ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

やっと入手

2008-04-07 23:00:55 | 昔の道具・暮らし
これはなんでしょう。オリンピック足すイチ~、って違うっ!
「蚊帳のつり輪」ですね。(4月だってのに蚊帳かいっ、すんません)
つり輪そのものは、蚊帳にくっついて出ることがけっこうあるんですが、
「もよう入りのつり輪」となると、なかなか…。
ちゃんと6個ならべますと、


     


蚊帳で出るときは、ただのわっかがついていて、蚊帳中心ででます。
つり輪に柄があると、それだけで売れるのでこんなふうに出てきます。
以前、4回ほど落札しそこねたり手がだせなかったりしまして…。
状態がいいと、けっこうなお値段になるのですよ。
これは少し擦り減っていたのと、きれいではなく、
おんなじ色目に揃っていなかったせいでしょうか、かなりお安かったです。

こんなわっか、どーすんのよ…とお思いでしょうが、
もちろん蚊帳をつるためではありません。蚊帳、ありますけどね。
まずはちっとでもアップで…
擦り減ってるのでわかりにくいんですが「松竹梅」。


       


輪の上部分が松の枝でその左に「葉」があります。
真下あたりにさかさまですが「竹」右側の擦り減ったところが「梅」、です。
ずいぶん使い込まれたんですね、梅の輪郭がおぼろげです。裏も柄ありです。
これはたとえばこんな風にして、細長いテーブル・ライナーのはしに、
ちょっとつけておもしにしたり、タペストリーの下につるしたり…
したかったのですが、作る気だけ、あるってことで…。


      


今のかたは蚊帳という名前を知っていても、実物は見たことない、
つかったこともない、という方が多いでしょう。
最近は大きなものより、ベッド一つ分ベールのようにかけるのとか、
かさのように開くタイプとか、そんなのがありますね。
お昼寝蚊帳、とか言ってまたか、息子も小さい頃使ってました。

蚊帳は歴史がたーいへん古いもので、奈良時代にはもうあったそうです。
なぜでしょう…日本が農業国だったから。
はい、そーです、水のあるところに「蚊」が生まれるんですねぇ。
蚊帳があったといっても、もちろん「超ぜーたく品」でしたから、
身分の高い人しか使えませんでした。
それも、元々は大陸から渡ってきたもの、材質は絹や木綿でした。
奈良蚊帳といいますが、奈良は後年も木綿の蚊帳が多かったそうです。
一方「麻の蚊帳」、これは室町時代に作られ始めたたものです。
私は母が「蚊帳は近江蚊帳が一番や」という言葉を
よく言っていたのを思い出しまして、近江蚊帳で検索してみたところ、
みつけました、歴史も何もくわしーく出ておりました。
それによれば、おどろいたことにあの「西川産業」、おふとんやさんですね、
あの始祖が、1566年に、蚊帳・生活用品などの店を開業し、
その後1587年に「近江八幡」で、本店というべき店を出したのだそうです。
その後、二代目さんが、麻を萌黄色に染め、縁に紅布をつけた蚊帳を販売し、
これが「近江蚊帳」としてたいへん人気が出たそうです。
近江が蚊帳の生産地になったのは、乾燥すると切れやすい麻を織るには、
琵琶湖の湿気がちょうどいい条件になったためということです。

蚊帳は私の記憶でも昭和40年くらいはまだ使われていたと思います。
我が家では私が小学生くらいでしたから、35年くらいでしょうか、緑色の。
その後、家の建ち方もかわり、鴨居が無くなりましたねぇ。
あれないと、蚊帳をつるための鉤がつけられないんですよね。
近代的な密閉性のあるアルミサッシで、部屋も洋室主流…。
それと扇風機だのクーラーだの、それから殺虫剤の進歩。
子供のころは、母があのT字型の「噴霧器」、使ってましたわ。
上下水道も整備されて、道もアスファルトばかりになり水溜りもなくなり、
宅地造成で、野原や池も減り…、ボウフラがわくことも減ったんですね。
衛生という意味ではいいことでしたけれど、最近では殺虫剤で皮膚炎とか、
密閉された部屋でクーラー病とか…。
本当は、夜、窓を明けっぱなして蚊帳をつって寝るというのが、
一番自然でいいのでしょうけれど、そんな物騒なことはこのご時世、
都会ではとてもムリです。マンションの高層階でも泥棒がはいるんですから。
それに昔より暑いですよね。
それでも、クーラーの効き過ぎの予防にもなるそうで…そうですよね。
あかちゃんや子供のために、殺虫剤を使いたくないとか、
蚊ではなく、現代は別のものから身を守るために、
蚊帳は見直されているのだそうです。
この夏、ひっぱりだしてみるか…あっ、鉤がつけられないわ…。




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6 コメント

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Unknown (陽花)
2008-04-08 00:14:25
子供の頃は蚊帳使っていました。
下を高く持ち上げると叱られて、
蚊帳の中に入る時は、這って入って
いましたね。
水鉄砲みたいな噴霧器も懐かしいですね。
返信する
懐かしいです (キャット)
2008-04-08 09:04:16
蚊帳に入る季節はなぜかウキウキしましたね。
しかも、家にはたった一つの蚊帳でしたから
その中で家族4人が寝ていましたよ。
良い時代ですね。
でも、家にあった蚊帳のわっか、もちろんつるんとしたもので
模様はなかったと思います。(庶民ですから当たり前?)(笑)
返信する
蚊帳 (もなか)
2008-04-08 09:31:18
使った記憶のある最後のほうの年代ですかね、私
40年生まれなんで。
実家で使ってた記憶はありませんが
夏休み、母の実家に行くと蚊帳を吊ってました
幼稚園の頃までかなぁ
なんだかあの中に入るとはしゃいでしまいましたが^^
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-04-08 13:28:40
陽花様
そうでしたねぇ。ふざけて何度も出入りしては
怒られました、蚊が入る!って。
蚊取り線香とともに、懐かしい思い出です。
あの噴霧器もね今のものからしたら、
すごい迫力ですね。


キャット様
夏になって、初めて蚊帳を出した晩は、
なんだか遠足に行くときと同じような、
わくわくがありましたね。
我が家の蚊帳も古くて、穴をつくろったところなんか
ありましたねぇ。


もなか様
季節の風物というんでょうか、昔のものは
「これがでたか、もうそんな季節か」なんて、
そう感じるものが多かったように思います。
蚊帳は夏の到来の一大イベントでした。
返信する
そうそう (蜆子)
2008-04-08 17:35:45
嫁入りに蚊帳をもってきました。
近江縮みの夏布団、そして夏座布団、みんなそのままあります。夏蒲団小さいんですよ、足が出るサイズ、
それなのに綿がはいっています。涼しいんだか暑いんだかわからない、探せば釣り手はあるはず。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-04-08 18:41:35
蜆子様
いつもお話伺うたびに、豪華なお嫁入り支度で
嫁がれたのだなぁと、びっくりします。
ウチなんか夏がけなんざ、ポリ綿のペラペラで、
あとはもらいもののタオルケットでしたよ。
蚊帳はさすがにありませんでしたね。
あっ蚊取り線香の蚊取りブタ、持ってきました!
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