50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「意外とおちつけますね・・・

2015-02-27 19:19:18 | 小説
「意外とおちつけますね。劇場のロビー」
クモの機嫌に応じる若者は、背広の胸を広げ、寛ぐ風に装っていた。情の味が加わって。
「愛と性の感動ドラマ。そして死をかける逃避行ですね。ぼくは彼女とそこまではやれないでしょう、多分」
クモには苦笑が抵抗線だ。もうこれ以上に胸襟を開くわけにはいかないだろう。姪のかかわることだからといって。好きな演目を犠牲にするのが精いっぱいの人情だろう。
「君の話をうかがおうか」
とそういった時、ふと胸にざらつくものがクモには感じられた。抵抗線に手を引く感じを感じ、その一線を隔てた頭の中。何かしら彼に煽られてようよう、諦めがついた心地だ。

(つづく)


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