2002年HAWAII MUSIC AWARD(ジャズ部門)受賞作
ビクターにおけるオータサンとしては三作目で、同社によるワールドミュージックのシリーズ「Globe Roots」の二作目としてリリース。50年代にアメリカでジャズ・ウクレレのアルバムを発表している名手ライル・リッツとの共演盤。ライル・リッツはハワイへ移住していた90年代を通じてオータサンの大半のレコーディングをベーシストとしてサポートを続け、1995年にはウクレレ・プレーヤーとして35年ぶりのアルバム制作も実現していた。
ライナーノーツにあるサザン関口氏の解説によると、前年にアメリカでのライヴ収録があり、日本へのコンサートツアーも実現。それを受けて2001年3月にハワイのオーディオリソース・スタジオで本作が制作された。そのオーディオリソース・スタジオとはかつてのサウンズ・オブ・ハワイ・スタジオだそうだ。
しかし、スリーブのレコーディングデータを併せて確認してみると、2001年3月に録音されたのは1,3,8,9の4曲だけで、大半を占める残りの6曲(2,4,5,6,7,10)の録音日はなんと1993年2月と明記されている(場所は同じオーディオリソース)。つまり、もともと二人による演奏が未発表の状態で8年近く存在していて、そこにツアー後に4曲を追加収録してアルバム一枚分に仕上げた事になる。1993年というと、ライルリッツのウクレレでのカムバック・アルバム「Time(1995)」、或いはオータサンとのウクレレ共演を含む「Magical Ukulele (1996)」よりも前の録音という事になる。
1 Shoo-Fly Pie And Apple Pan Dowdy
2 Stompin' At The Savoy
3 Triste
4 Autumn Leaves
5 Teach Me Tonight
6 Sambadouro
7 Lulu's Back In Town
8 I Won't Dance
9 Bluesette
10 Dream
3 Triste
4 Autumn Leaves
5 Teach Me Tonight
6 Sambadouro
7 Lulu's Back In Town
8 I Won't Dance
9 Bluesette
10 Dream
オータサンは全曲でマーチンのソプラノ・ウクレレを使用。
ライル・リッツは6曲(2,4,5,6,7,10)をマーチンのテナー、残り4曲をコオラウのテナー・ウクレレを演奏(チューニングは4弦が高いD-G-B-E調弦との事)。
アメリカでリリースされたライヴ盤では全編ベースのサポートが入り、ライルのソロパート、オータサンのソロパート、最後に二人共演という構成になっていたが、スタジオ収録の本作ではサポート・メンバーは入らず全曲がオータサンとライル・リッツのウクレレ・デュオという構成になっている。二人のウクレレのスタイルやリズムの取り方の違いが鮮明に聴きとれる。
ライル・リッツがジャズ・ウクレレのレコードをアメリカのヴァーヴ・レコードに吹き込んだのは50年代。オータサンはこの頃兵役にあった為にレコードデビューは60年代と遅いが、ライルは1930年生まれ、オータサンは1934年生まれという事で年齢も近く、同世代。