火を投げし如くに雲や朴の花 野見山朱鳥(のみやま あすか)
高浜虚子は、“如く”という言葉を使うなら、このぐらい大胆に表現しなさいというようなことを述べていた(と思う)。何に書かれていたのか、記憶が曖昧なのですが。
“火を投げし如くに雲や”は、雲に火を投げ入れたように赤い(本来火は黄色だが、何故か赤いと表現する。)
しかし、雲に火を投げること行為はないのだろうか?
それがあったのです。
『炉辺夜話(ろへんやわ)』宮本常一 河出書房新社
離島の生活と文化 焼火信仰
「隠岐島の島前(どうぜん)に焼火(たくひ)という山がある。これは、ぜひ皆さん方にも登っていただきたい山なのですが、この焼火神社、焼火権現というのは、日本海側の海に浮かんでいる島の中で、海を航海する人にとっては、一番大事な山だった。日本海を航海する船は、どの帆船でも、夕方日が沈むときには、必ず麦わらに火をつけて、その束を海に投げこんで、それを焼火権現に捧げるわけです。」
直接、朱鳥の句との関連はないが、朱鳥にこのことを伝えれば喜んでくれたような気がする。
ついでに、私の拙い如く俳句(“如く”という言葉は使っていない。)を掲げます。
礼拝の姿浮き輪の空気抜く 風天