節目の年の語るつどいで、 充実した意見交換を呼びかける仲宗根代表世話人=カママ嶺公園【宮古新報2012,5,4】
憲法記念日にあたってのアピール
―沖縄の日本復帰40周年にあたって―
沖縄県民が27年間の異民族支配の鎖を断ち切って日本復帰を勝ち取ってから今年で40周年を迎えました。復帰前は、沖縄には日本国憲法は適用されませんでした。平和主義・国民主権・基本的人権の不可侵を主柱とする憲法とは、あまりにもかけ離れた、無法と無権利の状態が長く続いたのです。それがゆえに日本国憲法は復帰運動のよりどころであり、「平和憲法の下に復帰を」がスローガンでした。
しかし、復帰の内容は、沖縄県民の求めた平和憲法の理念とは大きくかけ離れたものでした。復帰によって沖縄は新たに日米安保条約の網が被せられると同時に、自衛隊という日本の「軍隊」が配備されることによって、新たな苦難の時代を迎えることになりました。
沖縄に置かれている広大な米軍基地は、県民に今なお大きな犠牲と負担を強いるものになっています。それでも、沖縄県民は、沖縄戦から米軍統治下、復帰後とこれまでの経験によって、平和の尊さを知り、平和憲法の実現を求め続けているのです。
ところが、この平和憲法を根本的に改悪しようとする自民党をはじめ改憲派が改憲論議を活発化させています。自民党は「第二次憲法改正草案」決定し、天皇を「元首」とし、自衛隊を「自衛軍」と明記、集団的自衛権の行使をより明確にして、さらに有事や大災害を想定して、首相が「緊急事態宣言」を発して国民の財産権、居住権、移転の自由などの人権に対する新たな制限を可能とすることを新設しようとしています。昨年の3・11東日本大震災に便乗する改憲論を主張しているのです。
また、大阪市の橋下市長が率いる「大阪維新の会」が、国政進出を目指して検討中の政策「維新八策」で、「憲法改正」を提示し、首相公選制や参議院廃止を主張し、民主党の小沢一郎グループも「9条だけでなく他にも改正すべき点がある」と改憲に言及するなど危険な動きがあります。
憲法は国家権力の横暴から国民を守るためのものですが、国民の義務を強制し、国家を前面に打ち出そうとするのが「憲法改正」のねらいです。「教育基本法改正」により、国民の主体的に学ぶ権利を抑制し、一人ひとりの内心まで立ち入って国を愛する態度を養成することをねらっているのです。その特徴的なものが、大阪における「教育基本条例」「職員基本条例」などの「ファッショ的独裁政治」の台頭や八重山地域における「教科書採択問題」など歴史を逆行させるような動きにあらわれています。
最近の重大な問題としては、北朝鮮の「人工衛星」発射を口実にして、政府が迎撃態勢を敷き、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦や地上発射型ミサイルパトリオット(PAC3)を沖縄に配置し、950名にも及ぶ自衛隊員を常駐させ、迷彩服・戦闘帽姿で市役所庁舎に陣取り、実質的に自治体を支配するような「戦闘態勢」をとったことは看過できません。
国民に不安と脅威をあおり、「国民を守る」と称して、全く効果も必要性もないPAC3配備を口実に自衛隊を市民に認知させようとしました。これは、「防衛大綱」によるロードマップの「実地訓練」で、先島地域への自衛隊配備の「地ならし」をしたことに他ならないことが明確になりました。
特にここ宮古島では、下地島空港におけるパイロット訓練飛行の消滅により、「災害救援拠点」構想などの新たな利用を模索する動きがありますが、これも自衛隊を常駐させることが背景にあり、軍事利用につながる危険性があります。
私たちは、沖縄の日本復帰40周年にあたり、平和憲法を守り、下地島空港の軍事利用反対と先島地域への陸上自衛隊配備反対を掲げて幅広い運動を展開する決意を表明するものです。
20125月3日
みやこ九条の会