◆英語と同様、平均点が急降下
都立入試の社会平均点が、過去6年間で最低だった。
その理由を分析していく。
◆下位の受験生は点数が取れないわけ
結論を先に言うと、「運だけでは正解できない解答方法になっている」から。
下の解答例をみてもらいたい。
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全20問のうち、4択と論述問題以外は
①ア~エ を古い順に並び替える 2問
②ア~エ を4つとも答える 5問
③4択 を2問セットで答える 3問
いずれも完答で5点となっている。
①は以前から毎回出ていたパターン。
歴史の問題で、時代の古い順に並び替える問題だ。
この問題は正答率48.9%
デタラメに答えて合っている確率は1/24。たった4%である。
②は2017年度から導入された。
この形式の問題数は、3年間で 2問→4問→5問と増加中である。
正答率は問題によってまちまち。2019年度入試だと10.9%~72.6%まで幅がある。
これもデタラメに答えた場合、4%でしか得点できない。
③も2017年度から導入された。
今回正答率が最も低かった(8.4%)のがこれ。
特にA~Dを選ぶ問題が難しい。
ヒントは「アユタヤ」と「王室」だが、これでタイだと気づけるものは少ないだろう。
上位生受験生にも点差をつけさせるための問題なら、これはいい問題だ。
この形式はデタラメに答えて合っている確率は1/16。わずか6%だ。
20問中で10問が①~③の形式。
半分の問題は、運だけでは正解できなくなったのである。
しかも難易度が高いものが並ぶ。偏差値40以下の受験生では太刀打ちできない。
◆論述問題は取れる
考えて書く問題は問答無用で捨てる、という受験生が一定数いる。
特に低学力層に多い。これで平均点は落ちる。
しかし、論述問題は前提となる知識がなくても、問題文や図から答えられるものも少なくない。
今回だとこれ。
「立地と土地利用」に着目すればいいだけなので、
"駅前"、"21階以上の建物が増加"、"人口が20倍以上に増加"などのキーワードを入れれば点がもらえる。
これを解けない受験生は
・そもそも論述問題は捨てると決めている
・「立地」の意味が分からない
・「立地」の意味が分からない
のどちらかではないだろうか。
笑い事ではなく、中学生の語彙の無さはハンパではない。
「おっくう」、「はす向かい」、「明後日」が通じない子も珍しくない。
ためしにお子さんに「立地ってどういう意味?」と字を見せながら聞いてみて欲しい。答えられるだろうか。
(きっと「リッチ」なら答えられる)
もちろん、全員が全員そういうものではないが語彙不足は国語の試験だけでなく社会にも影響が大きい。
以前に書いたが、漢字の勉強をしながら語彙を増やす意識をしたほうがいい。
◆都立社会は暗記科目ではない
中学校の定期テストの社会は暗記すれば点が取れる。
しかし、上記のように都立入試の社会はそれだけではダメ。
まずは出題傾向を見て、何を覚えたらいいかを考えて夏休みの勉強を始めて欲しい。
(ちゃんとした)塾の夏期講習に行けば、それは解決する。
夏休みだけでもいい。
良い塾に通って欲しい。
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