
愛知のサークルに参加しました。
今回は、 石井先生、行野先生、後藤先生に加え、なんと岡山から尾上先生が駆けつけてくださっていました。
いつもはお話を聞けない、尾上先生の授業観をたくさん聞くことができ、とても刺激をうけたし、納得もしました。
幸野先生による水彩画指導の基本
(1) 下絵の段階(鉛筆の線)が、着色の結果を決める。
下絵がダメなら、修復はむずかしい。
線を描くスピードが大事
ゆっくり描く
酒井式の「カタツムリの線」が使える。
早く描いた線には命が宿らない
一本の線で描いていく
基準が大事
どうしても実物よりも小さく描く
小さくならないように、例えば指なら、爪の底辺の長さを指定する
一つの線が決まると、全体の大きさが決まる。
画用紙全体に対する基準が決まる
最初の描き出しの数分で勝負が決まる。
その数分は全員が集中する。
2~3分したところで、作業を一時止め、全員を一番絵の不得意な子の周りに集める。
どんなに苦手な子でも、この時点ではよい線を描いている。(集中しているから)
すかさず、その子の良い線を褒める
「○○さんのこの線、生き生きしているね。」
「みんなも、この線をもらって自分の絵に生かすといいよ。」
上手い子は、教師の褒める視点を敏感に感じ、さらに良い絵を描き始める。
さらに数分したところで、今度は上手なこの周りに全員を集める。
上手な子を褒めることで、今度は全員が高い目標を持つようになる。
このような説明の後、それぞれが自分の指を描いた。
下絵を5分ぐらい行い、全員互いの作品を見合った。
ここから尾上先生にバトンタッチ。
尾上先生が、「どの絵がいいですか?」
と質問する。
すると、下記の絵がよく見て描かれているとメンバーから声が上がった。
「手に生活感を感じる。」
「この膨らみが本物をよくみないと欠けない膨らみだ。」
と声があがった。
しかし、尾上先生はそれを否定した。
「概念的な絵はだめです。」
「教師が、ぱっと全体を見て概念的に見栄えのよい絵がいい絵だと思うから、子供も概念的に、対象をよく見ないで描くのです。」
「そういう教師が教えると、絵の上手な子供たちが、概念(頭の中で作る絵)で満足します。」
とおっしゃった。 ほら、ここの所をよく見てください。
せっかく6Bの鉛筆を使っているのに、全部同じ濃さになっている。
もっと、触ってみて、感じてみて、ふわふわしているとか、がさがさしているとか、丸っこいとか、苦労の跡を感じるとか、そうした思いを持って描かなくてはいかんのです。
ほら、この線はこんななってないんじゃないですか?
尾上先生は、鋭い。
一枚の絵を見て、「先生は、絵が苦手ですよね。」とずばり。
「はい」と答えると、
最初のこの部分までは、とても集中して描いています。
でも途中から、どう描いていいのか分からなくなって、細かい線で描き始め、線が迷っています。
私なら、この絵がいいです。
6Bの鉛筆の柔らかさを上手に使っている。
先生は、この絵はどこから描いたのですか?
「親指と人差し指の間の部分です。おもしろい形をしていると感じました。」
ほら、だからやっぱりこの線が生きている。
概念的に描くのではなく、ここを描きたい、ここがおもしろいと思って描かんといかんのです。
それに、このぐらいの濃さで描いていると、あとで分かりますが絵の具の邪魔をしません。
あ、これもまあ、よく見ているね。
今度は色塗りの実習
ここからまた幸野先生にバトンタッチ
(2) 筆
腰があって、穂先が使えるもの。
穂先を大事にする。
軽く持つ
穂先を使う=筆を根元まで使って描くとすぐに筆の水を補給しなければならなくなる。
筆に絵の具がつきすぎたら、試し紙で余計な部分を取り除く。
(3) 絵の具 パレット
米粒ほどだせば十分。(用途に応じた適量をパレットに出す。)
高学年は、赤、青、黄の三原色で良い。
白、黒は必要なとき以外は使わない。
パレットは準備運動の場所。大きい運動場と色の教室。
パレットの運動場では100円玉くらいの色を広げたり、混ぜたりする。
一度にパレットには100円玉を4ついぐらい。
この使い方をすると、パレットをいちいち水洗いせず、ぬれたティッシュで拭けばしまえる。
残った絵の具は洗わずにこ残すと、次回に使える。
(4)彩色
色は置く感覚で、一定方向に塗る
置くのがむずかしい3年生は点描を意識させると置くようになる。
4年生は、2~3cmの線で一定方向に塗らせる
全体を塗るのではなく、最初に親指というように、ブロックごとに塗らせていく。
なめらかな画用紙上を滑るぐらいの水の量を筆に含ませる。
色調を統一するために、下塗りするときもある。
物が見えるのは太陽の光が当たるから=黄色で下塗りすると、光って見える
悲しいときは、緑や青で下塗りするときもある。
下塗りは、塗る方向を考える。例えば人間を下塗りするときは、筋肉の方向に塗っていく。
今度は、全員下絵に色を塗る
2分ぐらいしたところで、尾上先生が、上手な塗り方をしている先生の周りに皆を集めて
水加減や、塗る方向、混色などについて解説して
さらに、5分ほどそれぞれが塗り、全員が絵を持ち寄って観察し合った。
ここから、また尾上先生にバトンタッチ。
なかなか、塗るのはむずかしいね。
指の丸い感じは、色の濃さと水加減だけど、水加減がむずかしいね。
さきほど、絵に自信がなかった○○先生。
でも、色塗りが上手になりましたね。
途中で後藤先生の絵を見て、その良いところをまねしたからやね。
そら、絵の具の濃さに変化があると、立体的に見えよる。
影の感じは、最初に青を入れると青が消えなくなるから、
最初は、茶色や焦げ茶色でかげを表しておいて、最後に重ねて行くと良い。
こういう水加減の上手な絵は、試し紙で分かります。
ほら、試し紙の色が、こういう色だとこのぐらい柔らかい色になります。
こういうパレットがいいね。
こういうのが、ティッシュですぐにきれいになるパレットやね。
でも100円玉は、その人によって大きさも違うし、それぞれ作法もあるから必ずしもこうなるとは限らないね。
でも、このパレットはダメやね。
一度に、どっと作っていて、ごしごし洗わんととれない。
56回 |
10月17日 | 土 | 9:00 | 15:00 | 天竜壬生ホール | 第1会議室 |
57回 | 11月14日 | 土 | 9:00 | 12:00 | 天竜壬生ホール | 第1会議室 |
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