沈丁花・梔子・金木犀どれも大好きな香り。
けれども多分一番好きなのはフリージア。
今、母にお供えているのは母が好きだったフリージア。
部屋の中、ほのかに香ります。
私が実家を出たのが31歳の時。
実家からバイクで15分。5km離れたところへ引っ越し
今の夫と暮らし始めた。
ずっと夜の仕事だったから昼間の生活が嬉しかった。
家の近所に古い市場のようなスーパーがあって、
季節の花、水仙やフリージアなどを大きな束で
安く売っていた。新聞紙でくるんでもらって持ち帰り
母に電話する。
「フリージアいる?」
「いるいる!嬉しい!」
大きなビニール袋をバイクの両ハンドルに引っ掛けて
立てかけるように花束を入れ足元に載せて走る。
いつもより慎重にゆっくりと走る。
「まぁーどしたん!ようけ(たくさん)あるんじゃねー!」
嬉しそうに花瓶に生けてあちらこちらに飾る。
「あー、○○さんにもあげよう。」
今度は近所に配って回る。
「ええ匂いじゃねぇー、みんな喜んどっちゃったよ。(喜んでいたよ)」
母の笑顔を思い出す。
私は実家を出ることに躊躇っていた。
家を出るということは、夜の仕事を辞めるということで
金銭的な援助ができなくなる。
母に話す前に兄に話した。
「好きな人と一緒に暮らしたいけど、私が家を出たら
生活が困るでしょう?」
「大丈夫じゃけぇ、何とかなるけぇ、大丈夫。」
兄は背中を押してくれた。
私がいなくなったら母は寂しいだろう・・・
きっと不機嫌なことが多くなるだろう。
どんなことをしたら喜ぶだろうか
それで、花であったり、特売で安くなった日用品を
買って持って行くようになった。
「まぁー安いねー助かったよ、有難うね」
と言いながら、いつも帰り際、私に数千円のお小遣いを渡す。
要らないと言っても必ず「年金が入ったんじゃけぇ」と言う。
年金支給が毎月ではないことをのちに知った。
そして、その額の少なさも・・・
フリージアの香りでそんなことまで思い出す夜。
けれども多分一番好きなのはフリージア。
今、母にお供えているのは母が好きだったフリージア。
部屋の中、ほのかに香ります。
私が実家を出たのが31歳の時。
実家からバイクで15分。5km離れたところへ引っ越し
今の夫と暮らし始めた。
ずっと夜の仕事だったから昼間の生活が嬉しかった。
家の近所に古い市場のようなスーパーがあって、
季節の花、水仙やフリージアなどを大きな束で
安く売っていた。新聞紙でくるんでもらって持ち帰り
母に電話する。
「フリージアいる?」
「いるいる!嬉しい!」
大きなビニール袋をバイクの両ハンドルに引っ掛けて
立てかけるように花束を入れ足元に載せて走る。
いつもより慎重にゆっくりと走る。
「まぁーどしたん!ようけ(たくさん)あるんじゃねー!」
嬉しそうに花瓶に生けてあちらこちらに飾る。
「あー、○○さんにもあげよう。」
今度は近所に配って回る。
「ええ匂いじゃねぇー、みんな喜んどっちゃったよ。(喜んでいたよ)」
母の笑顔を思い出す。
私は実家を出ることに躊躇っていた。
家を出るということは、夜の仕事を辞めるということで
金銭的な援助ができなくなる。
母に話す前に兄に話した。
「好きな人と一緒に暮らしたいけど、私が家を出たら
生活が困るでしょう?」
「大丈夫じゃけぇ、何とかなるけぇ、大丈夫。」
兄は背中を押してくれた。
私がいなくなったら母は寂しいだろう・・・
きっと不機嫌なことが多くなるだろう。
どんなことをしたら喜ぶだろうか
それで、花であったり、特売で安くなった日用品を
買って持って行くようになった。
「まぁー安いねー助かったよ、有難うね」
と言いながら、いつも帰り際、私に数千円のお小遣いを渡す。
要らないと言っても必ず「年金が入ったんじゃけぇ」と言う。
年金支給が毎月ではないことをのちに知った。
そして、その額の少なさも・・・
フリージアの香りでそんなことまで思い出す夜。