50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

虚言癖の専売を横取りしたようだが、・・・

2015-10-26 19:43:27 | 小説
虚言癖の専売を横取りしたようだが、幸男はテレビの顔に無意識裏に励まされていた。が案外、平然としている自分に驚かれもする。
「妙に同情して」
と言ってうつむき、悲しそうな表情も容易につくれたように思う。
「海は私たちにとっては物心両面の支えですと、彼らは」
とテレビが言っている。

(つづく)

幸男は強引にテレビをつけた。夏子が・・・

2015-10-26 09:18:09 | 小説
幸男は強引にテレビをつけた。夏子が理恵を言っている。
「病院にいる会社の人間に協力してなぜいけないのか」
「ほんとうかしら」
テレビ一面に海の男だろうがたくましい赤ら顔が飛びだしている。
「かわいそうな方なんだ。その方の妹さんで、輪をかけてかわいそうな女なんだ。迎えを頼まれて・・・・・・それが頭を去らなかっただけ」

(つづく)