totoroの小道

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校内絵画展の作品

2010-02-15 00:13:51 | 図工

校内絵画展が開かれた。1年のそれぞれの作品の中から、一番良い作品を展示する会だ。別に版画でなくてもいいのだが、今までの絵画は保護者に一通り見せてきているので、必然的に版画が多くなった。

夏の校内研修に「仲川先生」においでいただいて、版画のご指導をいただいた。
その仲川先生が、版画のできを楽しみに見にいらしたので、ご一緒しながら感想や、鑑賞の視点等をお聞きした。

1年1組

お芋を掘ったときの楽しそうな様子を版画で表した。指や顔の表情など、部品に分け丁寧に貼り付けている。

なかなか良いできに見える。

仲川先生も、テーマを絞って丁寧に指導されていると喜ばれた。
指摘されたことは、
おいもを持つ手と、顔の表情は大変良くできている。もしもっとよくしようとすると、その他の部分だね。
というのは、子どもたちはお芋を持つ手や表情は、よく見えているけれど、実は胴体や足や体全体の使い方は見えていないんだ。
そこで、処理の仕方は2通りあるんだ。

①思い切って、この胴体から下をやめ、もっと顔や手を大きくして、子どもがイメージできる範囲で作品作りをする。何も体全体を入れなくても良い。フォーカスエリアを絞ってあげるんだ。

②手や顔以外の部分を入れる場合、動作化遊びをして、何度も何度も色んな格好をし、友達と見合って、足の踏ん張り具合や、体の曲がり具合を言葉にして言わせてみると良い。言葉にしたことはイメージしやすい。国語と同じだよ。

 

1年2組

1組と同じだけど、はさみを使っているところと、バックに青と緑を入れたところが違っている。

仲川先生によると、こうした背景の色は、どんどん取り入れていくと良いとのこと。全部同じ割合で色を入れているが、もっと青空の部分を多くしたり、畑の中にいるように緑を多くするなど、絵画性を取り入れるとおもしろい。

こうした作品は、関節で曲がっていることで足の動きがある。また、手や足がはみ出している作品も多く、構図を考えている様子がうかがえる。
私が1年生を指導したときは、関節をピンで留めた大きな人のモデルを用意し、いろいろなポーズを撮らせて考えさせたよ、とのことだった。

 

2年1組

顔の表情が工夫されている。構図を考え、作品を印刷用紙に置く向きを考えている。それにより、勢いや気持ちが良く出ている。


仲川先生によると、髪の毛が揺れている。口が開いている。目は手の方を見ている。手はしっかり跳び箱をつかんでいる。そうした様子がよく出ているのは、おそらく実際に何度も跳び箱を跳ぶ体験をしたからであろう。

とのこと。

2年2組

ここも、1組と共同歩調で、よく担任同士が協力して取り組んでいる。

1組の取り組みを見ながら、その良いところを取り入れ、さらに大きさや構図に一工夫している。


スピード感を感じる。これは構図をさらに絞って焦点化しているからだろう。

髪の毛をみても、方向を工夫することで風を切って跳んでいる様子がよく出ている。

1年の作品と同じで、こうしたリアルさを出すためには、下絵を描きながらよく言語化させておくことが大事だそうだ。「これは、何をしているところ。」「手はぎゅっと跳び箱をつかむんだ。」などと、言葉にしたことを子どもたちは意識する。
2年生ぐらいになれば、単文作りなどをして、言葉でスケッチしてから取り組むのもより良いイメージを作らせる方法であるそうだ。

 

3年1組



 

仲川先生曰く
「テーマは、何ですか?」
「テーマをなるべく絞った方がいいね。子どもたちがいろいろなことをし始めると、指導しきれなくなるね。授業だから、全くの自由にするより、テーマを絞ってその中で身につけさせる技能を全員にしっかり教えないと、絵が上手にならないし、ある程度満足する作品を仕上げさせないと自信もつかないね。」

 

3年2組


仲川先生曰く
「同じ紙版画だけど、1年生や2年生が、切り取った作品を構図を考えながら印刷紙に置いていくのに対して、3年生になると台紙に貼り付けて一度作ると構図が変わらなくなるね。これは、4年生以上の彫る版画との共通点だね。」

ということは、下絵が重要になってくる。
たとえばこれ、と仲川先生が指さす

この子は、つりをしたことがあるのかなあ。つり上げたとき、竿はもっとこっちに行くよね。竿を全部画面に入れようと思うから動きが無くなるんだよ。もっとここからはみ出して糸だけこっちにくるといいよね。1年生のお芋掘りもそうだけど、特に3年の版画は下絵が命だから、何回も動作化をさせて、言葉にさせてから下絵に取り組ませるとイメージが持てるね。

4年1組・2組

ここで、講師のI君がご指導を受けたくて鑑賞会に加わった。熱心である。
自分の指導が良かったのかどうかをとても知りたがっている。

だから、仲川先生にくらいつく。

バックをこのようにデザインして彫らしたのですが、いかがでしょう??


この子のバックのように全部同じ濃さでなく、近いところが白が多く、遠いところが黒が多いと言うようなバランスを考えると、背景にも人物の気持ちが織り込まれるようになるね。
それから、これなんかは、せっかく彫ったけれど掘りすぎなんだよね。掘り目がでない。そういうときは、馬楝でなく指でこするんだ。そうするともっとバックの模様がでてくるよ。

この目がいいね。しっかりと手を見ている。


手が大きく描けていて動きもあるね。


こっちも同じように指を丁寧に描いているね。リコーダーを吹いているんだから、指の表情って大事だね。同じように指の表情がでているけれど、こっちは単純で太く長い線、こっちは途切れ途切れの線でしょ。こっちの方がいいよ。人間の目って途切れていても連続に見えるんだ。線の強弱があった方が、訴える力が強いね。


これは、リコーダーを彫っているでしょ。黒の中に白があると目立つよね。
計算するんだ。白と黒しかないからね。

そうすると、リコーダーの位置が問題になる。黒い体の中に白いリコーダーが全て収まると、ほらバランスがよいだろう。でもこっちのように体の外の白い背景の中の白いリコーダーだと、迫力がないよね。
下絵の段階で、どこを白くし、どこを黒くするか考えて、構図を予め練っておくんだ。指導者がね!!
と、仲川先生から、具体的なご指導をいただいた。

なるほどと納得する。

 

5年1組


仲川先生いわく
これは、計算して取り組んでいるね。頭がいい子だよね。例えばもちもちの木などを作品にするとき、木って枝が重なり合っているでしょ。子どもはそれを描きにくいんだね。
あれは、校庭の木でスケッチをさせて練習しておくといいよ。そのときに枝が重なると重なっている部分を黒く塗って見せて、「ほら、重なったところはこうして黒くすると、どっちが上かなんて関係なくなるでしょ。」っていってあげるんだ。版画は一種のデザインだから、方法が分かると簡単に感じるよ。

5年2組


仲川先生曰く
これなんかは、構図をよく考えているね。
もっと大胆に、口と手までで切り取ってあげると表情がもっとつくね。小さいと表情が付けにくいし彫りにくいんだ。

こっちも、こっちも、ほっぺたを彫るときには、その方向をよく考えさせたいね。それに、彫るときは3cmぐらいですっときれいに掘りとっていくんだ。

 

6年2組


仲川先生いわく
せっかくこうした作品に取り組むのなら、文字の位置も構図として考えさせるといいね。
文章の一行一行を別に書いておいて、その行の配置を考えさせるんだ。1年生や2年生の版画と同じ考えだよ。全部そろっているとおもしろくないね。斜めにずれたりバランスをとって上下させたりしてみたいね。

 

このように、仲川先生に批評してもらって全ての作品をみてみると、とっても勉強になります。

残念なのは、ちょうどクラブの時間だったので、私とI君と、2年のY先生の3人しかその貴重な話を聞けなかったことです。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
光明小はレベルが高い (masa)
2010-02-17 21:19:55
さすが光明ですね。どの学年どのクラスもたいへん迫力のある作品ばかりでびっくりしました。やはり積み重ねが大切であると分かります。なかなかここまで、どのクラスも良い作品が仕上げるという学校はないと思います。
自分の今取り組んでいる多色刷り版画が終わりました。どの子も自分なりに満足度の高い作品に仕上がったようです。デジカメで撮り、今度の新城の時に持っていこうと思います。また、ご指導いただきたいと思います。
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ぜひ (taiger)
2010-02-15 21:46:38
土曜日の会、参加させてください。時間と場所が分かったら教えてください。
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Mrヒデさんへ (totoro)
2010-02-15 21:13:35
来年は、絵画展と書写展を合体させ、さらに家庭科の作品など何でもよしになります。

見て分かるかもしれませんが、絵画だけだと苦しい先生がいるのです。だったら、仲川先生にでも、大桑先生にも食らいついて教えてもらえばいいのに。。

仲川先生と話す時間はとても楽しかったです。
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taigerさんへ (totoro)
2010-02-15 21:09:59
ごめんなさい。作品展は終了しました。

ところで、今度の土曜日に会食兼飲み会を行います。来ます??
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さすがです (taiger)
2010-02-15 19:59:16
すばらしいですね。画面をとおしてでも、迫力が感じられます。実物を見たらもっとすごいでしょうね。
仲川先生のご指導も勉強になります。作品展はいつまでやってますか?自分も見に行きたいのですが。
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まだ息づいている (Mrヒデ)
2010-02-15 14:17:01
 この画面上の作品を見ると、まだ子どもたちの作品は追求的であり、光明小の作品として息づいています。酒井さんのリーダーシップがあるからでしょう。ぜひ、これを大切にしてほしいです。仲川先生が来てくれたのもよかったね。すばらしい教えだと思います。
○テーマを絞って丁寧に
○動作か遊びをたくさんする
○言葉にしてイメージを深める
○背景の色はどんどん必要に応じて取り入れる
○何度も何度も跳び箱を跳ぶ体験をする
○構図をさらに絞って
○題材は何でもよいでは、指導できない
○計算するんだ白と黒しかないからね
○計算して取り組んでいるね
○校庭の木をスケッチして練習しておく
 など貴重な教えがいっぱいです。すべての教科指導にも通じることですね。
 こんな素晴らしい教えです。3人ではもったないですね。このブログを全職員に配付して勉強してもらうといいですね。
 それにしても酒井さんのブログは内容が充実しており、勉強になります。長縄のことが書いてある「Y先生は、そう考えた」の内容も考えさせられます。
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