ウェネトさまの館

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楽しい隠遁生活(泉屋博古館)

2023年09月25日 20時22分35秒 | 展覧会・美術関連

書くのが後回しになってしもうたが、先日、泉屋博古館東京「楽しい隠遁生活 文人たちのマインドフルネス」を観たのでございます。
https://sen-oku.or.jp/program/20230902_joifulseclusion/

いにしえの文人たち理想の隠遁生活を、山水画や、隠者達を描いた絵や、文具や煎茶道具など95点で紹介。

構成は以下の通り。気になった作品もリスト順に。

【§1:自由へのあこがれ「隠遁思想と隠者たち」】

《許由図》橋本雅邦 明治33年(1900)
許由の人柄が垣間見える後姿。余白も良うござります。

《庵》丸山勉 令和4年(2022)
出家した鴨長明が構えた、台座で移動できる「方丈の庵」が、うら寂しい自然の中にポツンと建っておる。
鴨長明は、ここで『方丈記』を執筆したのじゃ。
好きな場所に移動できるこの庵、キャンピングカーめいて便利よのぅ。

《面壁達磨図巻》石溪 中国・清 康熙4年(1665)
達磨が嵩山少林寺で岸壁に向かい、石の上で手足を失いながら9年も座禅を続ける姿。
とても「楽しい隠遁生活」とは言えぬが、風景が何やら幻想的。

【§2:理想世界のイメージ】

《梅渓閑居図》田能村竹田 文政10年(1827)
うねるように聳える山の、梅の咲く中腹の庵でお茶する3人のおじさま達。

《金銀錯螭梁盉》 中国・戦国後期
ちっちゃな急須めいた形の青銅器で、釣手は背中を丸めて4本足を踏ん張って立つ獣、注口は鳥の首、3本の脚には人面、全体に金銀で菱雲文が象嵌され、たいそうツボ。
お持ち帰りしたいぞよ~。

【§3:楽しい隠遁―清閑の暮らし】

《観瀑図》長吉 室町時代
《白寿山石印材 鈕鯉魚》 中国・清時代
《鶏血石印材 鈕鯉魚》 中国・清時代
山中で滝を眺めて楽しむおじさまたちの《観瀑図》の前に、魚を浮彫りにした印材が展示してあり、絵から飛び出たようで楽しい。

《白磁洞簫》 中国・清時代
本来は9節の紫竹で作るところを、白磁で再現した美しい縦笛。
実際に演奏も可能だそうで、聴いてみとうござります。

《白高麗鼎形香炉》 中国・清時代
白磁のまるっとした球体に円筒形の3本足、黒い蓋に赤い石のつまみ。
清時代とは思えぬモダンな香炉。

《塘芽帖》岸田劉生 昭和3年(1928)頃
劉生が晩年に建てた画室「塘芽庵」の風景。画帖における絶筆とか。

【§4:時に文雅を楽しむ交】

《西園雅集図》村田香谷 明治37年(1904)
西園で催された文人たちの雅集が、緻密に鮮やかに描かれ、16人の文人たちも楽しそう。

《七宝紅水晶入如意》 中国・清時代
トルコブルーの七宝地に、3つの紅水晶を嵌め込んだゴージャス如意。
紅水晶には、コウモリとザクロのような植物紋の浮彫りが施されておる。

【同時開催:特集展示「住友コレクションの近代彫刻」】
7点の彫刻作品が展示されておりまする。

《虎石膏像》山本芳翠 明治時代
山本芳翠の、現存する唯一の石膏像だとか。

《ブロンズ羊置物》石川光明 明治時代
ブロンズじゃがモフモフで柔らかそうな毛並み、真面目な顔で見上げる様子が可愛い。

今まで山水画や文人画は殆ど興味なかったのじゃが、長閑な隠遁生活(一部過酷な隠遁生活もあるが)が垣間見え、興味深うござりました。
近くの「瀧見スポット」などが紹介されておるのも楽しかったしの。

一般に隠遁生活と言えば、本展の展示作品のような山の中なんじゃろうが、わたくしが隠遁するなら、美しい海に囲まれた南の島がよいのぅ。

会期は10月15日まで。

★おまけ話
近頃ハマっている、ドトールコーヒーの黒糖ソフトクリーム、お値段もお手頃じゃし、一日に何度も食べたくなるのが困りもの。
まあでもちっこいし、2つは食べてもいいよね。エヘ