50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

幸男は強引にテレビをつけた。夏子が・・・

2015-10-26 09:18:09 | 小説
幸男は強引にテレビをつけた。夏子が理恵を言っている。
「病院にいる会社の人間に協力してなぜいけないのか」
「ほんとうかしら」
テレビ一面に海の男だろうがたくましい赤ら顔が飛びだしている。
「かわいそうな方なんだ。その方の妹さんで、輪をかけてかわいそうな女なんだ。迎えを頼まれて・・・・・・それが頭を去らなかっただけ」

(つづく)

早速幸男は新聞を引き寄せ、指してから、・・・

2015-10-24 17:53:08 | 小説
早速幸男は新聞を引き寄せ、指してから、
「こういうのがいい」
と言って夏子の膝に放りだしてやった。
「日本の海。私、今日の幸男さんに、誰もいないから言うけどもピンときていたわ。あら雨、道江さん雨よ。あの会とビデオと何の関係もありません。あんまりよ。宇礼市では誰かの目にとまるものよ」

(つづく)

「子供がいるわ」

2015-10-23 20:23:38 | 小説
「子供がいるわ」
「うちの人は膝に抱いて見ているわ」
「昼間っから・・・・・・」
と道江は言いつつも、隣の寝間に立っていっている。
「夏子さんよ。これじゃ何とかの会もへったくれもないじゃない」
「あらどうしてなのよ」

(つづく)

新聞を手にするまでもなく、目鼻をジャガイモの・・・

2015-10-22 05:55:46 | 小説
新聞を手にするまでもなく、目鼻をジャガイモの切断面に描いたようなと幸男の見る顔を、しばらく宙に浮かせてから言った。
「三時ずぎから。でもそうね、ビデオにすればあ」
とみだらに響いた。

(つづく)