
彩色にとりかかる。
最初に指導するのは、パレットの使い方。
この指導をせずに、彩色を子供に丸投げすると、すぐにパレットに大きな色水の水たまりができる。
大量に同じ色ができると、その部分は全て同じ色で塗られる。
全て同じ色で塗られると、平面的に感じるしペンキで塗られたようで
水彩画らしい瑞々しい華やかな感じがなくなる。
自分だけの、リアルな肌の色を作ってみよう。
チューブから出した絵の具とおんなじ肌の人っていないよね。
かならず混色します。
でも、混ぜていいのは2色か3色だよ。
それ以上混ぜると、濁った汚い色になるよ。
混ぜて作るのは、筆先に「チョン」「チョン」ぐらいの量をとってくる。
このぐらいだよ。
それを混ぜ合わせると、十円玉の大きさの色ができる。
このぐらいの大きさだよ。
水の量は、その十円玉を筆で混ぜているときに、下の白いパレットが線になって見える量。
十円玉一つ分だけ作るから、すぐに無くなるね。
そうしたら、また「チョン」「チョン」と絵の具を混ぜて同じような色を作る。
でも、全く同じ色にはならないよね。
だから、自然と色がちょっとずつ変化して、塗り後が残る。
この塗り後が、水彩画のいいところだよ。
ほら、この前版画を印刷したでしょ。
彫った部分も、ほり後として彫った向きに筋がついて立体的に見えたでしょ。
あれとおなじだよ。
さらに、このきれいな筋模様を残す塗り方をするためには、筆の使い方の指導も必要になる。
穂先だけを使うよ。
穂先は往復せず、彫刻刀を彫った時みたいに、2cmぐらいずつ同じ向きに一方通行で動かすよ。
とくに、大事な鉛筆の「線は踏まない」ように塗るよ。
輪郭線の近くは、とくに慎重にゆっくりね。
そして、数分して、一度全員の作業をとめる。
その数分の内に、私の意図を忠実に理解して頑張っている子供を見つけておく。
ほら、この絵、いいでしょ。
塗り後がきれいだね!!
ほら、こっちのA君の絵をみてごらん。
塗る方向を考えているから、立体的に見えるでしょ!
Bさんのパレットを見せてあげる。
どう、全部で20色ぐらい作ってるよ。
すごいね、こんなにたくさんの色を作ったら、肌が立体的になるよね!
等々、いい絵を紹介して、全員に見てもらう。
友だちの絵や パレットをみることで、私の意図が全員につたわる。
こうした塗り方は、とても細かく神経を使う。
子供たちにとって、骨の折れる作業となる。
だから、ここから私の仕事は、
机間指導をしながら、頑張ってい子供たちを褒めまくる。
どの子も褒める。
褒めまくる。
いかに、その子の頑張っている部分を見つけられるかが勝負。
そのがんばりを褒める。
それから、その子が意図していなくても偶然うまくいっている部分がある。
それも、大いに褒める。
「ああ、こういうのが、いいってことなんだ。」と本人が分かるように褒める。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます