ある時、知人が階段を登るウルトラマンの後ろ姿を撮っているのを見た。
ワタシも彼らの背中を見るのも撮るのも好きだ。
その時はただそう思っていた。
先日、また階段を登るウルトラマンの姿を見た。
フレームにその姿を収め、ズームアップしようとしたその手が止まった。
まるでコスモスが天井に描かれた空から飛び去っていくような気がして。
この丸い空はただの絵なのだが、外から見るとこの絵の真上に三角屋根がある。
あくまで想像にすぎないのだが、本来はここに天窓を作って、
実際に空が見えるようにするつもりではなかったのか・・・
しかし北陸という土地柄、外光が射してくる時間は少ないだろうし、
積雪に対処するのは大変すぎる、という理由でこういう形になったのではないか。
つまりこの建物を設計した建築家は、
観客が入り口のシャッターをくぐって階段を登る時に、
その視界に「空」を配することによって、
この場所が外界~宇宙へと繋がっていることを意識させたかったのではないか。
この施設では、毎朝シャッターが上がるとそこにウルトラマンがいる、
という夢のようなオープニングウエルカムをやってくれる。
ああ、そうか。
彼らはたった今、あの窓からこの地に降り立ったのだ。
そして任務を終えた彼らは、またここから空へ~宇宙へと飛び立っていく・・・
ワタシの魂もまた、この階段によって日常から非日常の高みへと上昇する。
この場所を失いたくない。
今ほどそれを強く願ったことはない。