もちもちの木の研究授業を参観した。
落ち着いたよい授業だった。
子どもたちがよく大事な文章を見つけ、そこから豆太の気持ちを考えていた。
話し合いが進み、問題点が明確になった。
『「こわい」が3回でてくるが、どれも同じこわさかどうか。』だ。
最初のこわい。
豆太は、真夜中に、ひょっと目をさました。頭の上で、くまのうなり声が聞こえたからだ。
「じさまぁっ。」
むちゅうでじさまにしがみつこうとしたが、じさまはいない。
「ま、豆太、心配すんな。じさまは、じさまは、ちょっとはらがいてえだけだ。」
まくら元で、くまみたいに体を丸めてうなっていたのは、じさまだった。
「じさまっ。」
こわくて、びっくらして、豆太はじさまにとびついた。
2回目のこわい。
外はすごい星で、月も出ていた。とうげの下りの坂道は、一面の真っ白い霜で、雪みたいだった。
霜が足にかみついた。足から血が出た。豆太はなきなき走った。いたくて、寒くてこわかったからなぁ。
3回目のこわい。
でも、大好きなじさまの死んじまうほうが、もっとこわかったから、なきなきふもとの医者様へ走った。
子どもたちは、話し合って、1回目のこわいと、3回目のこわいは同じ。
2回目のこわいより、3回目のこわいのほうがこわい。
と結論をだした。
おもしろいなと思った。
私なら、 2回目のこわいより、3回目のこわいのほうがこわい。の理由として、
でも、/大好きな/じさまの/死んじまう/ほうが、/もっと/こわかった/から、/なきなき/ふもとの/医者様へ/走った。
切ってみるだろうと考えた。
切らないと根拠は見えないが、切ったとたんに根拠が見えてくる。
切らないと、子どもたちの目は、「大好きなじいさまが死んでしまう。」に向く。
しかし、これからはどちらがよりこわいか、理由は実は分からない。
切ることにより、「ほうが」「もっと」「から」などの、隙間を埋める言葉(名詞や動詞や形容詞でなく)の方に目が行くようになる。
だから「切る」ことは有効な手立てだと思う。
1回目のこわいと、3回目のこわいは同じ。は、どう解決したらよいだろう。
こわいと思うのは、その前に何かあったからだ。
こわいの前の文を調べる。
1回目の直前は、
まくら元で、/くまみたいに/体を丸めて/うなっていたのは、/じさまだった。「じさまっ」
この中から探すと、「うなっていた」だと思う。
うなるを調べると
①ウーウーというように長く引いた、低い苦しそうな声を出す。
②動物が低く力のこもった声を出す。
と載っている。
「くまのうなり声」が、「じいさまがうなる」に変わっている。
熊のうなり声は、「動物が低く力のこもった声を出す。」の意で
じいさまのうなり声は「ウーウーというように長く引いた、低い苦しそうな声を出す。」の意味だ。
しかし、最初豆太は、それを熊のうなり声と思ったのだから、苦しそうだけでなく、動物の存在を思わせるすごみのあるうなり声だったのだ。
すると、1回目のこわいは、「じいさまのうなり声が熊みたいな声だった」というこわさだろう。
2回目のこわいのすぐ後ろに「から」がある。
いたくて、寒くて「こわかったからなあ。」となっている。
「から」がつくということは、痛い寒い怖いは何かの理由だ。
何を理由づけているのだろう。
その前に目を向けると
「豆太はなきなき走った。」とある。
痛くて泣き泣き走った。寒くて泣き泣き走った。怖くて泣き泣き走った。ことが分かる。
何が痛いのか。「霜が足にかみついた。足から血が出た。」とある。
血が出たから痛いということだろう。足にかみつかれたと感じるぐらいだから、霜を踏むことも痛かったのだろう。
何が寒いのか。「一面の真っ白い霜で、雪みたいだった。」とある。
足は冷たい(痛い)が、寒いのは体全体だ。霜が真っ白く下りるぐらい寒かったのだろう。
では、何が怖いのだろう。
「かみつく」からも怖さを感じる。しかし、これは痛いの方で取り上げた。
すると残った部分から、怖さが読み取れるだろうか。
「外はすごい星で、月も出ていた。」
月が出ていたら明るいが、すごい星が見えると言うことは、灯りがなく真っ暗な山奥だ。
もともと、豆太は一人で外のトイレに行けないのだから、この暗闇は「怖い」だろう。
つまり、2回目のこわいは「ものすごく暗かった。」が原因だろう。
3回目のこわいは
でも、/大好きな/じさまの/死んじまう/ほうが、/もっとこわかったから
でもがあるということは、でもの後ろが大事になる。
からがあるということは、この部分が理由なので、「、」より前にその大事な部分が書かれていると言うことだ。
大好きな/じさまの/死んじまう/ほうが、の中に、こわさの原因がある。
「死んじまう」と思えたことにたいする怖さだろう。
こう調べると、それぞれの怖さの原因は、
1回目=「じいさまのうなり声が熊みたいな声だった」
2回目=「ものすごく暗かった。」
3回目=「じさまが死んでしまう。」
同じ怖いでも、その原因が違うのだ。
すると、1回目=3回目ではないことが分かる。
そんな勉強もおもしろそうだと思った。
38回 | 2013年12月14日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
39回 | 2014年1月18日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第2会議室 |
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