだ体調が思わしくないと見たで!

記事を書かねばならないという意気込みは感じるけれど、みんなは、とんぼちゃんの体を気づかってるのやさかい、あんじょう養生せなあかんで!

まだ2~3日休んだってええがな!

長い人生や!ゆっくり、楽しもうやないか!(笑)



でも、少しは元気になったようで、良かったよ!!
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-04-07 22:50:55
うまこ様

ご心配、ありがとうございました。

行李の中の反物も、いずれ紹介していくつもりです。

ブログでご紹介くださったとのこと、

ありがとうございました。



ぶりねぇ様

ご心配、ありがとうございました。

そうそう「国鉄」でしたね。荷札ってのも

懐かしい響き・・。いまじゃシールをペタッ・・。

そういえば、私の子供の頃には、普通の小包でも

なんか荷札を何枚も書いていたような・・。



返信する
いやぁ・・なんとも (とんぼ)
2006-04-07 22:57:05
千兵衛様

ご心配ありがとうごさいます。

文章から推測っ!おぉ~~っ!

どーするべ、そんなつもりはなかったに・・。

まぁ、まだハナミズたらしてますんで(バッチイ)

お言葉通りムリはしないように気をつけますね。



なんか皆様にこんなにお気遣いいただいて、

とんぼはほんとに「しあわせとんぼ」です。

羽なんか「虹の七色ーっ」です。
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