写真は、先日「誕生日に」と、ある若い女の子が届けてくれたもの。
ちょっとバラが変色してきましたが、まだまだ咲いてます。ありがとね。
(寝そべってるのは、実家からもらってきたコたちです)
なんでまた突然「漢字?」、いえ別に漢字検定を、なんてことではないのです。
「弊」はつまり「くたびれてるー」とか「欠けてるー」とか、
マイナスイメージを表す言葉です。
昨日、丸洗いを頼みに行ったと書きましたが、そのときにもう一枚、
頼んだものがあります。骨董市で入手したものですが、
自分で解くのがちょっとヤダなー…で、そのままおいてありました。
羽織なのですが、なぜか「綿入り」…。写真を撮り忘れました。
最初につかんだときに綿の感触があったので「はんてん」だと思ったら、
広げてみると「男物の羽織」…、初めて見ましたよ綿入り羽織。
で、裏がよかったので買ったのですが「綿」が入っていると、
解くのにもほこりがねぇすごいんですよ。それで手つけずのままだったのですが、
この際、プロに解いて洗い張りしてもらうことにしたんです。
ところが今日になって、お店のお嫁さんが「ちょっとご相談が」と、
くだんの羽織を持ってたずねてきました。
羽裏が弱っている…というのです。実は古着ばかり扱っている私には、
別段珍しくもない弱りようなのですが、なんせ呉服屋さんですからねぇ、
ちょっと解いてみたら端から切れるようなシロモノ、
どうしようかと思ったようです。
買ったとき、羽裏の背中部分や袖内側の布はまだ十分力があるのは確認済ですが、
モンダイは「縫い目と布端」、縫い目から裂ける、布端は引っ張ると切れる、
でも古着ってそれが多いんです。
「もう一度羽裏に使うつもりはないから、縫い目や端は気にしないでいい、
予定どおりといて洗って」と、再度お願いしました。
着られない古着やアンティークを扱ったことのないお嫁さんは、
「こんなのどーするの」という困惑顔、で、羽裏じゃなくて小物にするには
裏に接着芯を貼るのよ、と言ったら「な~るほど」と納得してくれました。
きっと「こんなボロボロどーすんだろ」と内心は思っていたのでしょう。
ホッとしたカオで帰るお嫁さんを送り出してふと「弊衣破帽」という、
古めかしい言葉を思い出しました。これを知ってたら「トシ」がわかる?
「バンカラ」と言ったら尚、知らない?
「弊衣破帽」というのは、旧制高校の生徒が、わざと帽子や制服、マントを、
石でこすったり、雨風にあてたりしてわざわざボロっちくして
身に着けていた当時の流行ファッション。単なるファッションではなく、
「身を飾ることより、我は真理を追求す」とでも言うような、
つまり当時の西洋文化にどっぷり、という風潮のアンチテーゼとして…、
なんてぇ難しい言葉を使うと、とんぼらしくなくなるのでカンタンに言うと、
「ハイカラ」に対する「バン(蛮)カラ」、かっこじゃないよ心意気だよ、
ってぇとこでしょうか。あっ先に申しあげますが、
いくらなんでも私は「バンカラ」リアルタイムじゃないですからねー!
それでも「ムッシュかまやつ」の「♪ゲタを鳴らしてヤツが来る~」と
初めて聞いたときには、ふっとボロボロ制服に角帽、
腰にしょうゆで煮しめたような手ぬぐいをぶらさげ、
からんころんと高下駄の音を高らかに鳴らして歩く姿を思い浮かべましたけど。
最近、わざわざ軽石でこすってボロボロにしたGパンとか、
はさみでちょんぎって糸抜け状態Gジャンとか、ボロボロファッションが
はやっていますけれど、歴史は繰り返す?いやいや、ちょっと違ってますね。
ともあれ、お嫁さんが「お客様からあずかったボロボロ着物」を前に、
どれだけ悩んだのかと思ったら、なんだか気の毒になりました。
おまけのお話し、
「弊」とよく似た「幣」、実は最近この字をいい大人が間違えるのだそうです。
「弊」は「くたびれた」などのマイナスイメージのある字です。
「疲弊した…」などという具合に使われますね。
謙譲語で使うときは、自分の会社やお店などを「弊社」とか「弊店」とか…。
一方「幣」は「ぬさ」とも読み「神事」にまつわる言葉です。
幣は紙や金属などで作られ、神殿にトドーンと立っていたりしますね。
カタチはあの注連縄にぶらさがっている白い紙と同じです。
神主さんがお祓いをするときに使うのは、細い紙でたくさん作った幣を
一本にまとめたもので「おおぬさ」といいます。
どっちにしても「神様」にかかわる道具、格が高いわけです。
それをよりにもよって「幣店」とか「幣社」と平然と印刷してあったりするとか。
どれだけエラい会社なんじゃ…なんとまぁバチあたりなことで…。
日本人の漢字能力が衰えているそうです。
いってる私もなんでもPC…になってから、読めるけれど書けない…
なんてことがままあります。手書きの手紙を書くときは最近辞書片手。
そういえば、たまに顔を見せるあるセールスマンのにーちゃんが、
以前「セールお知らせのハガキ」を手書きでくれたんですが、
「拝啓」が「拝敬」になってました。そこまでうやまってくれへんでも…。
ちょっとバラが変色してきましたが、まだまだ咲いてます。ありがとね。
(寝そべってるのは、実家からもらってきたコたちです)
なんでまた突然「漢字?」、いえ別に漢字検定を、なんてことではないのです。
「弊」はつまり「くたびれてるー」とか「欠けてるー」とか、
マイナスイメージを表す言葉です。
昨日、丸洗いを頼みに行ったと書きましたが、そのときにもう一枚、
頼んだものがあります。骨董市で入手したものですが、
自分で解くのがちょっとヤダなー…で、そのままおいてありました。
羽織なのですが、なぜか「綿入り」…。写真を撮り忘れました。
最初につかんだときに綿の感触があったので「はんてん」だと思ったら、
広げてみると「男物の羽織」…、初めて見ましたよ綿入り羽織。
で、裏がよかったので買ったのですが「綿」が入っていると、
解くのにもほこりがねぇすごいんですよ。それで手つけずのままだったのですが、
この際、プロに解いて洗い張りしてもらうことにしたんです。
ところが今日になって、お店のお嫁さんが「ちょっとご相談が」と、
くだんの羽織を持ってたずねてきました。
羽裏が弱っている…というのです。実は古着ばかり扱っている私には、
別段珍しくもない弱りようなのですが、なんせ呉服屋さんですからねぇ、
ちょっと解いてみたら端から切れるようなシロモノ、
どうしようかと思ったようです。
買ったとき、羽裏の背中部分や袖内側の布はまだ十分力があるのは確認済ですが、
モンダイは「縫い目と布端」、縫い目から裂ける、布端は引っ張ると切れる、
でも古着ってそれが多いんです。
「もう一度羽裏に使うつもりはないから、縫い目や端は気にしないでいい、
予定どおりといて洗って」と、再度お願いしました。
着られない古着やアンティークを扱ったことのないお嫁さんは、
「こんなのどーするの」という困惑顔、で、羽裏じゃなくて小物にするには
裏に接着芯を貼るのよ、と言ったら「な~るほど」と納得してくれました。
きっと「こんなボロボロどーすんだろ」と内心は思っていたのでしょう。
ホッとしたカオで帰るお嫁さんを送り出してふと「弊衣破帽」という、
古めかしい言葉を思い出しました。これを知ってたら「トシ」がわかる?
「バンカラ」と言ったら尚、知らない?
「弊衣破帽」というのは、旧制高校の生徒が、わざと帽子や制服、マントを、
石でこすったり、雨風にあてたりしてわざわざボロっちくして
身に着けていた当時の流行ファッション。単なるファッションではなく、
「身を飾ることより、我は真理を追求す」とでも言うような、
つまり当時の西洋文化にどっぷり、という風潮のアンチテーゼとして…、
なんてぇ難しい言葉を使うと、とんぼらしくなくなるのでカンタンに言うと、
「ハイカラ」に対する「バン(蛮)カラ」、かっこじゃないよ心意気だよ、
ってぇとこでしょうか。あっ先に申しあげますが、
いくらなんでも私は「バンカラ」リアルタイムじゃないですからねー!
それでも「ムッシュかまやつ」の「♪ゲタを鳴らしてヤツが来る~」と
初めて聞いたときには、ふっとボロボロ制服に角帽、
腰にしょうゆで煮しめたような手ぬぐいをぶらさげ、
からんころんと高下駄の音を高らかに鳴らして歩く姿を思い浮かべましたけど。
最近、わざわざ軽石でこすってボロボロにしたGパンとか、
はさみでちょんぎって糸抜け状態Gジャンとか、ボロボロファッションが
はやっていますけれど、歴史は繰り返す?いやいや、ちょっと違ってますね。
ともあれ、お嫁さんが「お客様からあずかったボロボロ着物」を前に、
どれだけ悩んだのかと思ったら、なんだか気の毒になりました。
おまけのお話し、
「弊」とよく似た「幣」、実は最近この字をいい大人が間違えるのだそうです。
「弊」は「くたびれた」などのマイナスイメージのある字です。
「疲弊した…」などという具合に使われますね。
謙譲語で使うときは、自分の会社やお店などを「弊社」とか「弊店」とか…。
一方「幣」は「ぬさ」とも読み「神事」にまつわる言葉です。
幣は紙や金属などで作られ、神殿にトドーンと立っていたりしますね。
カタチはあの注連縄にぶらさがっている白い紙と同じです。
神主さんがお祓いをするときに使うのは、細い紙でたくさん作った幣を
一本にまとめたもので「おおぬさ」といいます。
どっちにしても「神様」にかかわる道具、格が高いわけです。
それをよりにもよって「幣店」とか「幣社」と平然と印刷してあったりするとか。
どれだけエラい会社なんじゃ…なんとまぁバチあたりなことで…。
日本人の漢字能力が衰えているそうです。
いってる私もなんでもPC…になってから、読めるけれど書けない…
なんてことがままあります。手書きの手紙を書くときは最近辞書片手。
そういえば、たまに顔を見せるあるセールスマンのにーちゃんが、
以前「セールお知らせのハガキ」を手書きでくれたんですが、
「拝啓」が「拝敬」になってました。そこまでうやまってくれへんでも…。
いつもは何でも自分で解くのですが、
以前綿入れを解いたら綿がいたんでましてねぇ、
もちろんそれなりの準備はして解いたのですが、
虫なんか出てきたり、くさかったり、
大変だったんです。子供のものだったので
余計だと思うのですが…。
それでつい敬遠…というわけです。
縫いこまれて見えなかった布はしが、細かく
裂けていました。まだまだなんのなんのです。
とてもいい柄なので、またアップしますね。
ぼろな 布ほど嬉しいですよね。
私がかわって 解いてあげたいくらいです。
とんぼさんとこの 古布に埋もれてみたい
穴熊の女房です。
販売するとなると、傷ひとつあってもドッキリですよね。しかも真ん中だったりした日にゃあ、泣けてくる…。私なんか仕事が粗いので、解きながら切っちゃったりして、自分で値を下げてます。でも小物に使うときは、10センチ四方いいところがあれば、なんていう使い方もありますから。
語彙はそんなに多くないんですよ、おもしろい話しとか、ちょっとした逸話なんてのが好きで、ちびっと読んでるだけなんです。
古布を売る立場の私は解いていて弱った所を発見すると「あちゃっ!」と困ってしまいます。
競りは瞬間に買うかを決めて声を出すものですから、解きながら見えないところが弱っていたり、穴が開いていたりを発見すると落胆です。見積もった値段がくるって着ます。
売る立場はつらいものが・・・。
でもそれを生かして素敵な小物にしてくれる人がいるのは嬉しいです。
「弊衣破帽」と言う言葉、そのことからよく出てくるものですね。
とんぼさんは何でも良く知っている。
語彙を沢山持っている方だと感心しています。
パソコンは感じを忘れさせます。辞書を引く習慣忘れたらあかんなぁ・・・。
そうなんですよ!日ごろ使う字はまだしも、
あまり使わない字だと「なんとなく形は覚えてる」
なんて具合です。点ひとつ違っても
字になりませんからねぇ。
大それた事を考えて勉強も少しはしましたが
最近はPCで打てば変換という便利なものに
慣れて、ますます漢字を忘れていきます。
簡単な漢字さえ、さあ書こうと思ったら書けない
事度々です。