ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Ohta-San's Pacific Potpourri (1971)

本盤の録音は1971年とライナーノーツに記載あり。ハワイ・Lehua Recordsからのリリースとしては恐らくオータサン唯一のアルバム(編集盤を除く)。この時代の作品には珍しく後にCD化された。

70年代に入り地元ハワイにおいてSurfside Recordsとの契約を満了したオータサンは、先に紹介したようにアメリカ本土の大手レーベルA&Mと新たに契約し国際マーケットへ打って出る事になるのだがその一方で、ハワイ・ローカルの音楽マーケット向けにはハワイ音楽の名プロデューサー、Bill Murataの下で様々なレーベルから70年代を通じて地元ハワイのリスナーに向けたハワイ音楽を中心とする一連のアルバム群を発表し続ける。その先駆けとなった本作はこの後に続くDiscos Tropical やPoki Recordsでの一連のBill Murataプロデュ-ス下での諸作品の前哨戦といった位置づけともいえる。しかしハワイアン音楽に強い拘りを見せたそれら一連の作品と比べると、本作はとてもユニークなアルバムである。

1 Happiness Forever    
2 Blue Silk
3 Misty Sea
4 Kawohikukapulani
5 Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One
6 Pua Maeole
7 China Doll
8 Next Door To Paradise
9 Kona Wind
10 Moon Over Ruined Castle
11 Vida
12  Volcano

アルバムタイトルは直訳すれば「太平洋のポプリ」、花や香草などを混ぜ合わせて作られる室内香の事だが、語源はフランス語で「ごった煮料理」の意味だそうで、本作も確かにごった煮的な内容といえる。コンセプトとしては、日系ハワイアンであるオータサンのルーツでもある日本の楽曲を取り上げようという意図があったようで、7.は李香蘭(山口淑子) の「夜来香」、3.は「別れの磯千鳥」、10.は「古城の月」、2.は「水色のハンカチ」、1.は「いいじゃないの幸せならば」、という具合。特に冒頭3曲で昭和歌謡のムードが濃厚なサウンドが続くため、すっかりアルバム全体がこの調子かと思いきや、4.からはBill Murataらしくスティールギターなどもフィーチャーしたオーセンティックなハワイアン・サウンドにとって代わり、ラスト2曲に至ってはまるでジャズ・ファンク!(なんと12はオータサンのオリジナル)、というまさに強烈な香りを放つポプリのようなアルバムになっている。9.はオータサンによる数多いジャズ・ボッサ・チューンの中でも屈指の名演。録音はCommericial Recording Studio。




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