のろひ歌かきかさねたる反古(ほご)とりて黒き胡蝶をおさへぬるかな 与謝野晶子(よさのあきこ)
この歌は、人を呪ったことの告白である。そして、呪いは歌の中に閉じ込め、相手に呪いを発することを抑えたことを語っている。
「(唾棄すべき人を)のろった歌を数多き書きましたが、それは(心の慰めであって、人に聞かせるような歌ではありませんので)反古としていました(が、捨てることは出来ませんでした。)。その反古を取って、(そこから湧き出て来る式神のような)黒い蝶を押さえて、その人に向わないようにしました。(のろいは歌の上に留めました。)」