学校からの着信はドキッとする。
「もしもし?元気?今、暇ぁ~?」
なんて電話では絶対ない。
“子どもに何かあったんだ”
と、心臓がドクン、となる。
案の定、
「熱が39℃ありまして。今保健室で休ませてますが、迎えにきていただけますか?」
今朝は元気だった。
でも、そういえば、昨夜から喉が痛いと言っていた。
「クラスでもインフルエンザが数人出てますから、検査してもらって下さい」
と、出校停止証明書を渡された。
病院へ行く車の中で、ダオはずっと黙っていた。
彼の言いたいことはわかってるので、私も黙って運転した。
体がツライ、ということじゃない。
他人にうつる病気でさえなければ、彼はどんなに辛くても、早退なんかしたくなかったはず。
ダオは、小中高と、今日の今日まで、無遅刻・無欠席を貫いていたのだ。
不謹慎だが、ダオは胸中、『インフルエンザ』であれば…と思ってたはず…。
それなら欠席扱いにはならず、完治するまで堂々と休めるが、ただの『風邪』では早退も皆勤賞から外されてしまう。
母は複雑だった。
インフルだったら普通の風邪よりうんとひどいだろうから可哀そう…
でも、小さい頃から一生懸命体を鍛えて、ずーっとずーっと、頑張っていた皆勤賞…
そして結果は…「陰性」。
インフルエンザではなかった。
事情を知ったお医者さんは苦笑いで、
「出ないね~。残念だけど。いや、本当は良かったね、なんだけど」
ダオは見ていられないほど落胆した様子で、
私は、良かったとも悪かったとも言えず…ただ、
「早く治るといいね」しか出てこなかった。
ダオさん、キミはよく頑張ってたよ。
雨の日も、風の日も、バスケで足を痛めた時も、柔道で大けがしても。
包帯の足を引きずって、それでも一人で行けるから、と手をかさせなかったキミを、
母はうるうるマナコで見送ってました。
寄ってきたり離れたり、子ども扱いすると怒る、難しい年頃のキミに、
面と向かっては言えないけど、
皆勤賞は取れなくっても、その努力、母がしっかり覚えてるから。
小学校の先生みたいに、私がハンを押してあげます!
“たいへんよくがんばりました。”
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