もううつむくことはないだろう。時どきここにこうして佇んでいたい。『楽しければ』
啓は脳裏の囁き声を訊いていて、和子はこうもらしている。
「<ふしぎの森のイメージ>ペアの曲ね」
啓は二十八歳だが、今日は会社の代休をとって、唯一の楽しみといってもいいだろうスケートをしに出かけた。啓はかって和歌山の南端の町から大学に入って中退、以来大阪でアパート暮らしだが、和子の方はこう言っていた。
「大阪の街を庭のようにして育ったわけ」
「センスが抜群や思った。音感がすばらしい」
「曲に乗って滑れるやなんて思わんかったわ。ペアはあなたが初めてなんやから、私は」
(「南幻想曲」つづく)
啓は脳裏の囁き声を訊いていて、和子はこうもらしている。
「<ふしぎの森のイメージ>ペアの曲ね」
啓は二十八歳だが、今日は会社の代休をとって、唯一の楽しみといってもいいだろうスケートをしに出かけた。啓はかって和歌山の南端の町から大学に入って中退、以来大阪でアパート暮らしだが、和子の方はこう言っていた。
「大阪の街を庭のようにして育ったわけ」
「センスが抜群や思った。音感がすばらしい」
「曲に乗って滑れるやなんて思わんかったわ。ペアはあなたが初めてなんやから、私は」
(「南幻想曲」つづく)
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