【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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経理の体験談は創業「10年以上」の経営者「数名から」聞かないと参考にはならない

2014-07-01 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
経理に関する経験を一通りするには10年程度の期間が必要です。ですから、経理に関しての体験談を聞く場合には、最低でも創業10年以上の経営者から聞かなければなりません。また、体験は人それぞれによって異なるので、体験談は複数の人から聞く必要があります。

基本的な経理業務は「日々の記帳」「月次試算表の作成」「年に一度の決算と税務申告」という事業年度(1年)を区切にしています。しかし、税務調査は3年から5年の周期で行われます。融資の申込み(資金調達)には決算書が必要不可欠ですが、融資を申し込むのは「設備投資」「事業拡大」「業績不振による資金不足」など限られたときだけです。

経理業務のルーチンワークは1年で一通り経験でき、それを3年も繰り返せばマスターできるでしょう。しかし、税務調査や融資の申込みは頻繁には経験できません。また、一度経験したとしても、次回は前回の経験が当てはまらないことが普通です。ルーチンワークではないからです。また、経理業務の不備はすぐに表面化しないことがあります。歳月を経て不備が累積し、税務署や金融機関に指摘されて初めて表面化することもあります。

やはり、経理に関して一通りの経験をするには10年という期間が必要なのです。10年経って初めて「経理がわかった」「経理の恐さがわかった」「経理が大切であることがわかった」といえるのです。創業して2・3年の人の「経理なんて簡単!会計ソフトに入力すれば、決算書も申告書も自動的に完成するよ!」という体験談を鵜呑みにしてはいけないのです。

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とはいっても、体験は人によって相当異なります。

★経理で苦労したことはない

とても恵まれた人です。10人から20人に一人しかいないでしょう。創業時から事業も安定し、節税志向もほどほどの人です。また、経理担当者や会計事務所(税理士)にも恵まれている人です。

★経理のことは聞かれたくない

必ずいると思います。こういう人が。10人に一人程度ですかね。経理のことを聞くと不機嫌になる、最悪の場合には逆鱗に触れてしまうこともありますので注意してください。

「税務調査で多額の追徴課税をされた」「銀行が決算書に難癖をつけて大事なときに融資をしてくれなかった」「経理担当者に横領をされた」「税理士と衝突をした」という経験がある人です。

ほとんどの経営者は経理のど素人です。ですから、経理に関する重大な問題に全く歯が立たず「泣き寝入りをした」とか「持病のように問題を抱え続けている」ということがあるのです。決して他人事と思ってはいけません。「明日は我が身」かもしれません。

★経理はよくわからないけど甘く考えないほうがいいと思う

これが圧倒多数だと思います。経理に関して、「ヒヤリとすることが何度かあった」とか「多少はムカッとしたけれども」という程度の経験をして、それなりに経理を理解している人です。

経理に関しては独りよがりにならず、都合のよい情報だけを信じず、適度に人の意見を取り入れるのが「正解!(無難?)」ということです。