没句歌集 その3
ドラマでは最後に解けるパスワード
守秘義務はないのか主婦の会話には
俺の癖なんで隣のかあちゃんが
鍵保管マトリョーシカのようになり
*2018年にセキュリティ川柳に応募した作品群です。
没句歌集 その3
ドラマでは最後に解けるパスワード
守秘義務はないのか主婦の会話には
俺の癖なんで隣のかあちゃんが
鍵保管マトリョーシカのようになり
*2018年にセキュリティ川柳に応募した作品群です。
没句歌集 その2
幹事はね人柄だよとおだてられ
ご苦労さん次はボーリング大会だ
不備あれば査定が下がる幹事役
準備のみ部長がマイク握りしめ
欠席が多けりゃ幹事叱られる
絶対になりたくないや幹事長
*2018年幹事川柳に応募した作品群。くすっとしていただければ嬉しいです。
あはせつる木居(こゐ)のはし鷹すばえかし犬飼人(いぬかいびと)の声しきりなり 西行(さいぎょう)
この歌を現代語に訳してみました。
獲物に向かって放った止まり木のはし鷹よ、素早やく獲物を捕らえよ。
捕えた獲物を追う犬の飼育係りの声がしきりに聞こえて来る。
<鷹狩というと鷹匠が腕に鷹を乗せ、獲物を見つけると鷹匠が腕を前に滑らせる。
すると、鷹が獲物目掛けて飛び立つ。>というイメージを持っていたが、古い時代は、(多分)鷹は止まり木に乗せられていたのだと、この歌を読んで思いました。
但し、西行は鷹狩りを見てはいない。犬飼人の声が聞こえただけだ。犬飼人の声を聞こえてきて、出家前の鷹狩りの状況が鮮明に蘇ってきた。そういう歌だと思います。
正統な解釈は以下のブログでどうぞ。
山家集の研究
http://sanka11.sakura.ne.jp/sankasyu5/jitenko.html
源氏物語に(どの巻きだったろう)蹴鞠に打ち興じている場面が描写されている。
<久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも>
に合わせるのであれば、蹴鞠の秀句があればと思ったのですが、今のところ出逢っていません。
久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも 正岡子規(まさおかしき)
俳句や短歌を詠む人は、なかなかスポーツを貶せない。それは、子規が野球が大好きだったからだ。虚子や碧梧桐も子規の勧めで野球をやったことがあるようだ。
“久方の”天や空に掛かる枕言葉だが、アメリカに掛ける自由奔放さ。だけれども、船でしか海を渡れなかった時代、確かにアメリカは久方にある国だった。
それにしても、子規の愛した野球は将に草野球だった。
ベースボールの歌から
打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来きたる人の手の中に
いやあ、外野フライですね。しかし、のどかに楽しんでいる打者、外野手、そして歌人。
どの本に書いてあったのか失念していて申し訳ないのだが、「野球」という言葉も子規の考案らしい。しかも、“野”と“球(ボール”を合わせてノボール・・・升(のぼる)、つまり子規の本名だということだ。
子規は笑いが大好き。駄洒落が大好き。そうでなければ、秀吉以来最高の“ひとたらし”にはなれなかったのだろう。
ミットより熱砂へ突き出す指二本 風天
大いなるものが過ぎ行く野分かな 高浜虚子(たかはま きょし)
暴風に晒されたが、どうやら台風は過ぎ去るところだ。ひっきりなしに荒れ狂っていた風の音が、時折聞こえて来る程度になった。
そんな状況の中で、虚子は台風を巨大な生命体のように感じ、畏怖している。
<吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ>は、嵐が治まった後の挨拶だが、虚子は自分の安堵感を句にしたのだと思う。