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不快なはずがないのだが、ニヤリと笑ってそのままベンチにいるには何としても、この男はバツが悪くてならない。それはぼくの居住区でもあり、女らを無視したうちはよかったのだけれども。そう思ってヤケに昔々の歌詞を足先に落とす風から、ベンチを離れる男。・・・・・・スギタムカシヲウラムジャナイガカゼモシミルヨキズノアト。
「お城。お城。上手じょうず」
拍手が砂場に向かっている。それが背中に向けられたかのように聞きながら、男の影が太陽に一瞬濃くなる。何かにつまづきつんのめる。風がざわめかせて鳴るイチョウの青葉を残して。
(了)
★ご愛読ありがとうございました。次回はしばらくお休みいただいてから、「おしのび」を連載させていただきます。また引き続きご愛読いただきますようお願いいたします。
「お城。お城。上手じょうず」
拍手が砂場に向かっている。それが背中に向けられたかのように聞きながら、男の影が太陽に一瞬濃くなる。何かにつまづきつんのめる。風がざわめかせて鳴るイチョウの青葉を残して。
(了)
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