1988年のHoku Award Instrumental Album of the Year 受賞アルバム。
Roy Sakuma Productionによる制作。Roy Sakuma氏はオータサンの元教え子で、現在ハワイ最大のウクレレ・スタジオを運営し、ハワイ最大のウクレレ・フェスティバルを毎年主催するなど、ウクレレの本場ハワイにおけるウクレレ業界の顔役の一人。
音の方は、のっけからテクノ風サウンドを聴かせたかと思えば、タイトル曲ではヒップホップのビートも取り入れ、更にはラテン・フュージョンにも挑戦と、80年代らしいバラエティ感覚をサウンドに反映する一方で、アルバム全体としてはかなり本格的なジャズ・アルバムに纏まっており、骨太なバンドを従え本格的なブルースをウクレレで弾きまくる本作のオータサンは、いつもにも増してかなりかっこいい。家での油断した姿とは違う、まるで別人のようなお父さんの姿を夜の都会で見てしまった、といった感じ。
演奏にもいつになく力が入っているが、今回はウクレレの音色もマイキングの具合によるのか、まるでブルーグラスにおけるバンジョー・ソロのような、いつもと違った渋い印象の太い音に聞こえる。研ぎ澄まされたようなフレーズもブルージーで力強く、シャープだ。
80年代は音楽シーンのトレンドにあってウクレレが一般的な人気を得た時代では決してなく、むしろ厳寒の冬の時代にあった中で、逆風をものともせず、このような傑作をものにするオータサンは本当に凄い。本場ハワイの若者の間でもウクレレが再び一般的な注目を集めるには、90年代のカアウ・クレーター・ボーイズの出現まで待たねばならない。
- Fundamental
- Open Arms
- Summertime
- Whiter Shade of Pale
- When I'm Not Around
- Prelude
- Body Surfing
- Always New
- Like Someone in Love
- Tequila
- Delicado
- Preludium/Fugato #2
1986年版のアナログ盤はタイトル「OHTA SAN (Roy Sakuma, RS-3333)」
収録曲がCDより2曲少なく、曲順が異なる他、曲名も一部異なる。1.Body Surfing, 2.Like Someone In Love, 3.Hawaii(H.Ohta), 4.Fundamental, 5.Delicado, 6.Tequila, 7.Summertime, 8.Let's Dance(Ohta & Hope), 9.A Whiter Shade Of Pale, 10.Ukulele Blues