
初任者の先生と、毎週一緒に初任研を行っている。
一昨日、彼女は具合が悪くなりお休みしたとのこと。まだ、本調子でないとのこと。
心配です。
そこで、「もし体調を考えて休んだ方が良ければ、私が代わりに授業をやっておくよ。」と声をかけてみた。
すると、彼女は
「それなら、totoro先生、私の代わりにごんぎつねの授業をして、見せてくれませんか?」
「一度、totoro先生の授業を見てみたいと思っていたのです。」
初任者の先生にそう言われると、立場上「無理です。」とは言いがたい。
すぐに「いいよ。」と答えた。
頭の中は(さあどうしよう。)とフル回転。
昨日も「ちいちゃんのかげおくり」の授業を試したが、それはだれかに見せる授業ではない。
初任者に見せる以上、何かしら参考にならないといけない。
今から授業を作るのは、さすがに無理がある。
すぐに、略案を作って彼女に手渡した。
「こんな授業をします。」と
内容はともかく、手遊びやあくびをする子のいない、「全員が参加する授業」
この一点に目的をしぼって、授業を行うことにした。
ごんぎつね、4と5の場面。
月夜の晩、ごんが自分の償いを兵十がどう思っているのか聞きたくて、ついていく場面だ。
まず、一度読ませた。
T:ごんのしたこと、言ったことを見つけなさい。
T:登場人物の気持ちは、言動に表れます。思いがあるから動くのです。思いがあるから話すのです。
と説明した。
子供たちは、正確に全て順々に見つけていった。
T:さて、この赤線のところの、ごんと兵十の距離を考えてもらいます。
T:最初は?
S:最初は誰だかわからないぐらいだから、距離が離れている。
S:30mぐらい。
S:隠れているんだよ。
T:このぐらいでいい?
T:次は?
S:二人の後をついて行ったんだから、さっきより短いけどまだ遠いよ。
S:やっぱり30mぐらいじゃないのかな。
T:このぐらいでいい?
S:うん。
T:次はどう?
S:立ち止まって加助がうしろを見た。
S:距離はそのままだよ。
S:いや、今までより離れたんだよ。
S:そうだよ。だってごんは止まっていて、二人はまた歩きだしたから。
S:あそうか。そうだね。
S:それから「念仏」の間は、家の前にいたんだよ。
S:帰り道はね、もっと近いんだよ。
S:そうそう、影法師をふみふみだもの。
S:え~。それじゃ危ないじゃん。
S:見つかっちゃう。
S:3mぐらい
T:これぐらい?
S:うん、いいね。
T:このことからどんなことがわかるの?
S:ごんは、二人の話が聞きたいから、だんだん二人に近づいていった。
S:何を話しているのか知りたくなった。
T:では、今日はどんなめあてにしたらいいですか?
S:話を聞きたい、ごんの気持ちの変化を考えよう。
T:それをめあてにします。書きなさい。
T:みんなと同じスピードで書きなさい。
T:みんなから遅れた人は、―。で終わりなさい。
T:では最初のごんの気持ちを考えていきましょう..
T:どんな場面ですか?
S:ぶらぶら遊びに出かけました。
S:だれか来るから、見つからないように道の片側にかくれた。
T:そのときの気持ちを考えます。
T:ところで、前段落までごんの気持ちを考えてきましたが、ごんはどんな気持ちでしたか。
S:1段落では、ともかくいたずらがしたい。
S:3段落では、つぐないをしなければと考えました。
T:そうです。そこでこうします。いたずらがしたい。
つぐないをしたい。
その他(下の写真では「何かないかな」となっているが、この時点では空白)
T:今までのことを思い出してみると、この3つの中から考えれば良いことがわかります。
T:国語なので証拠がないとだめです。この場合は「遊ぶ」という言葉を国語辞典で調べなさい。
S:好きなことをする。
ぶらぶらする。です
T:何ページがみんなにも教えなさい。
S:18Pです。
T:皆さんの辞書にもこの2つが載っていますね。
T:好きなことをする。
ぶらぶらする。のどっちですか?
※多数決をとると全員が。
私としては好きなことをする。が選ばれると思っていた。
「好きなこと=いたずら」と持ってく段取りだった。
思い通りではないが、授業は子供たちがつくるものだ。仕方がない、これでいこう。
T:番号を選びなさい。わからなければカンでもいいので、どれかを選びなさい。
欠の結果は、下のようにが多かった。
T:が一番多いですね。
T:では、この空白のところに何と書いたらいいのか言ってください。
S:ぶらぶらしていたのだから、何かないかな。
T:今、Aさんが話したとき、だれも反応がないよ。
T:いいね~なのか、だめだよなのか反応しなさい。しっかり聞いたことを態度で示さないと失礼だよ。
S:何かおもしろいものないかな。
S:うんいいね。~
S:僕もそう思った。
S:ひまだから、楽しいことないかな。
S:付け足していていいね~
T:だんだん反応が良くなったね。この反応することも、発表することになるんだよ。
T:みんなが、発表者に対して反応すれば、全員がこの授業で何回も発表したことになるのだよ。
T:この調子で、きちんとした反応ができるように聞きなさい。
※ここで、に何かないかなと書き込む(下の黒板)
T:次のごんの気持ちを考えましょう。
S:道の片側に隠れたところだね。
T:次の3つのうちのどれですか?いたずらがしたい。
つぐないをしたい。
その他
S:全員です。
T:ではにはどんな気持ちが入るか、発表してもらうよ。
T:友達に反応できるように、聞く準備をして聞きなさい。
S:見つかったら困ると思ったと思うよ。
S:そうそう。
S:いいね~
S:見つかったら殺されちゃうね。
S:いいね~
S:だっていつもいたずらばかりしているもんね。
T:ここまでがこの段落の最初の部分です。ここまでのごんの気持ちをノートに書きます。
T:最初にと書いた後に、ここまでのごんの気持ちを書きなさい。
T:じゃあ、その次は?
S:二人の後をつけていったところだね。
T:次の3つのうちのどれですか?いたずらがしたい。
つぐないをしたい。
その他
S:全員です。
S:何を話しているか聞いてみたいと思ったと思うよ。
S:そうそう。
S:いいね~
S:何か僕のこと言っているかなって聞いてみたいんだと思うよ。
S:いいね~
S:だって気になるもんね。
T:ここまでがこの段落の真ん中の部分です。ここまでのごんの気持ちをノートに書きます。
T:それからにと書いた後に、ここまでのごんの気持ちを書きなさい。
T:さていよいよ最後の部分です。
S:影法師を踏み踏みだから、すぐ後ろだね。
T:ではこの3つの中から...
S:先生、もう「いたずら」と「つぐない」はないよ。
S:もっと違う選択しにした方がいいよ。
T:へ~、じゃあ、どんな選択肢が考えられる?もっと聞きたい。
何を話しているの。
ぼくのことを話すかな?
こんなに近寄って大丈夫かな。
S:ほぼ全員です。
S:何を話しているか聞いてみたいと思ったと思うよ。
S:そうそう。
S:いいね~
S:何か僕のこと言っているかなって聞いてみたいんだと思うよ。
S:いいね~
S:だって償いが償いになっているかどうか気になるもんね。
このあたりで、あと5分になってしまったので、最後の部分を急いで読みます。
T:最後にこの赤くまるで囲った部分のごんの気持ちを考えてみましょう。
T:特にごんの気持ちがわかる言葉を見つけなさい。
S:つまらないな。
S:ぼくもつまらないな。
S:いいです。
T:ではつまらないなを国語辞典で調べなさい。
T:速く調べた人は「引き合わない」も大事な言葉なので引いておきなさい。
S:つまらない=おもしろくない。
S:引き合わない=努力した結果が報いられない。
T:この2つの言葉の意味を参考にノート最後の気持ちを書きなさい。
T:最後にと書いてから、書きなさい。
※これでノートには、最初に....それから.....最後に....。ごんの気持ちの変化がかけたはずである。
T:まとめとして、この赤丸のところをBさんに代表で読んでもらいます。
T:Bさん、つまらない、引き合わない気持ちで読みなさい。
※Bさんが上手に読む
自然と子供たちから拍手!!
1分オーバーしたけど、これで4と5の場面のおよそのごんの気持ちの変化は、話し合えただろう。
初任者の先生への見本の授業とはいえないようなできだったけれど
子供たちがよく活躍してくれた。
初任者の先生が、「子供たちが、とっても楽しそうでした。」
「みんなが楽しそうに話し合っているときに、自分の世界に入っている子を一人見つけました。」
「その一人のケアをしなければならないと感じました。」
と話してくれた。
いろいろ感じてもらえたようで、まあ、それでよしとしよう。
今日はとても蒸し暑いせいもあり、汗びっしょりになってしまった。
半分は、冷や汗だ。
第35回 | 2013年10月12日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
第36回 | 2013年11月9日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール |
第2会議室 |
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