男が女に翻弄されていたという彼の話からクモは、再び暇になった劇場のロビーをみまわしながらいった。
「観客は、私は君の観客じゃむろんないがね、徳兵衛に初の方が翻弄されていくその姿には同情。腹の底では徳兵衛に同情していない。そういうもんだろう。九平次は別としても」
クモはわれながらにうまくいえたはずだった。
(つづく)
「観客は、私は君の観客じゃむろんないがね、徳兵衛に初の方が翻弄されていくその姿には同情。腹の底では徳兵衛に同情していない。そういうもんだろう。九平次は別としても」
クモはわれながらにうまくいえたはずだった。
(つづく)
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