男の方は社会奉仕に気負ってきたのが、退屈している時に例の若者が現れた。普段には仲間がいるのに、今日は道行く無関心の人ばかりなのであり、孤独の作業が何だかみじめなような気分がしていた・・・・・・「まあそんなものだ。害虫を殺す人、なるほど違いない」失業対策事業で雇われていて、街の緑を守るなどと、ある種のみじめさとキザさ加減を英次の言葉がふり払っていた。
「私は山田。君は?」
「・・・・・・」
「名なし?」
と山田は英次の胸を窺う。名札の文字に、雄吉の筆跡に感動的な気配と取れそうな表情をしながら、小声を発した。
「いい町に住んでいるんだね。おじさんはちょっと見直した、正直。毛虫ねえ、これは害虫に違いないが、そうといい切れないんだな。蝶になる」
とまじめになる。
(つづく)
「私は山田。君は?」
「・・・・・・」
「名なし?」
と山田は英次の胸を窺う。名札の文字に、雄吉の筆跡に感動的な気配と取れそうな表情をしながら、小声を発した。
「いい町に住んでいるんだね。おじさんはちょっと見直した、正直。毛虫ねえ、これは害虫に違いないが、そうといい切れないんだな。蝶になる」
とまじめになる。
(つづく)
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