企業と金融機関との融資取引は民間同士の取引ですので、融資を開始するに先立って行われる金融機関の審査は税務調査のように法的な強制力があるものではありません。ですから、金融機関が要求する提出書類、書面や口頭での質問を拒んだからといって法的には何ら問題はありません。しかし、金融機関の指示に従わない場合には融資は受けられません。
「金融機関に知られたくないことがある。しかし、融資の審査で知らせなければならない。」
悩む経営者は多いです。
◆決算書と申告書控(全ページの提出は必須!)
決算書と申告書控、融資の申込みをするにあたっては必須です。金融機関が求めている事業年度の分を全ページ、写しを提出しなければなりません。
決算書とは「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」、さらには「勘定科目明細書(内訳書)」と「事業概況説明書」も含みます。申告書控は「法人税」「消費税」「都道府県民税(事業税含む)」「市町村民税」です。
これらには「知られたくない」情報が記載されているかもしれません。しかし、全ページ提出をしなければなりません。これを提出したくないのであれば、金融機関からの融資はあきらめるしかありません。
◆試算表(状況によっては必須)
前事業年度(直近の終了した事業年度)の終了から一定期間が経過している場合には、進行している事業年度(終了していない事業年度)の途中経過としての試算表の提出を求められることが通常です。すでに終了した事業年度の決算書では「情報として鮮度がない(古い)」からです。
これも決算書・申告書控同様、提出は必須です。試算表の作成が遅れている場合には、金融機関が求めている直近の試算表を急いで完成させなければなりません。
◆特定の帳簿(状況によっては必須)
金融機関は決算書や試算表の特定の項目(勘定科目など)について、さらに詳しい内容を調べることがあります。その手段が、決算書や試算表の根拠(作成プロセス)となる帳簿です。財務会計ソフトで作成される総勘定元帳や補助元帳のみならず、販売管理ソフトや表計算ソフトで作成している帳簿を「総動員」しなければならないことがあります。
この帳簿についても、求められた場合には必ず提出しなければなりません。帳簿を見せられないということは、決算書や試算表の根拠がないということです。そうなれば、金融機関は決算書も試算表も信用しません。当然、審査は打ち切りです。
◆事業計画(先のことはわからない・・・)
事業計画、将来的な見通しの説明を求められることがあります。その際、「先のことはわからない・・・」ということで、例えば「現状維持」とか「機械的な比率で売上が増加する」といった適当な(投げやりな)数字で説明することがあります。このようなことをすると会社経営に対する姿勢や意欲を疑われますので、将来の見通しは誠実かつ真摯に説明しなければなりません。
◆今まで要求されなかった書類
今まで要求されなかった書類の提出を求められることがあります。理由は2つ考えられます。
ひとつは、融資先に対する金融機関の姿勢が変わったということです。融資先の業績が悪化している、融資額が増えてきたことがその原因です。
もうひとつは、金融機関、場合によっては金融業界そのものの融資審査の変化です。特に昨今では、コンプライアンス(法令遵守)が尊重されることから、融資審査は厳格化の一途で、それに応じて必要書類も増え続けています。
◆不快な?質問(見極めは難しい)
「学歴」「経歴(職歴)」「家族構成とそれぞれの職業(収入)」「交友関係」「個人財産(負の財産である借入金も含む)」「趣味」「休日の過ごし方」「投資」「ギャンブル」など、経営者にとって不快に思える質問をされることがあります。
これらが親交を深めるための「単純な雑談」であることもあれば、特定の審査項目に対する「間接的な質問」であることもあります。とりあえずの回答はしておけばいいと思います。
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★金融機関とは良好な関係を保つ
不躾な金融機関の担当者もいます。経営方針に問題がある金融機関も存在します。しかし、それらはほんの一握りの例外に過ぎません。
金融機関とは良好な関係を保つ必要があります。そのために大切なことのひとつが、金融機関の業務に支障をきたすような行為をしないということです。融資の審査に必要な書類を迅速かつ適切に用意しようとしない、質問に対してはぐらかしたような回答をするなどすれば金融機関の業務が滞ります。
やはり、融資の審査に必要な資料は速やかに提出し、質問には的確に答えることが賢明です。
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「金融機関に知られたくないことがある。しかし、融資の審査で知らせなければならない。」
悩む経営者は多いです。
◆決算書と申告書控(全ページの提出は必須!)
決算書と申告書控、融資の申込みをするにあたっては必須です。金融機関が求めている事業年度の分を全ページ、写しを提出しなければなりません。
決算書とは「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」、さらには「勘定科目明細書(内訳書)」と「事業概況説明書」も含みます。申告書控は「法人税」「消費税」「都道府県民税(事業税含む)」「市町村民税」です。
これらには「知られたくない」情報が記載されているかもしれません。しかし、全ページ提出をしなければなりません。これを提出したくないのであれば、金融機関からの融資はあきらめるしかありません。
◆試算表(状況によっては必須)
前事業年度(直近の終了した事業年度)の終了から一定期間が経過している場合には、進行している事業年度(終了していない事業年度)の途中経過としての試算表の提出を求められることが通常です。すでに終了した事業年度の決算書では「情報として鮮度がない(古い)」からです。
これも決算書・申告書控同様、提出は必須です。試算表の作成が遅れている場合には、金融機関が求めている直近の試算表を急いで完成させなければなりません。
◆特定の帳簿(状況によっては必須)
金融機関は決算書や試算表の特定の項目(勘定科目など)について、さらに詳しい内容を調べることがあります。その手段が、決算書や試算表の根拠(作成プロセス)となる帳簿です。財務会計ソフトで作成される総勘定元帳や補助元帳のみならず、販売管理ソフトや表計算ソフトで作成している帳簿を「総動員」しなければならないことがあります。
この帳簿についても、求められた場合には必ず提出しなければなりません。帳簿を見せられないということは、決算書や試算表の根拠がないということです。そうなれば、金融機関は決算書も試算表も信用しません。当然、審査は打ち切りです。
◆事業計画(先のことはわからない・・・)
事業計画、将来的な見通しの説明を求められることがあります。その際、「先のことはわからない・・・」ということで、例えば「現状維持」とか「機械的な比率で売上が増加する」といった適当な(投げやりな)数字で説明することがあります。このようなことをすると会社経営に対する姿勢や意欲を疑われますので、将来の見通しは誠実かつ真摯に説明しなければなりません。
◆今まで要求されなかった書類
今まで要求されなかった書類の提出を求められることがあります。理由は2つ考えられます。
ひとつは、融資先に対する金融機関の姿勢が変わったということです。融資先の業績が悪化している、融資額が増えてきたことがその原因です。
もうひとつは、金融機関、場合によっては金融業界そのものの融資審査の変化です。特に昨今では、コンプライアンス(法令遵守)が尊重されることから、融資審査は厳格化の一途で、それに応じて必要書類も増え続けています。
◆不快な?質問(見極めは難しい)
「学歴」「経歴(職歴)」「家族構成とそれぞれの職業(収入)」「交友関係」「個人財産(負の財産である借入金も含む)」「趣味」「休日の過ごし方」「投資」「ギャンブル」など、経営者にとって不快に思える質問をされることがあります。
これらが親交を深めるための「単純な雑談」であることもあれば、特定の審査項目に対する「間接的な質問」であることもあります。とりあえずの回答はしておけばいいと思います。
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★金融機関とは良好な関係を保つ
不躾な金融機関の担当者もいます。経営方針に問題がある金融機関も存在します。しかし、それらはほんの一握りの例外に過ぎません。
金融機関とは良好な関係を保つ必要があります。そのために大切なことのひとつが、金融機関の業務に支障をきたすような行為をしないということです。融資の審査に必要な書類を迅速かつ適切に用意しようとしない、質問に対してはぐらかしたような回答をするなどすれば金融機関の業務が滞ります。
やはり、融資の審査に必要な資料は速やかに提出し、質問には的確に答えることが賢明です。
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