先日の大雨が降った午後、宅配のお兄さんがわっせわっせと運んできてくれました。
まだラップテープをとっていない写真です。
ズシリと重くて安定感抜群です。母の持っていたものは、もっと板が薄かったと思います。
さて、よくご覧いただくと…板の上下に「足」がついています。
「足」は板の反りを防ぐためと、地面に直に板がつかないようにして、しかも安定させるためのもの…ですが、
なんで上にもついてるの?…私、実は注文するときに、今の人は「張り板」なんて知らないだろうと思い、
こういうものに使うためのこういう板です…と、文に書いたのですが、うっかり「片側は足はいりません」と、
書くのを忘れてしまっていたのです。
張り板は、2メートルです。着物の片身頃は、だいたい身長の倍と同じくらい…つまり身丈の倍、
例えば私なら身長152センチなので、身丈150程度の倍として3メートルです。
2メートルの板では長さが足りません。そのため、長い身頃を貼るときは、
表側に張って、残りはてっぺんで裏側に回して張ります。
なのでてっぺんは反り止めの板は必要でも、それは張り板と厚みも幅も同じ…になるわけです。
古い写真を出すと、こんなですねぇ。ネットからお借りしました。
なので、もう注文して「納期は何○○日ごろになります」という連絡も受けてしまってからそれに気づき、
しまったーと思っていたのです。まぁウチは丈の長いものは、たとえ木綿でも伸子張りの方がいいので、
張り板にはそれほど長いものは張らないのですが…その話を我が着物の師匠とお呼びする方にお話したら、
あら、プロは上も下も「足」にしてるわよ…えぇーっそうなんですか?
そうなんですって…あらら知らず知らずに「プロ仕様」にしちゃってたわー。よかったー…のかしらん?
聞くところによれば、プロはお預かりものを洗い張りするわけですから、たとえ木綿でも、
地の目をきちんと通し、更に生地をまっすぐ平らに仕上げるために、板の途中で裏側にUターンはさせない…
長いものは伸子張り、張り板に使うのは短いパーツのみ、そして糊を付けて張った後、
しばらくはこまめに張り板の上下を、ひっくり返すのですと。糊は液体ですから、立てかければじわっとでも下がります。
糊の厚みが均等にならないと風合いが悪くなるから、そうするのだと教えてくださいました。
一般家庭で洗い張りするなら、それでもたいして問題にはならないし、足はしっかりしたものほど、
つければそれだけ板の価格が高くなる…だから下だけついたもので十分…ということのようでした。
以前ネットで見たものは、足のほかに更に板の両脇に、持ち手になるようなものがついてました。
それは、張って風通しのいい場所などに運ぶとき、長いままだと重たくて大変だから…なのですね。
師匠のお話ですと、時には両方の足を左右の台にのせて、横向きにして使うこともあるそうな。
だから、足は両方についていてもいい…というわけです。
この板には、持ち手まではつけてもらいませんでしたから、玄関への出し入れでさえ、
持ち上げると前が全然見えなくて、しかも重いので、そろりそろり…になります。
なるほど、プロ仕様かぁ…と、怪我の功名だった私、届いてのメールには、
「注文通りのたいへんよいものを作っていただきまして、ありがとうございました」と…へへへ。知ったかブッタでした。
つるりとしたきれいな張り板をなでなでしながら、母の古い古いグレーに変色していた張り板を思い出していました。
もうすでに処分されてしまっていますが、母が割烹着で姉さんかぶりして、
これまた古くてペコペコに変形した小さなお鍋に入れた糊を、ペタペタとハケにつけていた姿も思い出します。
届いてからこっち、なんだかお天気が落ち着かず、です。それでも今日はついに東京で桜の開花宣言が出ました。
どうせ「お初」で使うなら、春の青空に白い雲がぽっかりこ…なんて日にしたいと思います。
お彼岸には、母と主人の写真にピンクのチューリップを飾りました。
お線香は「緑茶」、毎年いただきもののぼた餅も二つ、えぇもちろん、私の胃袋にもとっくに入っております。
昨年の春のお彼岸は、主人がなくなってまだ2か月でしたから、感傷的にもなっていましたし、
まだ何も落ち着かずで、ふわふわと漂っていたような気がします。
今年はもう大丈夫、先日主人が夢に出てきまして、黄色っぽいポロシャツを着ていたのですが、
私が言った言葉が「おとサン、メタボだよ」…目がさめたら、なぜかポンとでっぱったおなかの記憶しかない…。
きっと「その言葉、そっくりおかえしするから…」と言っていることでしょう。
元気でがんばらなきゃね…の春がきました!
作る方も見たことがないものを作るのはきっと大変だったのでしょうねえ。。。
この板が使い込まれてグレーになるまでとんぼさんの手でたくさんの着物がよみがえるといいなあと思っています。
洗濯機で着物を洗ったりする私はみんなにあきれられています(笑)。
まぁデカいわ重たいわ…ですが、
これでシワなくピンとはれますー。
これからはいい季節になりますから、
ちまちま、やっていきますね。
着物も洗濯機で洗えるものもありますから、
気にしない気にしない。
ただ今、書き物をしていて、張り板は今でもあるかしら?と
思いまして
検索をしましたところ、貴ブログに。
とても懐かしく拝見致しました。今はなき母や祖母を想い出してホロリと。
実は私宅は呉服屋さん(w)なんです。私は専門の道を歩みましたが、
シルクや着物への思い入れは一入です。それではまたお訪ねさせて
頂きます。今宵はこれにて。
コメントをありがとうございます。
今はすっかり見なくなった風景…がいろいろありますね。
これを購入する前に、ネットオークションなどでも探したのですが、
みつけてもテーブルに加工してあったり、カットされたりでした。
今はこれを出しても、何をするものかわからない人の方が多いでしょうね。
ブログも拝見させていただきました。
私は短歌も俳句も自己流で、誰にも添削もされず(だって恥ずかしいし)
こっそりノートに書き溜めています。
「思い」を言葉にし、それを文字にすることが、見えているものを
スケッチしているような…そんな感じに思えて、ひとりで楽しんでいます。
つたないブログですが、今後ともよろしくお願いいたします。
こんばんは、コメントありがとうございます。
メールさせていただきました。
お名前等、記載されていますので、
コメントは非公開にさせていただきます。